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俺が魔王として女神が悪魔な世界にやって来た  作者: 朝木 花音
9魔王は巻き込まれ体質編
122/263

12―結局騒動の原因は




 ニコラス率いるシャインレイの騎士達が森の中へと引き上げていく。シドはそれを見届けると緑の魔力を霧散させ、ショーマとの繋がりをクイッと引っ張った。ショーマはそれを合図にシドと意思伝達魔法(糸電話)を繋ぐ。


 ―――シドさん、お疲れ様ー。


 ―――ははは、ありがとう。


 シドはそう言ってショーマの元へ歩き出した。ユカリは脅威が去ったとソロン達に伝えるべく一足先に湖へと戻っている。


 ―――さっきはどうしてわざわざ交渉したの?シドさんならサクッと一捻りでしょ。


 ―――確かにそうだけど、今回の件のついでに懸念事項を解消してしまおうと思ってね。


 ―――懸念事項って?


 ―――ショーマ君は卒業直後に人間に()の状態を見られてしまったんだろう?さっきのニコラスが担任だった私の所に何度もやってきてね。ショーマ君と魔族の関係を何度も何度も何度も確認してきたんだ。知っていようがいまいが“知らない”っていう答えしかあり得ないのに。しかも下手くそな自白魔法まで使って来るからね。


 シドは珍しく苛ついている。ショーマはどうだったかなと思い出すのに少し時間が掛かった。


 ―――うーん・・・あ!そう言えば黒髪を見られたんだった!いろいろあって完全に忘れてたよ。迷惑掛けてごめんなさい。


 ―――ごめん。気にしないで。あの時は急増した魔力に身体が馴れていなくて気が回らなかったんだろう?ショーマ君が街に来た時、急に気絶する人間が大勢いて大変な騒ぎになっていたんだよ。たまたま私も街に居たけどあの魔力の濃さにはさすがに驚いたね。


 ―――そんなことが起きてたんだ。


 ―――うん。それでさっきの会話なんだけど、シャインレイに潜伏していた魔族は逃げた事にしてしまったんだよ。ショーマ君とリーナさんを(まと)めてね。


 ―――俺とリーナさんをまとめて?


 ―――黒髪を見られたショーマ君が黒い格好で見付かってしまったリーナさんと同一人物だったと思わせたんだ。もちろん、ウィステリア(ショーマ)君とは別人としてね。


 ―――なるほど!そう言う事か!さすがシドさん!


 ―――ありがとう。ついでに、レイカーは魔人ではなくカルメーナの民と偽装出来た訳だよ。


 ―――え?なんで?


 ―――今回わざとショーマ君の叔父の私と言う存在をニコラスに認識させたんだ。しかも、そこそこ魔力を持っていると思わせてね。コーネリアス達はショーマ君がカルメーナの民だと思っているから、自然と湖にはカルメーナの民が数世帯住み着いていると考えるでしょう?


 ―――おお!元々湖に住んでたレイカーがカルメーナの民になった!すごっ!


 ―――まぁ、どうやってプランからの留学証明を手に入れたのかとか、いろいろと疑惑が浮かぶと思うけどね。とりあえずは現状維持が出来るだろう。と言うところかな。


 シドが橋を渡り終え、ショーマの元へやってきた。


「じゃあ、ソロン君の所に戻ろうか」


 ショーマはりょうかいっと同意すると、湖の(ほとり)へ転移した。




  ◇◇◇




 ショーマとシドはレイカーの湖に戻ってきた。それをユカリとソロン、数名のレイカーが出迎える。


『ショーマ様、シド様。お帰りなさいませ』


「ただいまー」


「ただいま戻りました。ユカリ君から何か聞きましたか?」


『はい。シド様が言葉を巧みに操り勝利したと』


「ははは。大した事はしていませんよ」


 ソロンにシドは状況を報告した。勿論、レイカーをカルメーナの民と偽装した事も含めて。そんな二人を見て、ユカリは溜め息混じりに呟いた。


『さっきのあれは結構精神的にクるものがあったな。あの人間が少し可哀想に見えたぞ』


「ユカリ、それは言っちゃだめ。たぶん俺のせいでシドさんはあの人を嫌いになっちゃったっぽいから」


 ショーマはそんなユカリに理由を説明する。


『はぁ、何やらかしてんだよ』


「あの時は急いでて気が回らなかったんだよ。ユカリだってその場にいたじゃん!」


『オレは黒がそんな目の敵にされてるなんて知らなかったからな!?自分のせいじゃないか!そもそも変な板を持ったまま行動してたお前が悪い!』


「はあ!?あれがGPSになってるなんて普通気付かないだろ!!」


 ギャーギャーとショーマとユカリは言い争う。


「二人とも、何を言い争ってるの?」


 シドが言い争う二人に話し掛けた。


『こいつが人間をここまで引き寄せたって話だ!』

「はぁ!?あれはどう考えても不可抗力だろっ!!」


 ショーマとユカリはまた言い争いを始めそうになった。シドがパンパンと手を叩く。


「ほら、喧嘩しないの」


 シドに窘められたショーマは自分を探して騎士がここにやってきた事を伝えた。その時に騎士に黒髪を見られた事、それから国王であるコーネリアスを突撃して湖に近付くなと警告した事も話した。


「──って訳なの」


「それでニコラスは私の所に確認に着ていたのか」


 シドは理由がやっと分かったと納得した。


「シドさんはあのタグ、じゃなかった卒業証で俺の位置がわかるの知ってた?」


「知ってるも何も、あの仕組みを作ったのは私だよ。魔鋼銀で出来た板に描かれたシャインレイ王国周辺の地図上に卒業証を持ってる人間の位置が灯るんだ。何かが起こったらその周辺にいる者を集めるられる様に。でも、誰がどこに居るかまでは判らない筈。

 ──そうか。門の方でいつ誰が出たかは分かるから、それを利用してショーマ君の居場所を監視していたのか。

 フフフ、随分と舐めた真似をしてくれたな」


 シドの怒りに周囲の気温が一気に下がった。


「シドさん!?ちょっと落ち着いて!威圧漏れちゃってるから!」


 近くにいたソロン達が白い顔を更に青白くさせた。ショーマの呼び掛けにシドは我に返り、高まった魔力を発散させた。ごめんねとソロン達に謝る。


「ねぇシドさん。あのタグの仕組みを応用して人間をこの湖に入れない様にする魔道具とか作れないかな?若しくは近付いたらすぐわかる魔道具とか」


「うーん、そうだね・・・持ってる者だけ入れる仕組みにしたら簡単に作れるかもしれないね」


「逆にね!じゃあ ─ ぐぎゅるるー ─ あっ!」


 ちょうどその時、ショーマの腹の虫が盛大に鳴いた。


「ははは。先ずは腹ごしらえからだね」


『ショーマ様、魚でよければすぐにご用意します』


「それでお願いします///」


 ショーマは顔を真っ赤にしながら、ソロンの提案に従った。





ショーマ「あ、シドさんちょいギレ?」

朝木  「そりゃね」

ショーマ「なんか申し訳ないな」

朝木  「うん。その気持ちを忘れるな」


 シドはショーマが卒業後に起こした事件を知りませんでした。

 そのせいでニコラスが嫌いになったのは言うまでもありません。

 更に自分が作った魔道具が想定と違う利用法で使われ、身内が危険に晒されたので怒りが漏れ出てしまいました。

 …意外とこの人、沸点が低いんじゃない?

 (;・ω・)



 次回、偽装工作。です。

 レイカーの住む偽村を作ろう!笑



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/


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