第12話 春二郎と白玉
春二郎は暗い闇の中で途方に暮れていた。
「真っ暗でどっちへ行けばいいのか全く分からない、これは困ったぞ。どうしよう。やべぇっす、俺まじピンチかも。」
しばらく何も出来ず立ちすくんでいると、突然暗闇の中に白くて小さな光が現れた。
「何だろう。」と春二郎が恐る恐る近寄ってみると何と淡く白い光を放つ白玉だった。
「おおっ!久しぶりじゃねえか白玉。てか、お前死んだよな。昔夏子と一緒に墓作ったし。てことは俺も。ぶるぶる。」
と思っていると、白玉がトコトコ歩き出した。
「おっ?ついてこい。てことか。まあ、方向もさっぱり分からないしついて行ってみるか。白玉!俺を天国へ連れていくわけじゃないよな。待て待てっ。置いてくなって。」
白玉の後を歩いてみると、真っ暗なのにつまずくこともなく、ちゃんとした道になっているのが分かる。
「お前本当賢いなあ。つうか俺より賢いんじゃね。昔よく夏子と一緒にお前にご飯あげたなあ。夏子、友達みたくお前にいつもいろんなこと話してたよな。」
「夏子はまだ小さくて、お母さんがいなくなってからいつも泣いてたなあ。でもお前が来てから、あんまり泣かなくなったし。本当感謝だぜ白玉!」
「母さんから泣き虫な夏子をお願い、って言われたのに、俺何も出来なくていつも悲しかったんだ。お前にはいっぱい助けてもらったぜ。」
「ああ。夏子俺いなくなって大丈夫かなあ。つうか、俺全然夏子の役にたってねえし。夏子アホな兄ちゃんで本当ゴメンな。」
しばらく白玉についていくと、急に視界が開けてパッと明るい部屋に入った。見ると自分がそこに寝ているのが分かる。
後ろを振り向くと暗闇の中、白玉がゆっくりと消えてゆくのが見えた。
白玉はいつものクリクリした目と赤い鼻で何か伝えようとしていた。
何故か春二郎には白玉の言いたいことがわかった。
「あそこに帰れってことだよな。あと夏子をよろしくってか。お前って奴は。本当に。。。ありがとう白玉!」
春二郎は自分の体に戻っていった。




