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ココロ  作者: 加川千宏
3/3

?人間

“人間”の声。フルムハクは慌てて海に潜ろうとした。

だが、声の主がフルムハクの右腕を掴んだのが先だった。

声をかけたのは、14歳のフルムハクとあまり変わらない歳の少年。瞳は澄んだ黄緑色。髪は同色で、耳にかかる程度だ。

「い…やっ!離してぇぇ!!」

フルムハクが大声で悲鳴を上げる。だが、少年が腕にかける力は弱まらない。

「はっ、離して!いやあ!!」

全力で逃れようとするが、相手は仮にも男。力では適わない。

少年はフルムハクの腕を掴んだまま、彼女の一点を凝視していた。

“人間”の彼にはある筈もない、海と同じ色の彼女の“足”。

それは同時に、目の前の少女が“人間”ではない事を意味している。

「…あ、…あの…、私――」

「…お前、人魚なのか…?」

少年の質問には答えず、フルムハクは一目散に海に飛び込んだ。

後には、ただ呆然と突っ立っている少年と、フルムハクが起こした波紋が残った。






フルムハクは獲物として追われる兎のごとく、とにかく海底を目指した。

思わず時々背後を振り返る。続いて握られた右手首。

まだ、触れられた感触が残っている。

「最悪…!」

海の外に出た私が馬鹿だった。危うく“人間”に捕まってしまう所だった。

「…行くんじゃなかった…」

友達・メロタに言われた通りだった。


―人界なんて、行くもんじゃねー!!―


少しだけ、期待していた。

いつまでも“人魚”と“人間”は仲違いしているものではないと思うから。

けれど、その淡い“ユメ”は腕を捕まれた瞬間に壊れてしまった。

“人魚”と“人間”は、永遠に「関わってはいけない」「互いが互いに嫌う」相手なのだ――…。

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