2媚 チート
さて、僕は主人公の助けになりなおかつ影響力を持てそうな人材を探しに来たんだけど、当然無策で探しに来たというわけではない。
普通はその人に才能があるかどうかなんて分かんないし、ましてやその才能がどんなものかなんて言うことは分かんないものだけど、
《キエル》42才:♀
職業:庭師(未開放)
スキル:『歩行1』『感性2』
《セダーグ》37才:♂
職業:拳闘士(未開放)
スキル:『殴撃2』『農業1』
「……………いない」
僕にはわかる。
僕が今見ているのは、いわゆるステータスというもの。名前と年齢と身体的な性別と適職と所持スキルが分かるっていう程度のものだけど、才能を持っている人を見つけるには十分なもの。
まあこういう鑑定系の能力って使うと人によっては分かるみたいな設定のラノベも多いから、あんまり周囲の人には使用してないけどこういうもし見ても問題にならない平民が相手だと好きに使える。もし何か言われたとしてもしらを切れるからね。逆に、適当なことを言うなって口封じできるから楽なくらいだよ。
ただ問題は、さっきから周囲の人たちのステータスを見て見てるけど全然凄い才能を持った人がいないってこと。
恐らくこのくらいのスキルとか適職とかが普通ではあるんだろうけど、それならわざわざ僕が拾う必要はないんだよねぇ。
さっきから僕の護衛の財布を盗んだスリが才能を持ってそうだし探してるんだけど、全然それらしいのも見つからない。僕の家は悪い人の集まりだけど一応公爵家だし、そんなところの騎士に気づかれずに物を盗めるくらいだから相当才能はあると思うんだけどなぁ。
《ハリー》15才:♂
職業:農家(未開放)
スキル:『棒業12』『省エネ3』
《キナエ》28才:♀
職業:爆弾魔(未開放)
スキル:『狂乱1』『泥酔耐性3』
《メキシム》66才:♀
職業:大魔術師(未開放)
スキル:『話術4』『感性1』『知識2』
「はずれ、はずれ、はずれ、はずれ……………」
面白そうな職業を持っている人とか入るけど、所詮はそれだけ。僕の部下にわざわざするほどの人はいないし、目的の人も見つからないね。
まあでもそれは仕方がないことだとは思う。この世の中そんなに天才だらけなわけがないし、簡単に見つかるわけがいないんだよね。
……………と、思ったんだけど、
……………
職業:闇の主(未開放)
スキル:『隠密5』『隠蔽3』『無音1』
『スリ3』『空間把握1』『立体軌道3』
『同化1』『投擲1』『短剣術1』
「んぉ?」
思わず変な声が出るくらいのスキルの数。職業も厨二病っぽくて聞いたこともない物だけど、凄い強そうな気がする。スキルにスリがあるから護衛から財布をスったのもこの人かな?
これは確実に確保せねば!
とりあえず逃げられてもいいように名前だけでも抑えておこう。ステータスの全体は、
《テレサ》4才:♀
職業:闇の主(未開放)
スキル:『隠密5』『隠蔽3』『無音1』
『スリ3』『空間把握1』『立体軌道3』
『同化1』『投擲1』『短剣術1』
「はにゃ?」
また変な声が出てちゃった。
僕がしっかりと鑑定したその人。いや、その4才の幼女は、僕に見らていることに気づいたのか一瞬びくっと肩を震わせたけどそのままこそこそと何もして今ない善良な市民だとでも言いたげにこそこそとその場から離れていく。
「おい。お前たち」
「は、はい!なんでしょうか!」
「ついて来い。あいつの後を付けるぞ」
「は、はいっ!?」
「返事はもっと声落とせ。気づかれるだろうが」
「も、申し訳ありません」
護衛を引き連れ、一定の距離を保ちつつ女の子の後をつけていく。
もしもあの子がスリの犯人じゃなかった場合、さすがにこの場で取り押さえたりするのはかわいそうだからね。今回は最低限居住地なんかが分かるだけでもいいとは思ってる。
そのあとどうやって部下にするかをその居住地とかから考えていけばいいかと思うんだけど、それにしても女の子の後ろを屈強な騎士たちが着いて行くのは事案感が凄いね、実際尾行しているわけなんだけど、犯罪臭が凄いよ。
「ボドマー様」
「ん?何?」
暫く尾行してると、護衛から声をかけられる。
一体何をするつもりなんだと僕のしたいことを尋ねられるのかと思ったら、
「ここから先はスラムになりますので、危険ですしこのあたりでおやめいただけると」
「はぁ?スラム?」
僕は首をかしげる、
けど、そういわれて気づいた。周囲の建物が汚れていたりひびが入っていたりと明らかに先ほどまでとは違っていることに。ついでに言えば、都市周辺にはスラムが広がっているなんて言う話を誰かから聞いたことも思い出した。
そう言えば僕の住んでるところは中心地から少し離れるだけでスラムになるんだったよねぇ。知識として把握はしてたけど、まさか10分走ればいけそうな場所にもうスラムができてるとは思わなかった。
とりあえずスラムなんだし治安が悪いんだろうけど、
「それくらいどうにからしろ。お前たちは俺の護衛だろ?」
「で、ですから護衛としてですね!?って、あっ、ちょっと!?お一人で行かないでください!!」
あの子がスラムに入ったなら、その後を追わないわけにはいかによね。
多少の危険性はあると思うけど、護衛もいるしある程度は大丈夫なはず、これくらいのリスクは許容しないと、
もちろん、近くにいる人たちには積極的に鑑定をして強い人はいないことを確認しながら進んでるけどね。
そうして僕や護衛が若干恐怖を感じつつも歩いてるのに対して、僕たちが後をつけてる女の子は一切こちらに気づいた様子もなくこそこそとしながら歩いている。
スキルを見た限り隠密能力は高いけど索敵能力とかは特にないみたいだったから、バレないようにこそこそするのは得意でもバレた後にそれに気づいたり振り切ったりするのは苦手なんだと思う。
そのまま5分ほど歩いたとこで、
「ママ、お姉ちゃん。ご飯買ってきたよ」
「「「「っ!?」」」」
女の子の声。
ただ、それとは違う部分で護衛たちが息をのむ。表情をこわばらせた彼らの目線の先には、ぐったりと倒れている1人の女の人と、
「「「「ふ、双子だぁぁぁ!!!!」」」」