フロッピーディスクはアナログなのかも?と夜眠れないので考えていたら迷走した!(62)
●フロッピーディスクはアナログなのかも?と夜眠れないので考えていたら迷走した!(62)ーFD2
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(61)では、フロッピーディスク(FD)について調べた結果、FDはデジタルとの結論に至りました。
でもこれは良くある3.5インチのFDのことで、FDの全てがデジタルだとは限りません。
アナログなFDが無かったな? と考えて、調べてみたという話です。
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日本には昔PC9801というパソコンがあって、PC/ATとはフロッピーディスクのフォーマットが違っていました。トラック数やセクタ数が違って互換性が無かったのです。PC98はフォーマット時の容量が(5.25インチ2HDで)1.2MBだったかな。
そんな日本での話です。海外ではどうだったか調べていないので。
FD媒体でソフトを購入すると、コピープロテクトが施されていた時代がありました。1983年頃から1990年を過ぎた頃までかな。ソフトとはワープロとかゲームとか色々です。1986年からは3.5インチFDも追加。
昔はFD媒体で購入したソフトを(利用許諾条件に反して)コピーして使う不正な者もいて、なんならソフトを1本だけ購入して社内でコピーして使っていた会社もあったとか。
そんな使い方をされたら売上が減ってソフト会社は困りますよね。だからプロテクトを掛けていたのです。
...、ただね、著作権保護を目的とした技術はね、色々あったけど、そんなんはほぼ絶滅したのよね。何が有るべきことだったのか? コピー可能なものはコピーできるべきなのか? そんな気もするけど何が正しいのか今でも分からない。...。
ああ。コピープロテクトには様々が手法があって、一方でプロテクトを破ってFDをコピーするツールも複数開発されていたようです。「ベビーメーカー」や「マジックコピー」、「WIZARD98」、それと「アインシュタイン」と「THE FILE MASTER」とかね。
コピーツール側は、不正なコピーではなくて合法的なバックアップだよと主張していたかも。
そんなコピーツールも販売するときにはコピープロテクトしていたりしたので、コピーツール間で対戦(リーグ戦)させてみた雑誌記事があって...。それと、当時は「レンタルソフト店」があって、ソフトとコピーツールをレンタルして、更にはマニュアルのコピーを販売していたり。これは酷いと思う、そんな時代がありました。
でもパソコン前のマイコン時代からソフトは皆で共有しようという気持ち(?)はあったようで、作ったプログラムを共通しようというCUGがあって、XLISP とか Little Smalltalk とか流れてきたそうです。あと、音楽や画像データ集。パソコン通信が解禁されると、BBSホストが沢山できて電話帳も作られた。LHAとISH。今でもPDSとかフリーウエアは有りますね。
色々あって現在があるのだから、ここで安易な過去の批判をすることは控えましょう。
それはともかく。普通のパソコン内臓のFDDでは、データとして0や1しか書き込めないのですが、業務用の特殊なFDDなら自在な波形を書き込むことが可能で、普通のFDDで読み出すとエラーになる、読み出したデータが不確定になる(コロコロフォーマット!)、あるいはハングアップするようなFDも作れたのです。uPD765とかがターゲット。
正に作ればあるという世界(...まぁ、マビカの例を先に知ってれば何でもありですけどね)。
そして、これを利用したプロテクトがあったそうです。コピー中にエラーで止まるか、コピーできてもゲーム起動後に該当セクタを調べてコピーチェックを行うのかな。
それでコピーと判定したら、何か酷いストーリに入ってボコボコにされるのです。...なのに、なのに!、コピーと判定された後のルートを楽しむ勢もあったとか。...こいつらなんなの!
