懐かしい歌
その夜、ルナは夢を見た。ちゃんと言えば、“その夜も”
いつもの、アノ夢。
「あなたは誰?」
“アノ”夢だった。
「ねぇ、誰なの?」
(ここはどこ?暗い・・・怖い・・・)
聞こえる音といえば、なぜか懐かしい、あの歌だけ。
(私はこの歌を知っている・・・?)
そう考えた時、音がやみ、歌っていた女と、綺麗な音を奏でていた男が振り向いた。
「「知っているはず」」
二人は同時にそう言った。
聞き覚えのある…なんて遠いものじゃない。
もっとずっと身近にある声で…
次の日。
ルナが目を覚ますとあたりはまだ暗く、日も昇っていなかった。
毛布がないと肌寒いのでルナは一度布団のなかにもぐりこんだ。
「・・・。あの夢・・・」
見るたびに夢の中の人物に近くなっていくのに、朝になって目覚めると忘れてしまう。
かすかに残っているのは”懐かしい”という感情だけ。
(なんだったんだろう・・・懐かしい・・・というより、安心する。)
ルナは不思議な感情に包まれながら、今日は祭りの本番だと思い出した。
衣装を着て玄関まで行くと、扉と床の隙間に手紙が置いてあるのに気がついた。
(?)
手紙を裏返すと、差出人の名前が書いてあった。
「ティムから…?」
なんだろう?などと呟きつつ封筒を開けると、昨日聞きそびれた祭りの説明や注意事項など…つまり、オーガの話の内容が書かれていた。
「うっわぁ…全部、書いてくれたのかな…?」
正直、読むのもめんどくさくなるくらい長い文章だった。
しかし、ちゃんと読んでみれば、とてもわかりやすく書いてあって、ルナにはちょうど良かった。
小1時間費やして説明書を読んだ後、思いっきり伸びをした。
「・・・よし。・・・・そろそろ行こう。」
夢だけにしたかったんだけど、
短すぎて駄目だって。
だから朝の話を入れてみた。