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北の陣 第2幕  作者: m
33/62

カーテン

「やぁ、元気?あいさつはいつもの通りギール様が担当だ!えっ?前々回のおわりでアントレイヤと2人で肩を叩き合った後に何かなかったかって?はっはっは、あの後2人で殴り合いの大喧嘩よ!な〜んてね!じゃ、グッバイ!」


「ガチャ」


ギールが短刀を落とした。


ギール率いるスペード師団はあの中央政府の城での騒ぎの後、南の防衛の為に元にいた拠点へと戻っていた…


南防衛軍の最高司令官の話では最近南軍が大人しくしていると言う事だった…


アントレイヤはあの中央政府の城での騒ぎの後、中央軍の現状を即座に調べ、軍の立て直しを図る為、中央軍を再編成したのだった。


そして幾日が過ぎたある日の事…


「ギール師団長殿!」


立派なヒゲを生やした兵士がギールの前に慌てた様子でやって来た…


「なんだ?うっとうしい… 」


ギールは無愛想にそう答えた。


「アントレイヤ殿から指令が来ました… この指令書を読んで下さい!」


ヒゲの兵士がそう言い指令書をギールに手渡した。


【 中央軍の主要拠点を北軍に奪われたスペード師団は急ぎ援軍を頼む 】


手紙にはそう書かれていた…


「マジかよ… 」


ギールは手紙を見てそう言った。


「どうしますか?」


ヒゲの兵士が心配そうにそう言った。


「そうだな… スペード師団から1万の兵を援軍に送ろう… 残り5000はここの防衛に当てる、南軍も今は大人しくしてるから、ここの守りは5000でも大丈夫だろう… ここの指揮は副師団長のお前に任せる」


ギールは手紙を持ちながらヒゲの兵士を見てそう言った。


「はっ!ではその様に返書を送ります!」


ヒゲの兵士は敬礼しその場を立ち去った。




援軍要請を受けたスペード師団は再び北軍との戦に向け1万の兵を走らせた…




そしてスペード師団が北討伐軍に合流する前夜の事… ギールとアントレイヤは中央政府の城からアントレイヤの家に帰る為の馬車に乗っていた…


「いよいよ明日か… 」


ギールは馬車から暗い外を見ながらアントレイヤそう言った。


「あぁ、そうだな… 」


アントレイヤは腕を組みながらギールにそう言った。


「家族にはなんて言うんだ?」


ギールは外を見ながらそう聞いた。


「そうだな… 正直に言うよ… 俺はいつもそうしてるからな」


アントレイヤは少し暗い表情なっていた。


「そうか… ロウは元気か?」


ギールは馬車のカーテンを閉めてそう聞いた。


「あぁ、元気だよ、子供はいつも元気でうらやましいくらいさ」


アントレイヤは腕組みをしながらギールを見て微笑んだ。


「そうか… 」


ギールも腕組みをしながらアントレイヤを見て微笑んだ。


2人の乗った馬車がアントレイヤの豪邸に着き2人は馬車から降りた。すると続々と何十台もの馬車から護衛兵も次々と馬車を降りてきた。


「寄ってくか?」


アントレイヤが豪邸を右手の親指で指しギールにそう聞いた。


「親子みずいらずの時間を邪魔しちゃ悪いから俺はこのままスペード師団の拠点に帰るよ!明日また会おう」


ギールはそう言い右手を上にあげ軽く横に振った。


「そうか… 分かった… じゃあ、また明日」


アントレイヤも右手を上げあげ軽く横に振った後、豪邸へと入って行った…


その時、ギールはアントレイヤの豪邸の2階のカーテンが動いた事に気がついた…

カーテンが動いた部屋をよく見てみるとロウがこちらを部屋の窓から伺っていた…


( いつの間にかまた大きくなったな… )


ギールはそう思いながらもアントレイヤの豪邸を後にするのであった…















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