コピーツール側はソフトを解析して、コピーチェックのルーチンを書き換えるパッチ(ファイラーとかパラメータ)を作成して、FDのコピーとソフトの利用を可能にしたそうです。OZAWAチェッカとか笑。「アインシュタイン」はハードウェアで、FDのコピーを可能に。その後は「がまの油」「まむしの執念」「バスゴダガマ」「聖善説」「イタチ魂」などもググると出てきます。
どこまでもイタチごっこだったのですが1985年に著作権法が改正されまして。
それから、HDD内蔵のパソコンが増えるとと、FDで購入したソフトでもHDDにインストールして使用するのが当然になって。するとコピープロテクトは邪魔でしかなくて敬遠されることもあったと聞きます。
あの「松」はガッシリとプロテクトを掛けていたのに対して、「貧乏人の松」とも言われた「一太郎」はほぼノープロテクトだった。そして今でも残っているのは一太郎。...、だからと言ってプロテクトの有無だけで決まったのでは無いでしょうけれども。印象的ではあります(あとで感想欄も見てみてね!)
...。その後の現在は、また別の時代になっていますね。今はダウンロード販売が主流でしょうか。チートは亡くならないようですけど。
そんな訳で、昔は1でも0でもない波形が書き込まれたアナログなFDもあったのですね。はい。
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ところがですね、本当の意味でアナログなFDもあったことに気が付きました。パソコン用ではなくてカメラ用です。
1981年にソニー社が開発した電子スチルカメラ「マビカ」試作機です。2インチのFDに写真をアナログな信号のまま記録する仕様です。
マジカよ!と叫びそうになりました。
経緯を調べてみると、1983年2月にメーカ17社が集まり「電子スチルカメラ懇談会」を組織。1984年5月にスチルビデオの基本規格が成立(参加32社)。1986年4月には「スチルビデオフロッピーシステムの規格」が同懇親会から発表された(参加42社)。
そして、1986年7月にキャノン、1987年8月にソニーとコニカ、同年11月にミノルタとカシオから電子スチルカメラが発売されています。
FDの規格が統一されて、対応するカメラが複数のメーカーから発売されるって、いい感じですよね。
...、なのにあまり売れなかったそうです。画質や価格が原因か? 1990年にはデジカメが登場していて、中途半端な電子スチルカメラは敬遠されたのか。本シリーズの(4)を参照してみてね!
仕様を調べてみました。
電子スチルカメラ用のディスク上には52本のトラックがあり、1トラックで1枚の写真を記録でき、全部で50枚の写真を記録できたそうです。最後の2トラックはブランク(未使用)と制御コードの記録用です。
FDなので記録した写真を削除して別の写真を記録できるそうです。ランダムアクセスも可能。これはビデオテープに比べると便利かも。
そして、1トラックに、1フィールド分の信号(走査線262.5本分)を記録するそうです。この信号はNTSC等の放送用TV信号規格に準拠したものですって。あれ?怪しい気配がする。
NTSC(National Television System Committee)なら、水平方向に走る走査線は525本で、毎秒30フレーム(2:1インタレースのため毎秒60フィールド)ですね。フレームとは全走査線で描かれた画像のことで、フィールドは一部の走査線だけで描かれた画像のことです。それで、525/2 = 262.5 本分なのでしょう。
走査線は1秒で525x30本走るので、1本は 63.492μs です(カラーテレビなら正確には 29.97Hz なので 63.555μs です)。このうち、1.5+4.7+4.7=10.9μs は走査線が右から左に戻る時間で、画面には表示されない時間です。ここに水平同期信号などが入ります。残りの 63.492-10.9=52.592μs が画面に表示される時間で、色の信号が入ります
この色の信号はRGBではなくて、輝度信号Yと色差信号Cです。
輝度信号YはRGBをある比率で合成したものです。Y = 0.299*R + 0.587*G + 0.114*B とか。
色差信号Cは、B−YとR−Yのどちらかで、各々BとRからYを差し引いたものです(差し引いた後に乗数を掛けます)。
B−YとR−Yは走査線毎に交互に入れます。これを色差線順次信号と言います(色差・線順次・信号と読むようです)。
NTSCはB−YとR−Yを合成して彩度と色相で表すコンポジット方式で、B−YとR−Yを別々に扱うのはコンポーネント方式と言うそうです。アナログハイビジョンなどで採用されたとか。へー
それから、NTSCでは、輝度信号は振幅(つまり電圧)で表しますが、電子スチルカメラでは違います。
