恋愛中級5
奴と出会ったのは、中2の秋だった。
突然パパが、必要もないのに家庭教師を連れて来たのだ。
大学3年生。私から見れば、十分大人だ。小学校・中学校と異性との
交流なんて、無いに等しかった日常。戸惑わない方がおかしい!!
毎週土曜日に奴は、やって来た。
物静かで、穏やかな男だった。ぎこちない会話も、徐々に自然な
会話になろうとしていたとき奴から提案があった。
「結衣ちゃん君が、20歳になったら僕と結婚してくれないか?」
はっ?良い人だとは、思うけど・・・突然結婚だなんて、正直
ドン引きしかない。
どんだけロリコンなのよ!
「先生・・・」
お断りします!とはっきり言うつもりだったのに
奴が、私の右手を取り跪いた。
「大人になるまで、待っています。ゆっくり考えて」
そう言って、手の甲に優しく口づけをした。
何このシチュエーション!王子様???
「驚かせてごめん。まだ言うつもりじゃなかったんだけど・・・
大学の方が、忙しくなるからしばらく来れなくなりそうなんだ。」
だからって、普通プロポーズする?中学生だよ。中学生。
「私・・・そういうのまだ、よく分からないから・・・」
「うん。そうだね。でも、僕と結衣ちゃんはきっと・・・
いや。今は、やめておくよ。また今度」
きっと何?きっと結ばれる運命とか、言いだすんじゃ・・・
誰か、誰か助けて~洗脳されちゃう。
でも、その提案以外変なことを言ってくることはなかった。
後は、何事もなかった様にいつも通り過ごした。
それが、返って気になってしかたなかった。これも奴の作戦なのか?
どうして、突然プロポーズ?まだまだ先の話なのに・・・
奴と私の間に何かあった?共通の話題さえないのに・・・
奴の目的は、何?
もしかしたら、パパが政略結婚させようとしているとか?
考えだしたら、きりがない。
しばらく会うこともないのだから・・・
奴は、月に1・2回家庭教師として勉強を見てくれた。
月日は、流れ奴の提案もなかったことの様になっていった。
けれど、思いもよらず奴の目的を知ってしまった。
私のことを利用しようとしていたなんて!!