第十六章
「ルーナちゃん!!」
「ルナ!!いつまで寝てるんだよ?」
「…ん…?」
薄く目を開けると、夢の中で聞いた、あの楽器の音楽が聞こえてきた。
「おか、さん…?おとう、さん……?」
「なーに言ってんだよ?お前の両親はもう…」
声の主を見ると、そこにはノアとティムがいて。
いつもみたいに笑顔でルナを見下ろしていて。
「ノア…ティム…?」
「まだ寝ぼけてるのかぁ?もう、祭、始まってるぞ!!」
二人はルナの手を引いて立たせた。
いきなり、いままでぼんやり聞こえていた祭の音が大きくなって。
「わぁ…」
ルナは一気に覚醒した。
『ルナ!!ノア!!ティム!!早く来い!!!!!』
いつもよりテンションの高い、でもいつも通り怒った風なノーガの声。
「「ほら、行こう!!」」
二人の声が重なり、ルナの手をとる。
「うん!!」
これ以上にない笑顔でそれに答え、ルナは歩き出した。
「今日はっ!!!」
「思いっきり!!」
「騒ぎましょう!!!!」
“主役”もとい司会役の3人が広場の真ん中に用意された3メートルほどの台から叫ぶと、周りに集まっていた人たちの歓声も一気に大きくなった。
ダンスに屋台、子供達の雪合戦。それらを眺めるためのカフェも飾られて、雪の中で一晩中騒ぐ。
それがこの町で毎年行われる祭だった。
もともと目立つ事の好きなノアは、この祭が好きだった。
ルナも、今日ばかりはと騒ぎまくる。
「あ!!」
ノアの小さな叫び声。
「?」
ルナが振り向くと、そこには、ノアの髪飾りを取り上げたティムの声。
「ティム?返せよ。」
「……ちょっと、待ってろ。」
「え?あ。オイ待てって!!」
ティムは、ノアの髪飾りを持ったままどこかへ走り去っていった。
「なんだ?アイツ。」
「…。」
ノアの足なら、簡単に追いつくこともできただろうに、ノアは追わなかった。
ティムはすぐに戻ってきた。
柄にもなく、息など切らしている。
「ハァッ…ハァッ……ッこ、これっ!!」
と言ってティムが手渡したのは小さなピンク色の包み。
「なんだ?これ」
「いいから開けてみてよ」
ノアは包みを訝しげに見た後、少しだけ頬を染めながら開いた。
「ぁ…。」
そこに入っていたのは、赤い髪飾りだった。
「はい。…やっぱり、赤いほうが似合ってる」
ティムはノアにそっと新しい髪飾りをつけてやり、今までつけていた髪飾りを渡した。
「あ、あり、がとう…」
うつむきながら言ったノアの顔は、赤くなっていった。
そんなノアの顔を見て、ティムは笑っていた。
「っも〜〜!!いつの間にかラブラブになっちゃってぇ〜〜!!」
からかうようにルナが言うと、二人は苦笑して顔を見合わせていた。
時間は、早く過ぎて行った。
明け方まで遊んで、3人はベンチに座って休んでいた。
日が差してきて、3人の顔を照らした。
ルナは、疲れたのか眠ってしまっていた。
自然と、ノアとティムの顔が近づく。
「好き。ノア、好きだよ。」
「…私、も。」
子供のころにした、軽いキスを、今度は額ではなく、唇に落とす。
「「…。」」
初めてちゃんとしたキスをして、二人の顔が一気に赤くなる。
「なんか、照れくさいね…」
「うん…」
「「…。」」
再び沈黙。
その沈黙を破ったのはノアだった。
「じゃ…じゃあ、俺ルナを送ってくるゎ。寒くなってきたし、そのまま帰る。」
空を見上げながら立ち上がると、伸びをするノア。それを見て、ティムも一緒に立ち上がった。
「ああ。俺も帰るよ。…送ろうか?」
「ん…いいよ。」
「そっか。」
「うん。…風邪、ひくなよ?」
その言葉を聞いて、2,3歩歩き出す。振り向きざまに手を振って、ノアの白い息を見たら、ちょっとだけ寂しさを感じた。
「お前こそ!」
笑いあって、ティムは自分の家に向かって走り出した。
ちゅーvvv
久々の更新だなぁ…
…読者いらっしゃるのだろうかと心配になってくる今日この頃です…(汗