電子スチルカメラの場合は、輝度信号と色差信号は周波数分割多重化(Frequency Division Multiplexing、FDM)します。つまり輝度信号と色差信号をFM変調して合成します。
輝度信号は、水平同期信号が6MHzで、明るさに相応して7MHz±0.5MHzの範囲で周波数を変えます。
色差信号は、B−YとR−Yで少し違って、B−Yは1.3MHz±0.5MHzで、R−Yは1.2MHz±0.7MHzです。...。
段々と...、何のことか分かんなくなりましたね! この説明はここで止めましょう。
最近(2024年7月)、Wiki に「スチルビデオフロッピー」の項ができたので、これを見に行くとよいかもよ。
それと(少し昔のだけど)月刊アスキーの1989年2月号(pp257〜264)に特集記事「10万円を切る電子スチルカメラの世界」があって、全ページがカラーで、図や写真が沢山あって、分かり易いです。特別付録(お楽しみディスク)で 5.25 インチのFDが付いていた時代です。昔の雑誌を発掘して読むのは楽しいよね。
閑話休題。ディスクに書き込まれる信号は、CCDから出力されたアナログな電気信号をテレビと同じ方式で画像にしたアナログな信号ということで良いですね! あ、テレビというのは地上波デジタル放送のテレビではなくて、昔のアナログな時代のテレビです。
結論。本気でアナログなFDがあったんです。マビカです。
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1トラックに1フィールドの信号を記録する他に、2トラックを使って1フレーム(2フィールド)を記録することもできるとか、ハイバンド記録とか、高速連写。音声も録音できるとか、データも記録できる、...とか規格にはありますけど。まぁいいか。
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ちょうどフロッピーディスク50枚入りの箱が出て来てきたので写真を示しますね。FDに測定データを保存する機器があったから残っていたのかも。昔だったら1枚で千円だったのですよ。それが100枚、...。
フォーマット済みで販売されているFDもあったので、フォーマットをやったことない人もいるかも。
FDを(物理)フォーマットする(イニシャライズとか初期化とも言います)とは、トラック毎にトラックの開始を示すプリアンブルを書込み、各セクタの最初にアドレスマークなどを書き込むことです。これでデータを記録する場所ができます。この後、論理フォーマットも必要ですけどね(FAT16とか)。
余談になりますが、物理フォーマットと論理フォーマットの区別は大切です。FDをフォーマットをして全ファイルを消去したつもりでも、論理フォーマットなら元に戻せることがあるからです! 消去するなら物理フォーマットです。不要になったFDを処分するときにはご注意を。
普通の人には不要な心配ごとですが、物理フォーマットをすればデータ読み出しが絶対に不可能になるとは限らない点にもご注意を。ふふふ。
磁気的な消去によってFDをアンフォーマット状態に戻す器具もあって、これを使うとFDが一瞬で綺麗になります。必要な人は何かあったとき(?)のために、これを準備するとよいかも。
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フロッピーディスクは時代遅れだよ、旧石器かよ、遺物だろ、といった指摘はその通りだと思います。
でもこれをアナログだと言うのは誤用だと思うのです(...誰もアナログとは言ってないけど)。
アナログではなくて「アナクロ」でしょ! という某感想欄のご指摘はその通りです! 感想ありがとう!(今みたら感想が削除されてた;涙;なんでー)
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FDって相当な回数の読み書きが可能だと思っていたのですが、2023年3月のWIREDの記事で、とても繊細なので1枚で3回使えれば良い方という記述をみてショック。
ボーイング747ー200型機と言う暦年の機体(1987年製造?)での話。フライト管理システムのデータを28日毎に更新する必要があり(これは世界共通のルールのようだ)、そのためにフロッピーディスクが使われているんですって。
まぁ、FDを必要とする機器が残っていてもFDDと本体の間のインターフェースはデジタルなので適当にエミュレータを作れば大丈夫だよね。エミュレータを作った人の作製記事も見つけました。製品もありそうです。
刺しゅう用ミシンとかさ。FDDとFDではなくて、FDDエミュレータとUSBメモリでも良いんじゃない?
