恋愛上級9
「その日は、私が中山家でお世話になる最後の日となる予定でした。」
研究の為?差し詰め教授になるからってとこか・・・
「結衣様は・・・誘拐されたのです。」
結衣が・・・
「誘拐未遂と言った方が、正しいのかもしれません。」
なんだ未遂かよ。
「私が、招待なんてしなければ・・・私は、中山家の人達から
いろんな物を奪ってしまったのです。」
いや。悪いのは、尾田さんじゃなくて犯人な訳だし。そんなに後悔しなくても
とっくにあの親子は、尾田さんのこと許してるって。
「尾田さんが、悪いわけじゃないし。未遂で済んだんだからそんなに自分を
攻める必要は、ないと思いますよ。」
しばらくの沈黙の後尾田は、話し始めた。
「ありがとうございます。しかしあの日以来結衣様の生活は、
変わってしまったのです。結衣様が、
変わった訳ではないのですが・・・」
「麻里華様は、お仕事を。あんなに好きだった絵を
辞めてしまわれました。
周りが、腫物を扱うように結衣様に接するので
結衣様は、子供らしからぬ
幼少期を過ごされてしまったのです。」
子供らしからぬというとこは、気になるけど・・・
結衣にこれといった
欠点や違和感は、感じたことなかったけどな~
「麻里華様のことは、先生達の方が詳しいかもしれませんね。
麻里華様の書いた
挿絵が、結衣様に似ていたのです。それが原因で、
結衣様が、誘拐されそうになったんだとご自分を責められて・・・
もう二度とあの様なお姿は、見たくないのです。」
だから、教授の椅子は座らないってことか。
「結衣は、尾田さんのことすごく尊敬してると思うし
必要な存在だと思います。
もう自分を許してもいい頃なんじゃないですか?」
「そうですね・・・麻里華様からも、もう必要ないと散々言われて
おります。でも、あのお二人の傍にいることが私の使命だと。」
「そろそろ、結衣様には別の誰かが必要かもしれませんがね。
お任せできるお方が、なかなか現れないもので・・・」
何か、周りから固められようとしていると感じるのは、
気のせいだろうか?
「俺は、合格でしたか?GPSで監視までは許容範囲ですが、
まさか盗聴器は、使ってませんよね?」
「盗聴器・・・なるほどその手がありましたか。」
尾田さんは、なかなか手強い。
「もう少し、お話ししたかったのですが・・・
着いてしまいました
先生結衣様のことよろしくお願いします 。」
俺は、軽く頷いた。
「尾田さん一つお願いが・・・
クラゲの写真俺にも送って下さい。」