恋愛初級15
気になる。視線が、何度か合う様になる。お互いに声をかけるタイミングを
計ろうとしているかの様だ。知り合いでもなく出会ったばかりの男女なのに・・・
ドラマの様な漫画の様な出会いが、こんなにも身近にあるなんて・・・
世の中の男女には、普通の出来事かもしれない。でも、俺には奇跡が起こらな限り
女子と普通に会話するなんてことあり得ないのだ。
このチャンス生かすも殺すも、俺次第。
この日の為に小悪魔に屈してきたんじゃないのか!
さあ勇気を出すんだ。俺。
「あの・・・お勧めの少女漫画教えて下さい。」
「・・・」
彼女が、俺を見つめたままフリーズしてる!?
俺なんか、まずいこと言ったのか?
そうだよな~最初の1言が、少女漫画だもんなぁ~
そりゃ引くわ
いやいや俺。頑張ったよ。結衣も、きっと褒めてくれるはず!
『何やってんのよ~!しっかりしなさいよ!』
結衣の怒鳴り声が、聞こえた気がした。
「貴方が、読むんですか?」
夢じゃない。確かに今彼女の声が聞こえた。
「いや・・・僕じゃなくて、中学生の女の子に頼まれたんです。」
奇跡が、起きた!!
彼女は、優しく微笑んでくれているはず。
(マスクで、表情が分からない)
「妹さんですか?どんな感じの本が好きか、分かりますか?」
いえ教え子です。オタクの心をもて遊ぶ小悪魔なんです。とは
言えないな・・・
「えっと・・・僕の生徒に確かキュンキュンする恋愛したくなる様な漫画を
頼まれたんですけど・・・全く分からなくて・・・」
結衣俺に恨みでもあるのか?キュンキュンとか、かなり引かれそうな
キーワードだと思う。
しばらく本を物色した彼女は、1冊の少女漫画を俺に差し出した。
「中学生には、これがお勧めです。男性にも人気があるんですよ。」
もしかして、この子は俺が少女漫画買ってもおかしいと思われない様に
男子にも人気の漫画選んでくれたのか?
もし、そうだとしたら・・・女神対応なんですけど!!
やっぱりオタクには、悪いやつはいないんだ。」
オタク女子にも、共通していたなんて新な発見だ。
「あの・・・もしご迷惑じゃなければ、私にもお勧めの少年漫画
教えてもらえませんか?」
照れながら、彼女が俺に言葉をかけてくれた。(多分照れながら)