老兵
これは北地区が独立を宣言した直後の話だ…
病気や怪我をした兵士達を預かる兵士専用の病院にセナが1人でやって来た。
そして病院のベットに横たわる老兵の右手をセナは握った。
「先生… ついに北地区が独立を宣言しましたよ」
セナは静かにその老兵にそう言った。
セナのその言葉を聞いた老兵はセナを見てから目に涙を浮かべ静かに頷き身体を震わせた…
老兵はしばらく天井を見たまま泣いた後、喋るのも苦しそうにセナに言った。
「ワシが… ワシが… もう少し若ければ… 孫たちの… 仇を… ゴホンゴホン」
老兵はそう言い左手のひらを口にやり咳をした。セナが老兵の左手のひらを見ると血がついていた…
「先生… 先生のお孫さん達の仇は私が必ず取ります… だから先生はゆっくりと身体を治して下さい」
セナがそう言い近くにあった手拭き紙を取り老兵の口についている血と手についた血を拭いた。
「ありがとう… ありがとう… 」
老兵はそう言いセナに微笑み静かに眠りについた。
この老兵はセナに銃を1から教えた先生であった…
また、狙撃の名手であり北地区の軍人なら誰もが知っている程の有名人であった。
そしてこの老兵には3人の孫たちがいたのだが、ある日、中央地区の略奪の際うるさいと言う理由だけで3人とも略奪兵に殺されたのだった…
両親はその場にいたが何も出来なかったそうだ…
老兵はそれ以来元気をなくし、ついには病気にまでなってしまったのだった…
だがそれは老兵だけでなく、目の前で子供を殺された子供たちの両親もまた精神障害で入院していたのだった…
先生の無念… 私の無念… そして北地区の人達の無念… やっと晴らせる時が来た…
セナは自身が着る軍服の内側から銃を取り出し、先生の眠るベットの上の台に置いてあった軍服から先生の銃を取り出し交換した…
そしてセナは病院を後にしたのだった。
そして月日は流れた…
ある日の事…
北月師団長のキューイが北月師団の最高幹部達を一同に集め作戦会議が行われた。
「ブル最高司令官より、命令があった」
キューイはそう言いみんなの目を見た後に話を続けた。
「これより俺たちは中央軍の最高司令官を暗殺する任務に就く」
キューイはみんなの目を見ながらそう言った。
⁈
「それはいくらなんでも無茶じゃないですか?中央軍は60万もの大軍で北に押し寄せて来てるんですよ?」
ジルがキューイにそう言った。
「大丈夫だ、この作戦は必ず成功する」
キューイが腕を組みそう言った。
「何を根拠に?」
セナがそう聞いた。
「ブル最高司令官の話しだと中央軍の師団の1つにウチの味方がいるらしい、つまりその師団の人間は皆北の味方だ」
キューイがそう答えた。
⁈
「1個師団が丸ごと味方?」
セナは驚きながらそう言った。
「あぁ… 何故味方なのかは分からんが、ブル最高司令官が言うにはそうらしい… 」
キューイは腕を組みながらそう言った。
「そうなんだ… それで?作戦はどうするの?」
セナがそう聞いた。
「その師団が中央軍の最高司令官のところまで我々を手引きしてくれる。そして俺たちが最高司令官を暗殺して首を持ち帰る」
キューイが首を斬る動作をしてそう言った。
「そんなにうまく行く?」
セナは怪訝そうにそう聞いた。
「はははっ、うまく行くさ、何故なら中央軍の最高司令官を護衛してるのはその師団だからな!」
キューイが笑いながらそう言った。




