恋愛上級21
尾田さんは、ママのこと本当に好きだったんだね・・・
私のこと本当に大切に思ってくれてたんだね。
「もし尾田さんが、無理やり私達からママを奪っていたら、
ショックだし尾田さんのこと軽蔑したかもしれないけど
尾田さんは、いつも私達家族を近くで支えてくれてた。」
壊そうと思えばいつだって、できてたよね?自分の気持ちより
私達家族の幸せを優先させてくれてたんだよね。
「尾田さんのおかげで、私達は幸せだよ。これからは、
自分と家族の幸せの為に過ごして欲しいの。今まで気付かなくて
ごめんなさい。」
「結衣ちゃん・・・紅茶のお替り持ってくるよ。」
話しの途中なのに尾田さんは、席を立ってしまった。
変ね?紅茶ポットなら、テーブルの上にあるのに。
尾田は、急いで書斎から出るしかなかった。
「危なかったぁ。結衣ちゃんの前で涙は見せられない。
いつの間にか大人になってしまったんだね。」
尾田は、天井を見つめ微笑んだ。
「ねぇ圭太。尾田さんを苦しめてたのは、私だったのかな?」
ママにちゃんと聞いてたら?どうなっていたかなんて、想像できない。
「苦しんでいたとしたら、自分の歪んだ思いだったんじゃないかな?
お前についた嘘で、確信したんじゃないかと思う。お前が、父親より
自分に懐いても満たされるどころか、お前への罪悪感で押しつぶされる
気持ちに。」
「それでも、お前達親子から離れたくなかったんだと思うよ。決心が
ついたのは、お前が成長したのもあるし尾田さんの奥さんの気持ちに
気づいたんじゃないかな。」
奥さんが?確か2・3年前に結婚したばかりだよね。挨拶に来てくれたけど。
確か尾田さんと同じ研究チームにいて、いつの間にか結婚することになってて
奥さんも、忙しい人だからあんまり家に居ないんだよね。
「尾田さんの奥さん尾田さんに忘れられない人がいるの承知で、尾田さんに
プロポーズしたって言ってた。」
何故それを圭太が、知ってるの?
「どうしても、尾田さんがよかったんだと。同じ研究してるし。お互いのこと
よく理解してるし。忙しいから、何日も会わなくても平気だし」
利害の一致ってやつ?
「尾田さんは・・・奥さんのこと好きじゃないのに結婚しちゃったの?」
「それは、尾田さんに聞いてみないと・・・でも、ちゃんと向き合って
みて、気づいたんじゃないかな?愛してるって言ってたし」
何だか、複雑なのね。大人の恋愛って。
尾田さんが、一番傷つけてしまったのは、奥さんなのかもしれない。