遊撃隊
「やぁ、元気か?第2幕もそろそろ終わるが心の準備は出来てるか?えっ?何の準備だって?はっはっは、君は俺と別れるのが寂しくないのか?えっ?別にって?えー!じゃ、グッバイ!」
「ガチャ」
何かの音がした。
アントレイヤを暗殺から救い出したギール達はアントレイヤを近くの病院へと運び、スペード師団の数名を護衛に残し再び南の防衛に戻っていた。
そしてアントレイヤが倒れた事をきっかけに北軍は再び挙兵し中央地区へと攻め込んでくるのであった…
その頃、南防衛軍では作戦会議を行っていた…
「皆忙しいところよく集まってくれた」
南防衛軍の最高司令官が10名の幹部達にそう言った。
その幹部達の中にギールの姿もあった。その頃スペード師団は中央軍の遊撃隊として南防衛軍に参戦していた。
遊撃隊とは正規軍に属さず特別部隊や別働隊の事を指す。
スペード師団はアントレイヤが中央軍の最高司令官になった事により、より幅広く活躍の場を広げる為に中央軍の遊撃隊となっていた。
言い方を変えると中央地区のどこかで何かがあった場合にすぐに対処出来る部隊であり、戦う場が増え、それだけ死が近くなったとも言える。
幹部A「急に皆を集めて何かあったんですか?」
「ウチの最高司令官、アントレイヤ殿が倒れた事をいい事に北軍が再び挙兵した… そこでウチの師団の中から2、3師団を応援によこして欲しいと中央政府から要請が来た」
南防衛軍の最高司令官が椅子に座る皆を見てそう言った。
「またですか?そうゆう事ならギールさんのところに行ってもらえばいいんじゃないですか?」
南防衛軍の幹部Aが面倒くさそうにそう言った。
幹部B「何でギールさんのところになるんだ?前回もギールさんのところが北討伐軍に参戦したんだぞ?」
幹部A「そうゆう時の為の遊撃隊だからだろ?」
幹部B「そうじゃないだろ!はっきりと言えよ!自分とこの兵隊を減らしたくないんだろ!」
幹部A「なっ、そんな事言うならお前のところが行けよ!」
「バン」
⁈
突然、南防衛軍の最高司令官が机を叩き皆は驚いて最高司令官の方を見た。
「今回、スペード師団には南防衛に残ってもらう」
南防衛軍の最高司令官は腕を組み話を続けた。
「ウチから2、3師団応援に行かせれば、南の防衛が手薄になるのは必然… スペード師団にはその穴を埋めてもらう」
南防衛軍の最高司令官はギールを見てそう言った。
「分かりました」
ギールは腕を組みながらそう言った、そしておもむろに立ち上がり幹部Aのところにやって来た。
「残念だったな幹部A」
ギールは右手で幹部Aの右肩を掴みそう言った。
「止めろギール」
南防衛軍の最高司令官がギールにそう言った。
「何もしませんよ、最高司令官殿」
ギールはそう言い幹部Aに寄り添った。
「お前、自分とこの兵隊減らしたくないって?」
ギールは幹部Aに静かに詰め寄った。
幹部A「おっ、俺は何も… そんな事… 言ってませんよ」
「そうか… なら次の北討伐軍には参戦出来るよな?」
ギールは幹部Aの目を見てそう言った。
幹部A「なっ、何で俺のところが行かなくちゃいけないんですか!」
「ドン」
ギールは左手で机を叩いた。
⁈
幹部Aはその音に驚いた。
「お前、さっき俺のところに行かせようとしたよな?テメーのところが行きたくないばっかりに俺のところに行かせようとしたよな?」
ギールが幹部Aの額に自分の額を押しつけながらそう言った。
「あぁ、そうだよ!それのどこが悪い!」
幹部Aは開き直りそう言った。
「ガンッ」
ギールは額を思いっきり幹部Aの額にぶつけ気絶しかけた幹部Aの髪を掴んだ。
「ギール止めろ!」
南防衛軍の最高司令官が慌てて椅子から立ち上がりギールに近いて来た。
「俺たちの部隊は別にどこに行こうが構わない… だが人が中央軍の為に命懸けで戦っているのにこうゆう奴がいると俺は許せないんですよ!」
ギールが最高司令官の方を見てそう言った。
「分かった、分かったからそれ以上手を出すな」
南防衛軍の最高司令官がそうギールをなだめた。
「ドン」
ギールは幹部Aの髪を掴みながら幹部Aの顔を机に叩きつけた。
机は壊れ幹部Aはそのまま気絶した。
「軟弱者が」
ギールはそう言い自分の席に戻った。
そして幹部Aは気絶し床に転がったまま会議は続きどこの師団が応援に行くか決定したのだった…
応援に行くのは3師団に決まりその中に幹部Aの師団も入っていたのだった。




