恋愛中級9
「俺にも、守秘義務ってもんがあるねん」
守秘義務?依頼者情報分かりまくりなんですけど!
この探偵ワザと間抜けなふりしているの?
そもそも、今日私が奴のマンションへ行くなんてこと
知ってる人は、限られてるんだから。
もしかして、この探偵奴の正体を私に知らせる為に雇われて
いるのかも!?
奴を張り込みしてたんじゃなくて、私が奴と接触するのを
阻止するのが目的?
「ここからは、本音で話しましょう。江口さんの役目は何?
大和先生から、私を遠ざけること?それよりもっと重要な
こと依頼されてるんでしょ?うちのママに。」
「結衣ちゃんには、嘘つかれへんなぁ~何で、ママからの
依頼って分かったんや?」
「名刺を出すとき手帳が、見えたわ手帳に挟んであるボールペン
パパの会社の非売品なのよ。江口さんは、わざと私に見せたでしょ。
違う?バレンタイン用のチョコを買ったって知ってるのは、家じゃ
ママだけなのよ。」
胡散臭い探偵かと思ってたけど・・・結構侮れない男かもしれない。
「合格やな。結衣ちゃん探偵の素質あるかもな。その素質を見込んで
頼みたいことが、あるんや。これは、結衣ちゃんにしかできんて
おもてる。」
頼み?私にしか出来ないことって・・・
もちろん。柏木大和絡みよね?
「柏木大和は、在学中に会社を立ち上げてる。
まぁ青年実業家ちゅうやつや。表向き家庭教師の派遣会社
みたいやけど・・・裏じゃかなりヤバイことしよるちゅう噂や。」
まぁ学生の収入じゃあのマンション生活は、無理よね。
「奴の収入源は、この問題集。非売品やで。この問題集作ったのは
柏木やない。この男や。この子を柏木から、救って欲しいんや」
江口は、大学生らしき男の子の写真と問題集をテーブルの上に置いた。
この人・・・随分雰囲気は、変わったけど知ってる。
ママのアトリエに出入りしてた生徒!?だと思う。
しばらく見かけないと思ったら、すっかりオタクぽくなっちゃって。
もしかしなくても、奴のせいよね。