スペード師団の作戦会議
「やぁ、キューイだよ。えっ?バレバレだって?なんで分かったんだ!あぁ、そうともギールだよ!えっ?前回でやった8メートルの熊は無理があるって?はっはっは、昔は木も生き物もみんな大きかったんだ!今でも鮭の事を見ればなんとなくでも分かるだろ?小さい鮭が危険だけど餌が豊富な海に出れば大きくなって帰ってくるんだ、だが小さいまま川に残った鮭は小さいままさ、もし君が鮭だったらどちらの生き方を選ぶ?じゃ、グッバイ!」
「ガチャ」
ギールが第3最前線のテントの中で剣を落とした。
ギール達一行は、あの戦いの後本陣に援軍に向かったのだが、第3最前線の拠点でスペード師団の本陣と鉢合わせとなった。
なんでも南軍がスペード師団の本陣を奇襲して来てしばらくして退却して行ったとの事だった。どうやら一時本陣を動けなくする為の奇襲だったようだ…
そしてスペード師団の本陣が第2最前線に援軍に向かったところギール達一行と鉢合わせになったと言う事だった。
そして第3最前線にスペード師団の全軍が集まる事となった。
後に調べると先の戦いでの死傷者は4000人を越えていた… コレはほぼ1個旅団を失った事を意味していた。
そしてギールと師団長は今後の事を話し合う為に第3最前線のテントの中にいたのだった。
「どうする?」
ギールが師団長に腕組みをしながらそう聞いた。
「どうするかねぇ… 第1最前線を取り戻すか、第2最前線をスペード師団全軍で守るか… 」
師団長も腕組みをしながらそう言った。
「俺は第1最前線を取り戻す方に1票だな」
ギールがそう言った。
「いや、俺は守りに1票です」
立派なヒゲを生やした兵士がそう言った。
「そうか… 」
師団長がそう言った。
「おい、ところでなんで重要な作戦を話し合ってるのに、お前が当たり前な顔してここに居るんだ?」
ギールはヒゲの兵士に向かってそう言った。
「そんなぁ、意地悪な事言わないで下さいよ〜」
ヒゲの兵士がそう言った。
「命惜しさに逃げようとする兵士などスペード師団にはいらんぞ!」
ギールがヒゲの兵士を睨みながらそう言った。
「そんなぁ、捕虜だって無事に逃がしたし、いいじゃないですか〜」
ヒゲの兵士がそう言った。
「お前のような兵士がいるといざと言う時に軍の士気が下がるからいらないんだよ!」
ギールがまだヒゲの兵士を睨みながらそう言った。
「そんなぁ、でも結局あの時、私もギール殿と一緒に死ぬ覚悟を決めたじゃないですか〜」
ヒゲの兵士はそう言った。
「自分で覚悟を決めた訳じゃないだろ?俺が覚悟を決めさせたんだろ!」
ギールはヒゲの兵士をまだ睨みながらそう言った。
「そっ、それはそうですが… でも、お笑い要員として必要でしょ?自分で言うのもなんですが… こんな立派なヒゲを生やした兵士が臆病なんて笑えるじゃないですか!ね!ギール殿!お笑い要員としてスペード師団の最高幹部のままいさせて下さいよ!」
ヒゲの兵士がそう必死にお願いした。
「笑えるか?俺は全然笑えんぞ?むしろ臆病な奴が近くにいたら不安だ」
ギールが睨みを解いてそう言った。
「いやっ、ならその不安を面白がって下さいよ!臆病な奴が近くにいたらいつ裏切るか分からなくてドキドキするでしょ?」
ヒゲの兵士がそう言った。
「はっはっは、面白い!それは確かに面白いな!なら、お前がいつ裏切るのか楽しみにする事にするか!はっはっは」
ギールはそう言った。
ギールとヒゲの兵士の2人の会話が終わるのを待って師団長が言った…
「決めた… 第1最前線の拠点を取り戻すぞ」