恋愛中級10
「この問題集既に発売されててな、かなり売れてるみたいやねん
出版社の名前しか、記入されてないから裏取るのに苦労したんやけどな」
江口が、問題集のことについて語り始めた。どこの書店にも置いてある
普通の問題集にしか見えない。内容も、さほど難しいものではなさそうだ。
「この問題集が、売れてる訳はな答えと解説にあるんや。出版社との契約で
次の問題集も出すことになってるはずやのに。一向に出来上がらんらしい。
柏木にとっては、致命的な問題や。この瀬戸志人が、新しい問題集を
作らなくなった。それしか考えられへん。」
確かに・・・何らかの理由で、作らなくなったんだろうけど。内輪もめ?
お金の問題かしら?奴に比べて、瀬戸さんは、遊んでなさそうだし。
「問題集。作らなければ、もう瀬戸さんは大丈夫なんじゃないの?」
何が、問題なのかさっぱりわからない。
「柏木は、どんな手を使っても瀬戸に問題集を作らせるはずや。
俺の集めた情報は、間違いない!学校内の情報は、学生に
しかわからんからな~」
もしかしなくても、大学に潜入捜査?江口さんじゃかなり
浮いてると思うけど・・・だっておじさんじゃないの!?
「俺。たまたま。ほんまたまたま。奴らと同じ大学に通っててな
いや~所長から話が来たときは、信じられへんかった。」
えっ?江口さんって、大学生?どう見ても30代にしか見えない。
「江口さんって・・・大学で、かなり浮いてそう。」
「何で?あっそうかぁ・・・このサングラスはな憧れの先輩の
マネしてるだけ。普段は、かけてないし。どこからどう見ても
イケてるアンちゃんやろ?」
江口さんは、サングラスを外した。イケてるかは、別にして
確かに、チャラそうな大学生に見える。
「実は、俺。まだ探偵見習なんや。でも、この依頼には命掛けてる!
結衣ちゃんを危険な目には、絶対合わせへんから。協力して欲しい。」
今までとは、違い江口さんは真剣な面持ちで、私に協力を仰いだ。