恋愛上級18
歩きながらも、不安で胸が張り裂けそう。
尾田さんを目の前にしたら、引き止めてしまうかもしれない。
「そんなに考え込まなくても、一生会えない訳じゃないだろ!」
ええ。仰る通りです。永遠の別れじゃない。でも、でも・・・
こんなうじうじした、自分は嫌い。なのに何故か、モヤモヤしてしまう。
「俺が、お前のそばに居てやる。」
私の頭を優しく叩きながら、確かに圭太は私以外の女子が
聞いたら発狂してしまう様な言葉をサラリと言った。
そもそも圭太の目的は、尾田さんを海外に行かせることなんだから
それでだよね?
変に誤解してしまうところだった。
「うん。ありがとう」
「ところで、先生はちゃんとキスできたと思う?」
変な雰囲気から、逃げたくて話題を変えた。
「あぁ・・・大丈夫だろ」
「そうだよね~まさか押し倒したりしてないよね~」
「・・・」
急に不安になった、後で確認のメールしておかなくちゃ。
しばらく歩いたら、目的地に到着してしまった。
「尾田さん家って、ここ?」
そう、このマンションの最上階に住んでいるのが尾田さん。
我が家で、働いているのは本当に趣味なのだと思っていたけれど・・・
うちより高級な車を所持しているんだから、趣味だけじゃなかったんだよね。
覚悟を決めて、尾田さんに電話した。
尾田さんは、家に居た。私と圭太は、すんなりコンシェルジュに
マンション内に入れてもらうことができた。
エレベーターに乗り込み最上階へ尾田さん家に直通らしい。
エレベーターの扉が開くと尾田さん家の玄関前
インターホンを押す前に玄関のドアが、開いた。
「いらっしゃい」
そこには、いつもと変わらない優しい笑顔の尾田さんがいた。
尾田さんの家に来たのは、初めてだけれど尾田さんらしい素敵な
お家?
ここリビングだよね?家具が一つもない。なんだか、生活感も感じられない。
「いや~ほんと参ったな~瀬戸君。君は、すごいね。」
何故に圭太が、褒められているのか分からないけれど
圭太と尾田さんの間で、何かあったに違いない。
「驚いたかい?」
「いえ。」
何、なに?このやりとり私だけ、置いていかないでよ~。
「僕の書斎に行っててくれないか、まだお茶くらいは出せるから」
ここ本当に書斎なの?入った部屋にはテーブルと机だけ、
本棚には本が一冊もない。どういうこと?