密偵のスペシャリスト・マーサ
「やぁ、いつもの通りギール様だ!前回はまんまと北の策略にやられちまって、君に恥ずかしいところを見られちまったな!全く恥ずかしくて穴があったらいじりたいくらいだぜ!じゃ、グッバイ!」
「ガチャ」
ギールがそう口走った。
中央軍は北軍の夜襲を受け退却を余儀なくされた…
そして中央軍はまた重要拠点から10キロ程離れたところに再び拠点を置いたのだった…
そして数日が過ぎたある日の事…
アントレイヤが拠点のテント内にいたところにギールが突然やって来た。
「アントレイヤこれからどうする?」
ギールがテント内の椅子に座り机を挟んだ向かいの椅子に座るアントレイヤを見てそう聞いた。
「偵察隊の話だと、北軍はまだこっちに攻めて来る様子はないみたいだ… 勝ち戦に乗じて一気に攻めて来ると思っていたが意外に北も慎重だな… 」
アントレイヤが机の上で肩肘をつきながらそう言った。
「そうだな… で、これからウチはどうするんだ?」
ギールはアントレイヤに返答を迫った。
「それを今考えてるところだよ」
アントレイヤは頭をかきそう言った。
「えっ?そうなの?」
ギールは何やら嬉しそうにそう言った。
「ギール… 君に何かいい案があるみたいだな
」
アントレイヤはニヤつくギールを上目遣いで見ながらそう聞いた。
「あはっ、分かった?」
ギールは口元を歪めながらそう言った。
「それだけニヤついてたら誰だって分かるよ!さぁ、早く君の案を聞かせてくれ」
アントレイヤはギールを急かした。
「実はな… ウチの師団で放った密偵から報告があってな」
ギールが微笑みながらそう言った。
「密偵から?なんて報告があったんだ?」
アントレイヤは怪訝そうにそう聞いた。
「北の最高司令官が北地区に戻ったらしい」
ギールが口元を歪めそう言った。
⁈
「えっ?なんで?」
アントレイヤが驚きながらそう聞いた。
「密偵が言うには北の最高司令官の持病が悪化したらしい」
ギールが微笑みながらそう答えた。
「えっ?マジで?それチャンスじゃん!いや… 待てよ… でもそれ、また罠とかじゃないのか?」
アントレイヤは怪訝そうにそう聞いた。
「はっはっは、密偵には奴を行かせているからこの情報は間違えない」
ギールが笑いながらそう答えた。
「奴ってまさか… マーサの事?」
アントレイヤがそう聞いた。
「はっはっは、その通り」
ギールが頷きそう言った。
「師団の最高幹部を密偵に行かせるなんて… まぁ、君らしいと言えば君らしいが… 」
アントレイヤは少し呆れたようにそう言った。
「はっはっは、あいつはそうゆうのが得意中の得意だから喜んで行ったぞ」
ギールが笑いながらそう言った。
「まぁ、その特技でスペード師団の最高幹部にまで登りつめた奴だからな… だが、いつ死んでもおかしくない任務に最高幹部を… まっ、いっか… 」
アントレイヤは諦めたようにそう言った。
「はっはっは、アントレイヤ君!時は来た!北の最高司令官がいなくなった今!北軍に突撃を開始する絶好のチャンスだ!北の連中を蹴散らすぞ!」
ギールは椅子から立ち上がり、机を両手で叩き大きな声でそう言ったのだった。




