内通者
「やぁ、俺が誰だかわかるか?そうギール様だ!君はよく分かっているじゃないか!今闘いの真っ最中だから後でな、じゃ、グッバイ!」
「ガチャ」
ギールとキーナが剣を構えた。
「お前の剣の腕、気に入った!お前中央軍に入らないか?」
ギールが剣先をキーナに向けながらそう聞いた。
「俺が中央軍に?お前バカか?突然何を言い出すかと思ったらくだらない事を… 」
キーナが剣先をギールに向けたままそう答えた。
「そうか… なら仕方ないな… アントレイヤ!こいつは俺が殺る、君は北の最高司令官を早く殺るんだ!」
ギールはそう言いキーナに斬りかかった。
「シャキィン、シャキィン、シャキィィン」
ギールとキーナが斬り合い始めた。
「分かった」
そう言いアントレイヤはその隙にブル最高司令官の元にやって来た。
「悪いがお前の命運はここまでだ」
アントレイヤはそう言いブル最高司令官に斬りかかった…
「お前はあの時の… 」
ブル最高司令官はそう言い剣を抜いた。
「シャキィン」
ブル最高司令官がアントレイヤの剣を受け止めた。
「ガッハッハッハ、また貴様だったのか!スペード師団長のアントレイヤ!いや… いまや君は中央軍の最高司令官のアントレイヤか?ガッハッハッハ」
ブル最高司令官はアントレイヤの剣を受け止めたままそう笑った。
「さすが北の最高司令官だな… 情報がまわるのが早いみたいだ」
アントレイヤはブル最高司令官に向け剣を押しながらそう言った。
「中央軍の最高司令官である貴様が暗殺に自ら来るとは余程のバカか、腕に自信があるのか… まぁ、そんな事はどちらでもよい、私を殺したところで何も変わらんぞ」
ブル最高司令官が口元を微かに歪めそう言った。
「シャキィン」
ブル最高司令官がアントレイヤの剣を弾き返し2人は間合いを取った。
「さっきからお前は何を言っているんだ?」
アントレイヤが剣を構えながらそう聞いた。
「中央軍の最高司令官である君にさえ奴は何も教えてないようだな… 何を考えているのやら… 」
ブル最高司令官も剣を構えたままそう言った。
「奴?何も教えてない?それはどうゆう事だ?」
アントレイヤが剣を構えたままそう聞いた。
「ガッハッハッハ、しょうがない、なら君に1つだけ教えてあげよう、先の大戦で中央軍の最高司令官が暗殺されただろ?」
ブル最高司令官が剣を構えたままそう言った。
「それがどうした?」
アントレイヤは怪訝そうにそう聞いた。
「北討伐軍には60万もの大軍がいたにも関わらず、何故、前任の最高司令官は暗殺されたと思う?最高司令官の周りには沢山護衛もいた筈だ!」
ブル最高司令官は語尾を強めそう言った。
「たっ、確かにその通りだ… 俺達もいまだにそれが分からないでいる… 」
アントレイヤが剣を構えながらそう言った。
「ドマだ… ドマを調べてみるんだな… 奴が前任の最高司令官の暗殺に関わっている」
ブル最高司令官は剣を腰にしまいそう言った。
( ドマ… ウチの師団長の1人… )
「何故、その事を俺に話した?ドマが北の内通者なら、この話はお前にとってもマズイんじゃないのか?」
アントレイヤは剣を構えたままそう言った。
「君が現中央軍の最高司令官であるにも関わらず何も知らない事が憐れでな、ガッハッハッハ」
ブル最高司令官は剣を構えるアントレイヤに近づきアントレイヤの肩に右手を置きそう高笑いをしたのだった…




