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例えば世界で一人ぼっち

作者: あろえうま
掲載日:2014/07/08

私は人間が嫌いだ。他人がいるから争いが生まれるし、何もかもが抑圧されていく。理性的という仮面を被り時にまともぶり、時に感情をあらあわにする姿には着いていけたものではない。いっそ世界が私一人になってしまえば気安く気楽に暮らしていけるのに。

なぜ何をするにも一人ではいけないのだろう、なぜ関わりをもたなくてはならないのだろう。

人一人の意思がそこに介在して居るのであればすなわちそれは人の意思でありつまりは

沢山の人ごみの中で私だけを指差してああ言ったあの子は。前を行く男の腕に嫌悪感を覚えた私の心は。

通勤で使用する駅の階段から滑るように落ちて、そこから一人改札をぬけた。前を行く男あの子はおろか、そこには誰もいなかった。煩わしい全てが消えてなくなり視界から私の腕以外見えるアレはなくなった。

結局こんな状況になっても、私は職場に向かうしかない。白い紙に文字すら書けない私には今日もやることが沢山あるのだから。

義務的に足を動かし駅を抜ける階段に足をかけた。目の前にぶわりと水辺が広がり、階段をおりきった私の足首を濡らす。澄み渡る水が辺り一面に張って白い鳥が目の前を羽ばたいた。ゆらめく水の中には小さな魚たちが群をなして泳ぎ、目的地に向かい踏み出す私の足を迷惑そうによける。

道などは見渡す限り見えなかったが次へ向かう道のりは足が覚えていた。ぱしゃぱしゃと水が跳ねれば私の心は重くなる。何をしなくてはならないか頭の中で唱えながらいつも行く道の、向かう太陽の焼き付いたこの瞳は。いたってどうでもいいことだと笑うあなたのやさしさの、その奥にある怒りの憎悪の見えない私の盲目さよ。

最後の曲がり角を曲がっても、私の目的地は見えずごくごく薄い青色に澄んだ大地が広がる。ある場所の地面を踏めば黒い砂が舞った。あるいはあの人のあの人のその人の、きっとそうだろう残したのだ私に。夢を見ているわけでは無い、確かにここにあった。もう一度踏みつければきらきら光る砂があらわになり魚たちは群がる。落ちてくる黒い砂にのまれ下に沈んだ魚は恨めしそうにこちらを見るかと思ったが、諦めたような顔をしてこちらを見ることすらしなかった。どうしようもないので、魚のために流木のクロスを作り与えた。

「何でここに来たの?」

白鳥だ。

「話してわかるの?」

「分かるから聞いているのかもしれない」

「じゃあ貴方には分からないよ。だって興味が無いもの」

白鳥は黙る。

「貴方は人のすることをわかろうとする?」

「別の生き物の事なんかわかりっこないさ」

「じゃあ他の白鳥のことは?」

「分かろうとするよ同じ白鳥だもの」

私は暫し黙る。目の前にあった私のては真っ白な羽に覆われていた。

「白鳥だっていろいろ居るでしょ?白鳥同士なら必ず分かり合える訳?」

「……そうじゃないけど」

「同じ生き物同士だからって分かり合えると決めつけるのはおかしいよ。そういう思い込みを分かり合えなかった時に人にぶつけようとするんだからよりいそう馬鹿らしい。」

人間に戻った拳を握りしめた。

「私が人であなたが白鳥でいる限りあなたは私を理解しようとしいない。

そうでしょう?」

こくりと白鳥が頷いたから、私は十二分に満足した。


私の作った十字架の影が私の視界を黒く染めるまで、私は魚と鳥と話した。








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