第十五章
「もうすぐなんだ…」
知らず、つぶやいた言葉。
自分でも驚いたが、何のことだかわからない。
しばらくそのままベンチに座ってボーっとしていると、だんだん陽の暖かさの所為か、眠気が襲ってきた。
「……なんでだろ?…眠い…」
(祭りは夜だし、少しだけ、いい、よ、ね……?)
睡魔に逆らうことはせず、ルナは静かに眼を閉じた。
一方そのころノアとティムは、ルナが噴水を挟んで反対側のベンチにいるなんてことは知らずに、話し続けていた。
「…あのさ、さっき、ごめんな?」
「へ?」
突然謝られて、今度はノアが疑問符を浮かべていた。
「いや、だから…いきなり、抱きしめたり、あんなこと、いったりさ・・・」
言っている間にも、見る見るうちにティムの顔は赤くなっていく。
「あっ…いやそれはっ……私も悪かったし……」
つられてか、ノアの顔も赤くなっている。
「私も、混乱して、あんな…嫌いだとか言っちゃって…」
「ああ。いいよいいよ。元はといえば俺が混乱させたようなもんだろ?」
「…。」
否定のできない言葉に、ノアはつい黙り込む。
「だ、か、ら!」
ティムはノアの肩をつかんで目を合わせた。ノアはびくっとして顔を赤くする。
「おあいこ。…ねっ」
可愛らしく言ってのけるティム。そんなティムに見とれていたノアは、ただ無言で頷くことしかできなかった。
どれくらいの時間がすぎたかわからない。ただ、他愛も無い話をして、久々に二人だけで笑っていた。
二人とも、本人達は気付いていなかったが、少しずつ素直になっていった。
「あれ、あそこにいるの、ルナちゃんじゃないか?」
見覚えのある服が目につき、見てみれば、ルナがベンチに座ったまま寝ている。
「ホントだ。アイツ、またあんなところで…」
ノアとティムが駆け寄ると、ルナは気持ちよさそうに寝ていた。
ノアのキャラが変わりまくって困る。
どうしよう。別キャラ並みに変わってきてる(汗