第十二章
「はぁ〜…そういうことですか。…わかった。俺は先に行く」
足音が聞こえる。どうやら本当に先に行ったようだ。何がわかったというのか?と思って、腑に落ちない様子でもう一度問いかける。
「・・・ティム?」
「・・・・・・・・・・・」
返事がないのを確認してノアは恐る恐る扉を開けた。ティムの姿はそこにはなかった。
「・・・ふぅ…」
油断して一歩外に出た
瞬間。
「ひゃわうっ!?」
「…ノア」
横からいきなり抱きつかれた。しかもこの声はまぎれもなくティムの声。
「…は?え?…だ、騙したんだなっ!そうなんだな!?」
「…そうだよ」
耳に掛かる息が熱くて、そこに愛しい人がいることを証明している。
「こうでもしなきゃ、逃げてた…だろ?」
「うっ……あ、あたりまえだろ!?っはなせ!!」
(顔が、熱い…)
しばらくあがいたが離してくれそうにないのであきらめると、少しだけ腕の力がゆるんだ。
「俺のこと、好きなんだ?…違う?」
「―――っ!!」
(違う…なんて、言えるかっ!)
「違わないの?」
どうやら答えるまで離してくれる気はないらしい。
こうなると、手段は1つしかない。
「ティム…あのね?」
心臓が五月蝿い。自分の物じゃないみたい。
「……わ、私は…」
「ん?」
「私…ティムのこと…」
今は向かい合わせに抱きしめられている…否、捕まえられているため、この状況では相手の顔がよく見えて、すごく恥ずかしかった。
「私はっ」
気まずい沈黙が流れる。
「ティムなんか、大っ嫌い!!」
思いっきり叫ぶと、ティムは少したじろぎ腕の力が弱まる。
(今だっ!)
タイミングを見計らって腕から抜け出すと、誰も追いつけないほどのスピードで走っていった。
ティムは慌てて後を追うが、ノアに追いつくものなどいるはずがなく、すぐに距離を広げられてしまった。
「ノア!!」
一応叫んでから、ひとつため息をつく。
しかしそのため息は誰かの物と重なった。驚いて振り向くと、そこには先に行ったはずのルナの姿があった。
「あーあ。逃げられちゃいましたね♪」
どこか楽しそうな響きが嫌味っぽい。
「ルナちゃん?先に行ったんじゃ…?」
(と、言うか………見られた?)
「あ、…私はコレを…」
そう言って差し出した手に置かれていたのは、一通の手紙。アレイ宛の手紙だった。開けた跡がある。
「アレイさん…じゃなかった…お母さんがティムに渡して…と言っていたので持ってきたんですよ〜♪」
内容は簡単に想像できた。裏を見れば、思ったとおり父から。
(やっぱり)
内容は、簡単に言えば“用事が済んだなら早く帰ってこい”というものだった。
「まったく…帰らないし帰さないって」
ため息をついて、ティムは手紙を破り捨てた。
「…と、いうか。」
ルナはそっぽを向いている。
「ルナちゃん?」
にこっと笑っているティムの顔はどこか怖い。
「な、なんですかぁ〜?」
ルナはあくまでとぼけるつもりらしい。
「なんでこんな所にいるのかな?…用事、手紙のことだけじゃないよね?」
「あはは…バレちゃいました?」
ルナは苦笑を浮かべながら言った。
「バレバレ。」
ティムはまだ笑ってはいるが……黒い。笑顔が怖いほど恐ろしく黒いオーラを漂わせている。おまけにほんの少しだけ頬が赤い。
「私、ティムのこと好きだったんですよ。…でも、なんか、いつからか“違う”って思ったんです。」
「……」
「恋愛感情じゃないなっ……て。何て言うのかなぁ…?…う〜ん・・・とにかく、恋愛感情じゃないって思ったんです。・・・・そうしたら、なんか、ノアが…恋をしてるなって…わかったんですよ。」
ルナはにこっと微笑んで、ティムを見つめる。
「!!」
ティムは、『恋』という単語に過剰に反応した。
「…………ティムは……ノアが好きでしょう?」
ルナの唐突な発言に、流石のティムも驚いた。
「ッッ!!!…それは…その…」
ルナは穏やかに、けれど楽しそうに笑っている。一方ティムは、慌てて顔を少し赤く染めた。
「……ああ。好きだ…///」
照れながらも、はっきり言う。本当に好きなんだ…と、ルナは思った。誰が見ても思っただろう。その幸せそうな笑顔は、周りをも幸せにするような、綺麗な笑顔だった。
ルナ子悪魔vv
理由はなし☆
つか久々に書いたらキャラとか設定とか変わっちゃってます(汗
どこか矛盾を感じたらすぐご連絡を(汗