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俺が魔王として女神が悪魔な世界にやって来た  作者: 朝木 花音
9魔王は巻き込まれ体質編
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4―転移魔法と魔道具1




 シドは女神様との話を終えたショーマを捕まえ転移魔法について質問する。


「ショーマ君、私には少し難しいから解説をお願いしてもいいかな」


「いいよー。どの辺?」


 シドは転移魔法の魔法陣を書いた紙を広げた。


「この地点(ポイント)って概念は解るんだ。今いる場所と行きたい場所って事だろう?でもこっちの空間(スペース)がいまいち理解出来なくて」


「うーん。どうやって説明すればいいんだろう。シドさんは次元って考えは分かる?」


「次元?なんだいそれは」


「なるほど。そこからか。となると先ずは点からスタートだよね」


 ショーマはそう言うと、空気を固めて1cm角の立方体を二つ作り出した。可視出来るように着色してある。


「これは便宜的に点だと思ってね」


「ああ。大きな点って事だね」


「うん。まず、この点と点を結ぶと線になる」


 ショーマは点代わりの立方体同士を伸ばして繋いで1cm角長さ10cmの棒を作った。


「これは棒だけど太い線だと思ってね。この線の状態が一次元。で、この線を横に並べて集めると」


 ショーマは同じ棒を10本横に並べて10cm四方厚み1cmの板を作った。


「面が出来てこれが二次元。厚みは無視してね。で、更に上に重ねると」


 ショーマは今出来た板と同じ物を10枚重ね、一辺10cmの立方体を作った。


「立体になって、これが三次元。ちなみに俺達が生活してるのは三次元だね」


「へぇ。そう言う考え方があるのか。ショーマ君の元いた世界ではみんなが知っている事なの?」


「学校で算数を習ってれば何となく想像がつく感じかな。長さ、面積、体積の計算で習った様な気がする。あれ?でもこれは先生の話が脱線した時の雑学だったかな?まぁ、そんな感じ?」


