一騎打ち
「やぁ、皆元気か?俺はギールだ。前回ついに南軍との戦が始まったんだが皆心配しないでくれ、俺は強い!だから大丈夫だ!えっ?誰も心配してねーよって?えー!」
「ガチャ」
ギールが動揺して剣を落とした音がした。
「縁起でもない… 」
ギールはそう言いながら落とした剣を拾った。
「どうした?」
師団長がギールにそう聞いてきた。
「いや、なんでもない… 」
ギールは拾った剣を腰に戻しそう答えた。
「まさかお前… 戦で緊張してるのか?いや、そんな事ないか… お前程の者が緊張する訳ないよな… 」
師団長がそう言った。
「当たり前だ、たかだか4万の軍勢に俺が緊張する訳ないだろ?4万くらいなら俺1人でも蹴散らせるわ」
ギールは腕を組みながらそう言った。
「じゃあ1人で行って来て」
師団長が笑みを浮かべながらそう言った。
「えっ?」
ギールが目を見開き驚きながらそう言った。
「今1人で蹴散らせるって言ったんだから行って来てよ、1人で… 俺は昼寝して君が南軍を蹴散らすのを待ってるからさぁ」
師団長が急に真面目な顔でそう言ってきた。
「じょ、冗談はよせよ、1人で行ったらただのリンチになるだろ?俺死んじゃうよ?いいの?」
ギールは冷や汗をかきながらそう言った。
「いいから行って来てくれ」
師団長が真面目な顔でそう言った。
「えー!それマジで言ってんのー!」
ギールがそう叫んだ。
「はっはっは、半分冗談で半分本気だよ、ちょっと最前線の様子見て来てよ、君の見る戦場の様子の意見が欲しくてね」
師団長がそう言った。
「なんだそうゆう事か… 分かったよ君の為に最前線の様子を見て来るか」
ギールはそう言って馬を用意させるよう近くの兵士に言った。
「頼んだよ」
師団長がそう言った。
「任せときな」
ギールはそう言い馬に乗り最前線へと馬を走らせて行った。
ギールが最前線に着くと兵士達が何やら騒いでおり、最前線の陣がお祭り騒ぎになっていた… ギールが馬を降り1人の兵士に近寄った…
「この騒ぎは一体どうゆう事だ?」
ギールが兵士にそう聞いた。
「あっ、ギール副師団長!この騒ぎの事ですか?一騎打ちですよ、一騎打ち!南軍の連中、俺たちがスペード師団だって言ったらスペード師団がそんなに強いのか?だったら強い奴出して見ろって言って来て一騎打ちが始まったんですよ!」
兵士がそう答えた。
「何?そんな面白い事やってんの?どれどれ」
ギールはそう言い人だかりの前の方を背伸びして覗いて見ると人だかりの真ん中に円になった縦横10メートル程の空間があり、その空間の中、一対一で兵士達が闘っていた…
「今ウチの連中が3人あいつに殺られちゃってるんですよ!で、このままだとウチのメンツに関わるって言って、この最前線を任せられてる旅団長が一騎打ちに参加しちゃったんですよ!コレ負けたらウチの旅団は終わりですわ!」
兵士がそう言った。
「終わりですわってそう簡単に言われてもね〜」
ギールは頭をかきながらそう言った。
「だって一騎打ちは通常頭を殺られたら終わりって言うのが決まりじゃないですか!向こうも代表5人コッチも代表5人で一騎打ちを開始したんですが3人いきなり殺られちゃって団長が出ていっちゃったんでコレ殺られたらアウトなんですよ!」
兵士が息を荒げながらそう言った。と、その時、遠くの兵士達から歓声の声が聞こえて来た…
「だ、団長が… まっ、負けた… 」
ギールの横にいた兵士がそう言った。と、その時、兵士達から叫び声が聞こえて来た…
「退却!退却!逃げろー!」
スペード師団の兵士達がそう叫び逃げ始めた…
「マジかよ… 」
ギールはそう言い兵士達と一緒に退却するのであった…