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11媚 服

3人の強化が進む中。

僕も新しい部下をまた作ろうかななんて考えているところ。

だけど、今回はそういう部下とかの話ではなく、


「兄う、じゃなくてドグマ―様」


「あぁ?どうした?」


主人公の話。

珍しいことに向こうから話しかけてきたんだよね。よく本を投げるから話かけてくるなんてことはなかったんだけど、


「また本が欲しくなったのかぁ?」


「あっ。いや、そ、そうじゃなくて……………服が小さくなっちゃって」


「服ぅ?」


主人公の服をよく見てみると、確かにパツパツにあってるのが分かる。相当きついんじゃないかなとは思うよ。新しい服もそろそろほしくなってくることだろうね。

ただ、


「んなこと俺に言っても意味ねぇだろ。メイドにでも言え」


「言ったけど、当主様に聞けって言われて。でも、当主様は会いたくないって………」


当主様、つまり僕の父親だね。メイドからは父親に服が欲しいなら言えって言われたけど、父親は主人公に会いたくないってことでまず話ができない、と。

それは確かに困るだろうね。

流石にここは僕も全裸で歩けとまで言うことはできないし、


「ちっ。仕方ねぇな。それなら……………ん?」


それなら僕の服のいらないのをあげると言おうとしたところで、一旦その言葉を止める。その瞬間に、天啓が降りたんだから。

主人公に服がないから買い与えるのは良いとして、それを普通の服にする必要はない。あんまり豪華な服を着させると僕があんまりいじめてないんじゃないかってことになるし、ここは僕の家族からの評価を守りつつ欲しい物を手に入れるためにも、


「……………ほら。服が足りなかったんだろ?用意してやったぞ」


「っ!?こ、これって……………」


後日、僕は数着の服を手に持って主人公の部屋に訪れた。初めて主人公の部屋見て見たけど、結構本並んでてそこだけは豪華めに見えるなぁ。他は薄暗いし汚いしでひどい感じだけど。

と、まあそんな主人公の住環境は良いとして、僕の渡した服を見て主人公は驚き、


「メ、メイド服?」


「ああ。メイド服だ。着る服がないんだろぉ?俺が特別に用意してやったんだぜ」


「……………あ、ありがとうございます」


主人公は何か言いたげにしたけど、結局お礼だけ言ってそれを受け取る。

それからその日以降、


「ぶひゃひゃひゃ!おいおい、あいつ男のくせにメイド服着てるぞ」

「あの下人にはお似合いの姿なんじゃねぇかぁ?」


メイド服で生活する主人公が目撃されるようになった。

兄たちは凄い笑いものにしてるし、周囲の使用人たちも若干見下すような雰囲気を出してるね。

もちろん僕は文句を言うのは兄たちに任せて、


「うん。かわいくない?」


「似合ってるね。すっごい可愛い」

「かわいい」

「……………かわいい」


「ありがと~。3人もかわいいよ~」


男がどうこう言われてたけど、僕も着てるんだよねぇ。3人と一緒にメイド服を着てみてコスプレ中って感じかな。

僕とか双子ちゃんたちには調度良いサイズのメイド服は揃えてあるし、()()()()マリナちゃんにもギリギリ合うサイズのメイド服も買ってある。

3人がこれまで着る服は全部質素な感じのあんまりかわいくはない物しかなかったから、この機会に主人公の服と称して着せる服を買ってみたんだよ!やっぱり素材が良いとこういうコスプレ感満載な服を着ても全然痛くないねぇ。

もちろん、僕を含めてね。


「これなら色々と中に仕込めそう」

「ん。確かに」

「……………スカートの中とか、たくさん入る?」


「あっ。3人はそういう方向だよねぇ~」


3人はかわいいとかいう面ではなく、色々と装備を仕込めそうってことでメイド服がお気に召したらしい。

僕としてはかわいい服着てくれるだけで満足だから、そこは別に許せるけどね。


「……………気に入ってくれたのは良いけど、普段はその服着ちゃだめだからねぇ?部屋の中限定だとよぉ」


「え!?」

「ん」

「……………あぁ~あ」


双子ちゃんたちは表情が変わらないから分からないけど、マリナちゃんは愕然としてる。それだけお気に入りだったってことだよね。喜んでくれてうれしいねぇ。


「それじゃあそろそろメイド服の改良はやめて今後の話し合いでもしようか」


「……………そうだね」


露骨に落ち込んだ様子を見せるマリナちゃんと相談しつつ、今後の調整をしていく。

服の調整とか諸々はあったけどその間もマリナちゃんたちは定期的に外に出て鍛えてて、ダンジョンにもいってくれてる。

流石に最初の方よりは成果物の質も量も落ちてきてるけど、それでも魔道具は多い。


「この明らかに劣化版で使い物にならない感じのやつは売ってもいいかもね」


「そう?いらない?」


「僕はいらないけど……………もし他に部下が増えたとして、その子たちが使うのに調度良いと思う?僕としてはもうちょっと質の良いのを支給したいんだけど」


「あぁ~。まあ、そういわれるとそうかな……………大量に数を増やすならこういうのでもないよりはましかもしれないけど」


「相当すごい子がたくさんいない限り少数精鋭で行きたいから、あんまり増やす気もないし問題ないかな」


質の低い魔道具関係は売ることにした。ここまで見つけてきたものでも十分な数はあるし、僕が主人公のところに送り込むだけなら足りると思う。

この間街を見た限り、そこまで頻繁に才能がある人は見つからなさそうだからねぇ。

3人を見つけたときは1日で終わったから相当運が良かったんじゃないかな?まあ、次回見に行った時にまたすぐに見つけられることが絶対ないとは言わないけどさ。


「魔道具を売ってお金が入ってくれば、マリナちゃんたちも活動の幅が広がるでしょ?」


「そう……………かな?」


「そうでしょ。もしかして、お金なんて人から盗めばいいと思って……………ん?ちょっと待って?人からお金を盗む?」


僕は自分でつぶやいてピンときた。

どうせならマリナちゃんたちにお金を盗んでもらえばいいと思うんだよね。さすがにこの屋敷には暗部の人とかいるっていうから簡単にはいかないかもしれないけど、


「この家とつながりがある商人とかから、お金盗んでこれる?できればあくどい商売をしてる人たちをターゲットにして」


「……………私盗むより暗殺する方が得意なんだけど?……………まあでもできなくはないかも。やる?」


「やろうか」


流石に商人たちの警備体制も分からないし怖いからすぐには事を起こさないけど、慎重に情報を集めてもらって数か月後に行動を起こしてもらうことにした。

もちろんその時まで、他の活動にも手を抜くことはないけどね。

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