恋愛上級20
尾田さん何も心配することないの。私、どんなことを聞いたとしても
嫌いになんてならないから!むしろこんなに思いつめた尾田さんをほっとけないよ。
「思春期の結衣ちゃんにこんなこと言ったら、軽蔑されてしまうと思うけど
ずっと君のお母さんのことを・・・好きだったんだ。」
あぁそれ、圭太が公園で言ってたやつ。そりゃ驚いたけど・・・前もって
圭太から聞いてたから、本当だったんだぁ~くらな感覚なんですけど。
でも、尾田さんの片思いなだけでママと何かあったわけじゃないよね!?
軽蔑するとかって、まさかそういうこと?
「結衣ちゃんは、知ってると思うけど僕と麻里華は幼馴染でね。
親同士も仲が良くて、兄妹みたいに育ったんだ。」
幼馴染?尾田家の三男としか記憶にない様な。
私。昔の尾田さんのことほとんど知らない。
「僕が、海外に留学したから。麻里華とは、たまにメールする
ぐらいになってしまってね。日本に帰国したら、麻里華は
結婚したって聞かされて。」
よくある様な無い様な話ね。ママは、どうして尾田さんに
知らせなかったのかしら?
「麻里華は、まだ大学生だったから政略結婚だと思った。
無理やり結婚させられたんだと思い込んでしまってね。」
「くやしくて、どうしても許せなくて結衣ちゃんに嘘を付いた。
何が、嘘だったか分かるよね?」
私が、尾田さんから聞いたのは、パパの会社が倒産しそうになって
ママの絵の才能を利用したいパパが、
無理やりママと結婚したってことだよね。
「すぐに嘘だとバレてもよかった。けれど結衣ちゃんは
僕の話しを信じて、誰にも事実確認をしなかった。
僕の思惑通り、康介と君は仲たがいしてしまった。」
そのことを聞いたのは、小学生の頃だったから確かにショック
で、しばらくパパと話さなくなったのは事実だけど・・・
「結衣ちゃんが、僕がパパならいいのにってよく言ってくれたよね
本当に嬉しかった。康介に勝てたと思ってた。
僕のこんな歪んだ愛情を子供の君に受け止めさせてしまったのに。」
「尾田さんが、私に優しくしてくれてたのはパパに勝ちたかったから?」
今までの、尾田さんの優しさは、偽りだったの?
「違う!これだけは、信じて欲しい!結衣ちゃんの家庭をめちゃくちゃに
したかったのは、事実だけど君が生まれてからは・・・結衣ちゃんの
成長を近くで見守ることが、幸せだった。仲の良すぎる親子に嫉妬して
バカなことを言ってしまったと後悔している。」
私は、まだ子供で理解できてないのかもしれないけれど・・・
尾田さんは、本気で私の家族を壊したかったんじゃないよね。
だって、もっと別のやり方がいくらでもあるでしょう?
私の考えって甘い?