第91話 マスター華子の変なバー7 不思議な旅のはじまり
「小宮山と私はエレベーターに乗り込みました。
彼は開延長ボタンを押してから、エレベーターの階数ボタンをランダムに打ち始めました。
確か5321671だったかな、5階建ての建物だったんです。」
「凄いです。ランダムに押した7つの数字を一瞬で覚えているんですね。」
「いや、子供の頃からそれが特技、、、って、それよりよく7つだってすぐ分かりましたね。
そっちの方がびっくりですよ。」
「いえいえ、たまたまです。」
「はははっ、まあ人間いろいろな特技があるもんです。
実生活ではちっとも役には立ちませんが。」
「と言っても、この数字列にはあまり意味がないと思います。ランダムに7つのボタンを押すことに何か意味がある気がします。
聖なる安息日を表す7とか。
まあ、私のただの推測ですが。」
「それから、彼は言ったんです。
私が降りたら、閉じるのボタンを押してください。
それが旅のはじまりです。
あっ、それと言い忘れてました。
今回の事全てを、誰にも絶対に話さないでください、私の存在を含めて。
重要国家機密なんです、と。
私は思わず聞きました。
ええっ、全てですか、いつまで、と。
すると小宮山はこう答えたんです。
何もかも全てです、一生あなたの命がある限りと。
そして、小宮山はエレベーターから出て行きました。」
「小宮山は開閉ドアの向こうからこう言いました。
次にエレベーターのドアが開いた場所、そこが目的地です。それから先は現地の人間がご案内します。
それでは、良い旅を!」
「そして、私は恐る恐る閉じるのボタンを押しました。
その時は、もう行くしかないと思ったんです。
閉まるドアの向こうで、手を振る小宮山の顔を見てびっくりしました。
彼は泣いていたんです。
あの涙は何だったのか。
それは、今でも分からないんです。」