「そうなんだ。それで、この空間(スペース)と言うのはどの次元の事なのかな?」


「ここから先は完全なるイメージなんだけど。

 この三次元の更に外に時間軸の支配する広大な空間があって、そこを四次元になってると仮定したんだ。それが俺の考えた空間(スペース)だよ」


 まぁ、あの超有名な国民的ロボットアニメのパクりですけどねー。


「なるほど。時間が支配する次元か。そこを通るから一瞬にして移動することが出来るんだね」


「そう言うこと!頑張れば時間を止めたり、過去や未来にも行けそうだけど、そこはまだイメージ出来ないんだよね」


「ショーマ君はそんな事も考えているんだ」


「将来的には時間停止機能の付いた大容量のバスケットを開発したいんだよね!」


「そんな物騒なもの、何に使う気だい?」


「物騒?ただ出来立ての食事を持ち運びたいだけだよ。家で作った料理をそこに入れて持ち運べばいつでもどこに居ても出来立てだよ!凄いでしょ!!」


 シドは胸を張ってそう言ったショーマに一瞬キョトンとした。そしてみるみる笑いが込み上げてくる。


「──ぷっ、あははは。ショーマ君は本当に食べることが好きなんだね」


「むぅ。そんなに笑わなくても良くない?」


「ははっ、ごめんね。そっか、いつでもどこに居ても出来立てって言うのは凄いね。ピクニックが何倍も楽しくなりそうだ」


「でしょ!」


「二人とも、魔法研究はそろそろ終わりにしてお風呂に行こう。ショーマはあまり夜更かししてるとサクラに怒られるよ」


 さっきまでソファでシドから貰った本をゆったりと読んでいたソラが、会話の終わったタイミングで二人に声を掛けてきた。


「はーい。シドさん、転移魔法は明日試そうよ」


「そうだね。明日にしよう」


 三人は一緒に風呂に入り、その後それぞれの部屋で就寝した。

 ショーマは寝室に入るとサクラに遅いとちょっとだけ叱られた。




  ◇◇◇




 翌朝、ショーマとシドは朝食を済ませると庭へ出た。


「ショーマ君は最初物を転移させてたんだよね?」


「そうだよ!流石に生体実験は安定してから始めたんだよね」


「なるほど。じゃあ私も物から始めよう」


 シドはまず、ショーマから教えて貰った魔法陣を書いた紙を足元に広げた。


「出口の魔法陣は入口の魔法陣から書かないと上手くいかないんだよね?」


「そうなんだよね。まぁ、すぐ隣位ならバラバラに書いても大丈夫だけど」


「なるほど。確かに転移魔法の特性を考えても入口出口がバラバラでは意味が無いか」


 シドはそう言うと、見本の魔法陣を見ながら隣に魔力を使ってものの数秒で魔法陣を綺麗に描き出した。


「シドさん魔法陣描くの早いね!」


「魔力操作は魔法の基本だからね。さて、これに起動用の魔力を通せばここに入口が開けるんだよね?」


「うん。上手くイメージ出来てれば入口になるよ」


「なるほど」


 シドは集中力を高め、改めて描いた魔法陣に魔力を流した。すると魔力陣がうっすら輝いた。


「おお!成功したっぽいよ!!」


「ふぅ。これでまだ半分なんだよね?転移魔法は結構疲れるなぁ」


「でもシドさんは凄いよ!一発で起動出来たじゃん!ユカリは何度やってもダメだったのに」


「ユカリって子は魔物に成り立てなんだよね?そもそもの魔力量が足りないんじゃないかな」


「な、なるほど。それは考えて無かった」


「ほら、ショーマ君も私も魔力量が尋常じゃないから起動出来たんじゃない?」


「そう言えばそうだった!」


「さてと、ここからが本番だね。出口の魔法陣を描かないと」


「あ、出口の魔法陣は裏返しに描いてね」


「裏返し?」


「そう。入口から描くと空間(スペース)側から描く事になるから、紙の裏から描くのと同じ様な状態なの」


「ふむ。これは難しそうだね」


 シドはもう一枚ある魔法陣を書いた紙を広げた。それを見本に入口の魔法陣から魔力を流していく。すると数m先の地面にゆっくりと魔法陣が描かれ始めた。先程の早業を考えるとかなり難しい作業の様だ。

 ショーマは出口の魔法陣が描かれる様子をそこに移動して確認している。


「シドさん!これなら大丈夫!」


 ショーマはそう言いながら手で大きな丸を作った。


「じゃあこの石を転移させるね」


 シドは拾った石を入口の魔法陣に乗せ、もう一度魔力を流し込んだ。


「転移」


 シドが鍵言を呟くと、魔法陣に置いた石が消えた。と同時にショーマから成功と声が掛かる。


「一発で成功させるなんてシドさんはやっぱり凄いね!」


「ありがとう。これは己の集中力の限界を試されている様な魔法だね。そう言えば、何故発動の直前に起動するようにしなかったのかな?」


 シドは少し疲れた表情でショーマに疑問を投げた。ショーマはそれに答える。


「最初は発動の直前に起動してたんだけどね。いろいろ試した結果、先に起動した方が出口を作りやすかったんだよ」


「ふむふむ。なるほどね」


 シドはその後何度も練習を繰り返し、入口の魔法陣は一瞬で、出口の魔法陣もそこそこ早く描ける様になった。

 そろそろ生体実験をしようかと言うタイミングでカエデにお昼ご飯だよと呼ばれた。





ショーマ「やっぱり人に教えるのって難しいねー」

朝木  「うん。しかし一発で成功したシドは流石だよね」

ショーマ「ほんとほんと」

朝木  「今思えば、良くあんな小難しい魔法を作ったもんだよ」

ショーマ「俺もそう思うよ。なんであの時はあんなに冴えてたんだろう」

朝木  「あれだ。能力:頭脳明晰のお陰だ」

ショーマ「あ、そんな事も書いてあったねー。絶対女神様の設定じゃないと思うけど」

朝木  「ショーマもそう思う?」

ショーマ「あの女神様だよ?絶対あれは世界のくれたものだと思う」

朝木  「あのって。まぁ、アレじゃ仕方ないかー」


 ショーマのたまにキレる頭脳は『能力:頭脳明晰』の賜物です。

 3歳児の頭にいきなり前世のうん十年分の記憶が宿れば必然ですね。

 女神様のファインプレーじゃないところが悲しい。泣

 ちなみに『容姿:眉目秀麗』は『魔力:大』以上になると付くオプションです。



 次回、転移魔法を魔道具に!?です。

 久し振りに彼らが登場予定!



 応援して頂けると嬉しいです(^^)

 訪問だけでも大感謝(^^)/



 ブックマークの追加ありがとうございます。

 でも久々の減で…(ノ_<。)

 しかーし!

 読んでくださっている方がいらっしゃるので頑張ります!

 アクセス数ゼロじゃないですもの!

 おほほほほ。(*T◇T*)


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