白馬の〇〇様
「やぁ、ギールだ。風邪は治ったか?えっ?心配してないクセにそんな事言うなだって?はっはっは、君はよく分かっているじゃないか!あぁ、その通りだよ!心配どころかむしろトドメを刺したいくらいさ!はっはっは、じゃ、グッバイ!」
「ガチャ」
ある森でスペード師団は馬を止めた…
スペード師団は中央政府の城を出た後、都でスペード師団全員分の服を集めた。その服は町人が着る服であった。
そして後から来たスペード師団の歩兵隊と合流し、全員町人の服装に着替え、南軍が陣を敷いている山の裏側にある森に来たのだった。
「ここで連絡を待つ約束をした… ここなら森も深い、北軍も気づくまい… 」
スペード師団長がギールにそう言った。
「まさか町人が避難しているように見せかけるとは君はやっぱり凄い奴だな… 」
ギールが感心しながらそう言った。
そしてスペード師団が深い森で待機する事、2日後… 事態は動いた… 早馬がスペード師団長の元にやって来て北軍が和睦交渉を蹴った事を伝えた。
そして北軍が都に向かって突撃を開始した事を知るのであった。
スペード師団長は兵士を周りに集め、馬に乗り剣を振り上げた。
「北軍がついに山を降りた!これから北軍の後方より我々が攻撃を開始する!皆俺に続け!」
スペード師団長がそう叫び、スペード師団は北軍の後ろから突撃を開始する為に森の中を疾走したのだった。
スペード師団が森を疾走する事、3時間ついに北軍の後方部隊を発見した。
「突撃開始ー!」
スペード師団長がそう叫び、スペード師団は北軍の後方部隊に向け突撃を開始した。
北軍の後方部隊は初め町人達が襲って来たのだと勘違いをしていた… だが襲って来たのが中央軍だと知り途中から大混乱となったのだった。
そしてスペード師団は北軍の後方部隊を撃破しさらに歩を進めた。
すると広い荒野に差し掛かり、今回の戦で北軍の攻撃を全て指揮している人物がいる部隊にぶつかった。スペード師団はそんな事は知らずに…
「突撃開始ー!」
師団長がそう叫び突撃を開始したのだった。
スペード師団長が馬に乗りながら敵兵を斬って行く中、立派な白い馬で飾りつけも凄い派手な馬に乗っている人物を発見した。
スペード師団長は敵兵を斬りながら白い馬に乗る人物に近づいて行った。
そしてスペード師団長は立派な白い馬に乗る人物に斬りかかった。
「シャキィン」
スペード師団長の剣がその人物の剣に受け止められた。
「お前は只者ではなさそうだな」
スペード師団長がその人物にそう話しかけた。
「ガッハッハッハ、お前の方こそ何者だ?」
白い馬に乗る人物がそう聞いた。
「俺はスペード師団の師団長だ」
スペード師団長がそう答えた。
「ガッハッハッハ、お前達が中央軍の精鋭部隊か、私はブルだ、北軍の最高司令官、ブル様だ!」
ブル最高司令官がそう言い話しを続けた。
「精鋭部隊を俺にぶつけてくるとはあの男… この作戦はやはり無理があったと言う事か… 」
ブル最高司令官は独り言のようにそう言った。
「シャキィン」
ブル最高司令官はスペード師団長の剣をはじき返した。
「まだ私には奴を殺る事は出来ないみたいだな… 裏を取られてしまってはしょうがない… 北軍は退却させよう… 君も兵を引き上げなさい」
ブル最高司令官がスペード師団長にそう言った。
⁈
「なんだと?何を1人でごちゃごちゃと言っているんだ?しかも退却させろだと?」
スペード師団長がそう言った。
「君は知らなくてもいい事だ… だが君達が正義だと思っている事は必ずしも正義だとは限らない、その事だけは忘れないでおきたまえ!」
ブル最高司令官はそう言い北軍に退却命令を出し物凄い速さで馬を走らせ退却して行った。
こうして北軍は全て退却して行ったのだった。




