第十章
ティムの昔話も、主役の会議も長くなってしまったので、西の空の赤い光には紺色の闇が混じり始めていた。
「・・・もうこんな時間なんですね。今日は、もう帰ります?」
「ああ、そうだな。母さん、ノア・・・行こう」
「あ、ああ・・」
ノアは答えながらルナがティムに話しかける様子が自然なので、少なからず驚いていた。
(・・・前は真っ赤になってたのに・・・?)
ティムのほうを見たら、向こうも自分を不思議そうに見つめていた。
(・・・なんで俺、ほっとしてんだ?なんか・・・どきどきする)
思わず顔を背けて、気恥ずかしくなって叫ぶに等しい声で
「わっ悪ぃ!俺、先に帰る!!」
とだけ言って、走って帰ってしまった。
「あっ!ノア!!・・・・もう。どうしたのかなぁ?」
「・・・・」
ノアが走っていった方向を、2人はいろんな想いで見つめていた。
―ノアの家―
〔ばだんっっ〕
勢いよく家の扉を閉めて、ノアはその場に座りこんだ。
ほんの少し走っただけなのに、息が上がっている。
「・・・はぁっ・・・はぁ・・・・」
心臓が落ち着かない。
こんなことは久しぶりだった。
今は冬で、本来ならとても寒いはず。
寒い…はずなのだが……
(暑い…熱い…暑い…12月の、夕方、なのに……)
頬に手を当ててみれば、やはり頬が熱い。
(私・・・やっぱり、ティムが好きなのか・・・?)
思い浮かぶのは、ティムの顔ばかり。
(好き・・・・なんだろうな)
そんなことを考えながら、ノアは眠りについた。
ノアーーーーっ
んなとこで寝たら風邪ひくでしょっっ
…まぁ、なんとかは風邪ひかないっていうs(殴