恋愛初級20
こんなに幸せで、いいのだろうか?
ただ、憧れの人が居るそれだけでよかった。
恋は、2次元で十分だと・・・
結衣の遊びに付き合う程度と思っていたのに。
ずっと閉じ込めていた気持ちが、溢れ出ようとしていた。
結衣の家に着くといつもの様に結衣ママが、歓迎してくれた。
急いで階段を駆け上がる。
部屋の前で、大きく深呼吸。思いっ切りドアを開けて叫んだ。
「師匠!!!」
「・・・・・・・・・・・・」
結衣の反応は、冷ややかなものだった。予想の範囲内だ。
「ちょっと~!女の子の部屋に突然入って来るとか、あり得ない!
それに・・・師匠って何よ!」
仰る通りでございます。つい調子に乗ってしまいました。
「お前が、先生って呼べなんて言うから・・・俺にとっては
先生より師匠のほうが、しっくりくるんだよ。」
「それって、私の作戦が成功したってことだよね?
当然よね~私が、立てた作戦だもの」
ご満悦の結衣様。怒りは、納まったみたいだ。
今日の出来事を詳しく話した。
「なかなか、やるじゃない。じゃぁ・・・約束してた秘密。聞きたいよね?」
秘密・・・聞くべきなのは、分かっているけど。今じゃない気がするんだ。
「秘密を話すのは、もう少し後にしてくれないか?今は、まだ・・・」
「そう。分かった。じゃぁ作戦成功のお祝いに、これあげる。」
手渡されたのは、大きな箱。綺麗にラッピングされている。
俺の為にプレゼントまで、用意してくれているなんて・・・
なんて良い子なんだ。結衣。
「開けてみてよ。」
結衣に言われるがままラッピングを丁寧に取る。
こっこれ・・・諦めていた限定フィギアじゃないか!!!
我が家にお迎え出来る日が、来るなんてー!
カシャ・カシャ
今のシャッター音は?
「私に逆らったら、この写真彼女に送るから」
スマホには、俺がフィギアの箱を抱きしめ抱擁する姿が鮮明に
写し出されていた。
終わった。