第21話 レアスメルスーツ1
独立防衛隊本部に、華子をはじめいつものメンバーが集まっていた。
今日は何故か春二郎も来ている。皆にどうしてもお礼を伝えたいらしい。
春二郎には部隊の任務の重要性、極秘性はしっかり話してあるのだ。
ちなみに第一秘書の山本は、あの日セクシーコーヒーの美人ママと仲良くなってしまい戻って来なかった。どうやら、今セクシーコーヒーでママを手伝っているらしい。
「みんな、春二郎は当然覚えてるよな。
あの時はいかれポンチだったが、今はただのポンチだ。良ければ仲良くしてくれ。夏子の兄ちゃんだしな。」
「春二郎です。その際は助けて頂いてほんとうにありがとうございました。
危うく人の道、夏子の兄ちゃんの道を踏み外すところでした。
皆さんの熱い戦いに超感動しました。僕も何か役に立てたらと思って今日来ました。改めてよろしくお願いします。」
「ヒューヒュー!春ちゃん。元気になって良かった。良かった。」
「あっ親方さんですね!あの三倍速!マックス回転、まじヤバかったです。あれからどんどん意識が朦朧としてきて。苦しいけど何か気持ちいいような、でもやっぱり苦しいみたいな。」
「おおっ!春二郎くん分かってるね!あれ難易度半端ないの。あの回転は腰の使い方が大事なのよ。腰を落としてこうがぶり寄りながら。」
「こうですか?」グッグッ。
「そうそう。君筋がいいね。大将なんてコツつかむのに10時間位かかったのに。」
「いやあ。あれには参った。さすが春ちゃん。天性のいいもの持ってるね!」
「ありがとうございます。兄貴!嬉しいっす。」
「ほほう。アレな者同士不思議と分かり合えるものじゃのう。
ということで、寄生されていた時の記憶はある程度あるらしい。春二郎の体を調べて分かったんだが、パラサイトは寄生してすぐ、地球には存在しない薬物を放出し、精神に影響を与える。興奮作用やアドレナリン的な効果があるようだ。まだそれ以上はよく分からんので研究中じゃ。
それから徐々に体中の神経組織に特殊な糸を張り巡らし、精神、肉体全てを影響下に置くようだがまだよく分からん。春二郎は寄生された時間が短かかったので、薬物の影響も早く無くなり糸もほとんど伸びておらず、後遺症は奇跡的に少なかった。」
「おぼろげながら覚えているんです。
あの押しくらまんじゅうを受けた時、みんなの熱い思いが伝わってきたんです。俺もあんな熱い思いを共有して戦いたいんです。」
「といっても、お前まだ若いだろ!だいたい議員活動とか忙しくないか?
捕獲したパラサイトにいろんな体臭を嗅がせてみたが、特殊な加齢臭、つまりレアなスメルにしか反応しなかった。レアなスメル略してレアスメル。これレアスキルみたいでカッコいいな。レアスメル!これから使ってみるか。ふふっ。」
「レアアイテム、レアスニーカー、レアメタル、レアが付くだけでカッコいいし、何か価値が上がった感じがするぞ。」
「レア海パン!」
「レアチーズケーキ!」
「レアステーキ!食べたい。」
華子は隊員達のアホな声をガン無視して続けた。
「つまりお前にはレアスメルが無い!
それ以前に加齢臭すらない。ただ青臭いだけじゃ。」
「がーん!そこはかとなくショック。
そこを何とか。」
「何とかと言われてもな。」
「むむっ。そうだ研究所で最近開発したあれ使ってみるか。一度使ってみたかったんだ。」
「隊長!いいんですか?あんな危険なものを。」
副長の白石には何か不安があるようだ。
「せっかく開発しても、使わなければ宝の持ち腐れじゃ。」
「はい!ぜひお願いします。皆さんの役に立ちたいんです。」
「春二郎やってみるか。特殊加齢臭加工戦闘服一号機。そうレアスメルスーツを!
さて春二郎、お前にあのスーツを着こなす勇気があるかな。ふふっ。」
そして華子は、今回の作戦内容を皆に発表したのだった。
「ジャパンTV原田社長、予想以上のドゲス野郎だ。今回の作戦は未だかつてない厳しさで臨むつもりだったが。。
幸ちゃんの旦那さんであることを考慮し、ちょっとだけ優しくしたぞ。ちょっとだけな。でだな。。。。」
「ええっ。マジっすか?それを俺たちが!」
「やるしかあるまい!頼むぞ。」
「イエス!マム。」
春二郎は、レアスメルスーツへの期待と不安と興奮を胸に秘めながら、皆と声を合わせていたのだった。




