異世界⚔️slipper‼️❗️‼️
十年来の友人のおごりでたらふく食べた俺は、ご機嫌でアパートに帰った瞬間、強烈な腹痛に見舞われた。
そして気が付けば雲の上のような場所に居た。足元は霧に覆われていて、空は明るくて真っ青に澄み渡っている、だけど太陽の姿はどこにもない。
ここには俺の他に一匹のぶち猫が居た。猫は俺と同じ霧に覆われた雲の上に二足で立っていて、澄まし顔で俺を見上げて口を開く。
「おおタクヤさん、死んでしまうとは情けない。タダだからってあんなに意地汚く生肉を貪り食うとは」
「生ユッケが美味かったから……ちょっと待て、俺死んだの!?」
猫が喋った事はさておき、俺は驚愕する、うそだ、俺はまだ死にたくない!
「貴方が死ぬのは90年後のはずだったのに」
「俺120歳まで生きるはずだったの?」
「仕方ない、貴方には違う人生を生きるチャンスをあげますよ。異世界転生です、ご存じですか?」
「知ってる! なろうとかよく読む!」
「ついていらっしゃい」
俺は後ろに手を組んだ二足歩行の猫について、雲の上をしばらく歩いて行く。その先には祭壇のようなものがあった。
「どうぞこちらへ。転生先で生かせる特典を三つ用意させていただきました」
祭壇は表彰台のような形をしていた。一番高い台には剣が、二番目の台には本が、三番目の台にはスリッパが片方置いてある。
「一つだけ差し上げます。選んで下さい」
「これスリッパ選ぶ奴居るの? 待って、俺が行く異世界ってどんな世界なの?」
「剣と魔法の世界ですよ。豊かな緑と清らかな水に覆われた美しい場所ですが、突如現れた魔王の脅威により、人々は怯え、慟哭し、伝説の勇者が異世界より降臨するのを待ち望んでいます」
「めっちゃ興奮して来た」
凄い、夢のような異世界転生だ! どうしよう、魔法もいいけどやっぱ勇者は剣だよな、ダークエルフも居るのかな、なんならもう死んで良かった、ワクワクするぜ、一体どんな冒険が待っているのだろう!?
「ああでも気をつけて、貴方を召喚するお姫様、見た目は清楚なヒロインですけどその正体は全ての人類を虐待しようと企む魔王でドのつくサディストですからねー! アハハハ」
「ネタバレすんなー!」
―― スパーン!
俺はスリッパを取りのけぞって笑う猫の後頭部を引っ叩いていた。
次の瞬間、俺の体は片方だけのスリッパと共に異世界へと飛んでいた。
「異世界⚔️slipper‼️❗️‼️ 」をお読みいただき、誠にありがとうございました。この場をお借りして、皆様にぜひお願いしたいことがあります。
どうかお時間のある方は、本作ページの下部にあるリンクから、私の渾身の作品「マリー・パスファインダーの冒険と航海」の第一作目、「少女マリーと父の形見の帆船」もご覧いただけないでしょうか。
この作品は、力はないけど情に厚く行動力のある主人公が、数々の困難を鮮やかに乗り越えていく、涙と笑いに満ちた爽快なアクションストーリーです。
きっと楽しんでいただけると思いますので、ぜひぜひお立ち寄りください!
改めまして、お読みいただき、心より感謝申し上げます。





