1―どこの世界も親は子が心配
※6/27…会話文の表現を修正。
ショーマは女神からの衝撃的告白の後、魔法学校へ入学するべく一度家へと戻った。
「ウルシ、ルリ、半年くらい出掛けるから自由にしてて良いよ。ウルシは元居た三又の木の辺りにいる?」
ウルシは頷く。
「ルリはどうする?ウルシと一緒に行く?」
ルリも頷く。
「わかった。また手伝って貰う時に呼びに行くね」
ショーマはウルシから鞍と手綱を外し、ルリから荷物を降ろして洞窟へと入っていく。
「サクラさん、ただいまー!」
洞窟にはサクラと卵が居る。
『お帰りなさい。今度は人間の学校に行くんだって?』
「あれ?女神様に聞いた?そうなの。ちょー楽しみ♪卵もただいまー」
ショーマは卵の近くに寄る。
『気を付けてね。ちゃんと変装はしていきなさいよ?』
「あ、そうだった。最近街に行ってなかったから忘れてたよ」
『もう、ショーマは相変わらず抜けているんだから』
「あはは。大丈夫だよー!」
『本当かしら。まぁ、行くのはずっと東の街だから多少何かあっても大丈夫かな?』
「え?東の街?」
ショーマは首をかしげる。
『そうよ。だって、ここの近くでショーマの事知っている人間を増やさない方が良いでしょう?』
「うん。確かに今後の事を考えたらそっちの方が良いね」
『私達はちょっと寂しいけどね』
「大丈夫。コイツが生まれてくるまでには戻ってくるから」
ショーマは卵を撫でる。
『そうね。たったの半年だものね。
街まではソラに送るように言ってあるから、ショーマも後でお願いしておきなさいね』
「うん。わかった!サクラさんもありがとう!」
『はい、どういたしまして。ほら、ソラが剣を持って広場で待ってるから行ってきなさい』
「はい!行ってきます!」
ショーマはソラと稽古をするべく、いつもの広場へ向かった。
◇◇◇
稽古の後、ショーマとソラは二人で少しおしゃべりをするのが習慣になっている。
「あ、そうだ。ソラさん、魔法学校まで送ってくれるの?」
「あぁ、東の街じゃさすがに遠いからね」
「ありがとう!助かるー!!」
「まだショーマは13歳なんだよな。一人で大丈夫か?」
ソラは心配そうにショーマを見る。
「大丈夫大丈夫!一人でなんでも出来る様になったし、学校には寮もあるって言うし」
「そっか。じゃあ安心だね」
「もう。ソラさんもサクラさんも過保護だよー。最近はずっと一人で行動してるんだよ?」
ショーマは頬を膨らませる。
「この近くで魔物を相手にしてるなら、何かあっても簡単に助けに行けるからな。でも今回は大事な一人息子が半年も遠くの地に、しかも人間の街に行くんだよ?心配でしょうがないよ」
「一人息子って。今は卵もいるよ?」
「それでも、生まれるまではショーマだけが息子だよ」
「そっかぁ。俺、一人でも頑張ってくるから。応援してて!」
ショーマ嬉しそうに宣言した。
「当たり前だよ。応援するのも親の仕事だから。
そうだ、学校に行ってる間も剣の練習はしっかりやらないと駄目だよ。魔法ばっかりでも強くなれないからね?」
「はーい!成長してソラさんを驚かせてあげるよ!」
「うん。楽しみにしてるよ」
ソラはショーマの頭を撫でた。
◇◇◇◇◇
魔王は両親にとても愛されているようだ。
本当の家族ではなくても、ここまで仲良くなれるのだな。
◇◇◇◇◇