恋愛中級16
城崎さんは、もう平気だと言うけれど・・・やっぱり引き止める
訳には、いかない!
恋人同士なら、手を繋いだりするのだろうか?
彼女に触れたい。もっと傍で話がしたい。
結衣に言ったら、変態って軽蔑されるかな・・・
「城崎さんの家まで、送るよ。城崎さんが、嫌じゃなければ
俺のカバンでも、どこでも掴んでていいから。歩けそう?」
彼女は、静に頷いた。表情が、少し寂しそうに見えたのは、気のせいか?
城崎さんは、無言で俺のカバンを掴んだ。こんなので、倒れた時大丈夫なのか
心配になったけれど・・・ゆっくり歩いて帰ることにした。
会話は、途切れ途切れだったけど・・・楽しくてしょうがなかった。
突然俺のカバンが、引っ張られた!
まさか、倒れたんじゃ。反射的に城崎さんの方を見た。
彼女は、倒れていない。よかったぁ~でも、どうして立ち止まったんだ?
「瀬戸くん本当にごめんなさい!私のせいで、台無しにしちゃって」
今日のことずっと負い目に感じていたんだろう。ごめんなさいが
別の意味で、ほっとしている自分に驚いた。彼女を疑っていたわけじゃない
彼女にだったら、騙されてもいいと思っていたからだ。
涙目の彼女に俺の気持ちを・・・
「城崎さん泣かないでよ。城崎さんにとっては、最悪の1日になっちゃった
かもしれないけど・・・俺にとっては、最高の1日なんだから」
「えっ?」
「もちろん、城崎さんが、具合悪くなったのは最高なんかじゃないけど
俺大学に入ってから、女子とまともに会話したことないし。映画にも
行ったことなかったから、正直言うと内容も頭に入って来なかった。
でも、本当に楽しくてもうこんな風に城崎さんと出かけることは、
ないかもしれないけど・・・城崎さんにも、楽しかったって少しは
思ってもらいたいんだ。」
俺の我が儘なのかもしれない。でも、最後に涙を見ての別れじゃ辛すぎるから
城崎さんの笑顔が、見たいんだ。
「瀬戸くんだけずるい!鑑賞券が、2枚あるからもう1度私と映画観に行って
下さい。私にも、最高の1日を過ごさせて。」
彼女の笑顔は、とても可愛かった。知ってたさ。知ってますけど
神様これは、夢なのでしょうか?
俺は、彼女の手を握った。
「何か、恥ずかしいね。」
「うん・・・」
でも、この握った手はもう離さない!離したくない!
たとえ残り5分のタイムリミットつきでも。