恋愛上級27
二週間後
ママと圭太、私の三人は空港に来ていた。
尾田さんを見送る為に。
いろいろ覚悟は、してきたつもりなのにいざ尾田さんを目の前に
したら、涙が・・・
「結衣ちゃん今まで、ありがとう。次に会える日を楽しみに
しているよ。素敵な女性になりなさい。」
「瀬戸君結衣ちゃんのことお願いします。自分に正直に生きなさい。
僕みたいに後悔しないようにね。」
優しい声にまた涙が・・・尾田さんにちゃんと言わなくちゃ
「尾田さんありがとう。体に・・・気をつけてね!
日本で、待ってる。」
尾田さんは、微笑み頷いた。
尾田さんとママが、お別れの挨拶を始めると圭太が私の手を引いて
二人から離れた場所に移動した。
最後のケジメ尾田さんにつけさせてあげようとしているのだと
思った。
「圭太は、尾田さんに何か言わなくていいの?」
「俺は、もう十分話したから。それにいつでも、連絡取れるしな」
それは、そうなんだけれど。
ママ達は、何を話しているんだろう?気になって、二人を見ると
尾田さんが、ママに抱きついている!!
娘としては
かなり複雑なんだけど・・・映画のワンシーンを観てるみたいで
とても、切なくなった。
圭太が、私の目の前に来てママと尾田さんが見えなくなった。
子供が見ては、いけません!的なやつ?
「胸貸してやる。お前すげー顔してるから」
泣き顔が、不細工と仰っているのかしら?
今自分が、どんな顔してるのか確かに確認できないんだけれど。
服に涙のシミつけてやる!!
おでこを圭太の胸につけると圭太は、優しく頭を包んでくれた。
これじゃ私達が、別れられないカップルに見られてしまう。
でも、圭太のぬくもりが、心地よくてしばらくそのまま甘えてしまった。
「利くん向こうで、研究ばっかりしないでよ!奥さんとちゃんと
仲良くするのよ!」
「麻里華・・・相変わらずで、安心したよ。大切な子を泣かせちゃったから。
君には、笑顔で見送って欲しいからね。」
しばらくの沈黙の後
尾田は、麻里華を抱きしめた。
「ずっと好きだったんだ。康介に伝えて欲しい
麻里華を泣かせたら、いつでも奪うって康介次第で
二つの家庭が壊れるぞってね。」
「利くん?」
もっと早く伝えていたら・・・なんてもう思わなくて済む。
最後のケジメちゃんとつけることが出来た。
尾田は、麻里華から離れると今までにない様な幸福感に満ちていた。
「麻里華の一番のファンで、い続けるよ。応援してる。」
「利くん・・・ありがとう」
大人の恋は、静に幕を閉じた。