恋愛上級19
すっかり部屋の中が、片付いているじゃない。これじゃまるで・・・
引っ越し準備万全の部屋引き渡し前。
尾田さんは、海外へ行くの断るつもりって言ってたよね?
圭太はこのこと知ってたの?
圭太のことを怪訝な表情で、見つめる。
「お前の言いたいことは、分かる。俺も、確信があった訳じゃないんだ。
でも、いろいろと引っかかることがあって、今日お前と尾田さんを
会わせるしかないと思った。」
私を騙した訳じゃなさそうね。
「結衣ちゃんドア開けてもらってもいいかな?」
ドアの外から、尾田さんの声が聞こえた。結衣ちゃん?結衣ちゃんなんて
呼ばれたのいつ以来だろう・・・
ドアを開けるとアフタヌーンティセットを運んで来た尾田さんが
慎重に書斎へ入って来た。
普段なら、目を輝かせて喜ぶケーキや軽食なのにこれを準備してあったって
ことは、尾田さんも私達がここに来ると圭太同様少なからず予想していたに違いない。
「紅茶が、冷めるといけないから遠慮なくどうぞ」
いつもの穏やかな尾田さんの笑顔。さっきクレープ食べたんだけど・・・
遠慮なく頂きます。
チョコケーキの中にラズベリー う~んめっちゃ美味しい。
いやケーキを味わいに来たんじゃないのよ!
「尾田さん・・・海外に行っちゃうの?」
何で、私に何も言ってくれなかったの?
「行くことに決めました。結衣ちゃんには、何も言わないまま。
向こうに行ってから、メールでもいいかななんて」
そう。決めてたんだ。何も言って貰えないままなのは、辛いけれど
海外に行って欲しいと背中を押しにここに来たのだから、何の問題も
ない。
じゃぁなんで、海外からの誘いを断るなんて圭太に言ってたんだろう?
「何も言わなかったら、また後悔しますよ。俺リビングに行くんで
二人で、ちゃんと話し合って下さい。」
「そうだね・・・瀬戸くんもここに居て下さい。あんまり聞きたく
ない話しになると思うけれど。」
話しって何?やっぱり圭太は、何か知ってるのね。
「結衣ちゃん僕は、君に酷いことを。
許されることじゃないと分かってても
君に嫌われるのが、怖くてずっと言えない
ままでした。」
「このまま君の前から居なくなるのが
一番いいことなのかもしれないけれど・・・」
「僕は、一生卑怯者のままで生きていかなければならない。
沢山の人を傷つけてきたのに。」
私、尾田さんに何一つ酷い事されたことない。
酷いことどころか、いつも助けてもらってばかりなのに。
きっと大したことじゃないのに尾田さん真面目だから、悩んじゃたのね。