退却命令
「やぁ、ギール様だ!北軍に囲まれて大ピンチになってるギール様だ!えっ?早く殺られちまえだと?はっはっは、君ちょっと北軍の兵士に混じりなさい、俺が北軍の兵とまとめて君もあの世に送ってやろう!はっはっは、じゃ、グッバイ!」
「ガチャ」
北軍の兵士達をかき分けてギールの前に来た兵士の鎧の音がした。
「俺が相手になってやるよ!」
北軍の兵士がギールに剣先を向けそう言った。
「なら相手になってもらおうか」
ギールはそう言い北軍の兵士に斬りかかった。
「シャキィン、シャキィン、シャキィィン」
「グサッ」
ギールは北軍の兵士の心臓の辺りを刺した。
「グッ」
そう言い北軍の兵士はその場に倒れ込んだ。それを見て勇気が湧いた北軍の兵士達が一斉にギールに襲いかかって来た…
その時だった… ギールが北軍の兵士達に囲まれている事に気付いたアントレイヤとスペード師団がギールを助けに馬を全速力で走らせやって来た…
そして、ギールを囲んでいた北軍の兵士達をアントレイヤとスペード師団が蹴散らした…
「危ないところだったな」
アントレイヤが馬に乗ったままギールに近づきそう言った。
「おせーよ」
ギールはアントレイヤにそう言い微笑んだ。
「悪かったな… 」
そう言いアントレイヤも微笑んだ。
その後、中央軍の戦況がよくないと見たアントレイヤは一時退却する事にした…
「退却命令を出せ」
アントレイヤがそう言い、中央軍は退却したのだった…
そして北軍に奪われた重要拠点から10キロ程離れた場所に中央軍の拠点を構えた。
「さすが百戦錬磨の北軍だな… 一筋縄ではいかないみたいだ… 」
アントレイヤが隣にいるギールにそう言った。
「あぁ… 俺も危ないところだったぜ」
ギールが腕組みをしながらアントレイヤを見てそう言った。
「そうだな… 俺のおかげで命拾いしたな… 今度何かおごれよ」
アントレイヤが微笑みながらギールを見てそう言った。
「あぁ、なんでもおごってやるよ、俺は借りを返す男だからな」
ギールも微笑みアントレイヤを見ながらそう言った。
「そうか… じゃあ今度牛一頭分の肉でもご馳走になるかな」
アントレイヤがそう言った。
「はっはっは、牛一頭分だろうが二頭分だろうが食えるだけ食えばいいさ」
ギールがそう言った。
「分かった、そうさせてもらうよ」
アントレイヤがそう言った。
「あぁ、好きなだけ食べてくれ。ところで話は変わるが一体この先どうするつもりだ?」
ギールがそう聞いた。
「う〜ん、そうだな… 先の戦でウチの兵士が約3万殺られた… 北軍は約1万… やはり北軍相手に正攻法で行くのは難しいみたいだ… 」
アントレイヤが頭をかきながらそう言った。
「なら、南軍がウチに仕掛けた夜襲のやり方を真似してみるか?」
ギールがアントレイヤに微笑みながらそう言った。
「南軍がウチに仕掛けたやり方?」
アントレイヤはなんの事を言っているのか分からなかった。
「あぁ… そうだよ… いいか?まず中央軍の連中に北軍を夜襲させてその間に俺達精鋭部隊が敵の最高司令官を暗殺するんだよ」
ギールがそう説明した。
「あぁ、あのやり方か… 」
アントレイヤはギールの説明を聞いて思い出した。
「どうだ?やるか?」
ギールがそう聞いた。
「面白い… やってみるか… 」
アントレイヤはそう言い、偵察隊を呼び寄せ北軍の最高司令官がいる場所を調べるよう命令したのだった…