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あれ? ...、FDDのインターフェースはデジタルだと断言してしまいましたが、これって本当かな?
信号レベルはTTLかCMOSなので、デジタルだと思ったのだけど。TTLなら0Vと5Vの電圧で0と1を表現します。だから、デジタルと言ってよいのだろうか。あれ?
そう言えば、...そうです、時間軸のことを考えないと! どこかの感想欄でも指摘を受けましたね。
クロックがあって標本化しているならデジタルだけど、それがなければアナログ面にオチかねない。G1やG2のFAXとかです。本シリーズの(71)を参照してね。
そう言えば、CMOSでアナログな回路を組むこともあるよね。バッファ無しのインバータ(74HCU04 とかね)でアンプを作ってみたり。リングオシレータを構成して、その周波数で温度を測定したり。
アナログとデジタルに対する感性が未熟でした。反省いたします。
で、FDDのインターフェースについて改めて調べてみると、FDDへの入力信号はデジタルと言ってよいと思いますが、FDDからの出力信号(READ DATA とか)は、これをデジタルと言うのは難しそうです。
信号レベルは0・1ですが。時間軸では標本化されていません。残留磁気の変化を検出したタイミングでパルスを発生させているので、これはアナログ信号です。
詳細を記すには更に2〜3エピを費やしそうなので控えますが、適切な処理をすれば0・1の信号になるはずだが、ADC処理前の生の状態といった感じの信号なのです。正確にはADCではなくて、VFO回路でクロック・ウインドウを生成して0・1を確定するのですが。詳しくは本シリーズの(65)を参照してね。
これはアナログとデジタルに関する仮説を更新しなければならないか、...。しばらくアナログのことを考えるのを止めていたからな。
それはともかく、FDDの READ DATA 信号は0・1が未確定な状態なのです。
8インチのFDDにはVFO回路を内蔵するタイプがあるそうですが、5.25インチのFDDやそれを踏襲した3.5インチのFDDではVFO回路は無いそうです。
...、トホホ。これでは(FDはデジタルのはずですが)FDDはデジタルとは言えない!
それにパソコン業界ではFDDなどを「レガシーデバイス」と称して、今後は追放すると宣言していました(1998年)。
2009年頃からFDDの(34ピンの)インターフェースが無いマザーボードが出て来て、2012年頃にはFDDインターフェースが無いのが普通になっていたそうです。
以後、FDDは変換基板ないし変換ケーブルを経由して接続されるお客さん扱いになりました。
アナログ技術だからな。隔離されるのも止むを得ない、...のか。
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はっ! このことが政府に知られたら「(ふふぁふぁふぁ)FDDはアナログ技術なので撤廃しましょう! アナログ規制撤廃です、なんならレガシー規制撤廃と理解して頂いても構いませんよ!」とか言われてしまいそう。
FDはデジタル技術だ! と思っていた皆様、どうしたらよいでしょうか、お助けをー
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以下は個人的な愚痴なので読まなくてよいですよ。
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1MB程度のデータを(主にお役所あてに)送付するために最も安価な手段は何かな。紙にQRコードでイケるならそれが良いか。いや郵送するなら普通に書式に記入して印刷して送付すればよいか。受領側が苦労しそうだけど。
WEBで受付けるか、メール添付ファイルで送付できればよいのだけどね。
お役所が、WEBやメール等での問い合せや書類の提出を受け付けないのはダメっぽいよね。WEBでの受付がある場合もあるけど。無理なら仕方ないけど。法令で紙で提出することがMUSTだと規定されている申請もあるのだけど。
国の中央省庁だと、XX省YY局ZZっといった部署毎のメアドがあるのに、それを公開しないで、国民から連絡が必要なら郵便か電話で、ってところが多いのでは(個人の印象です)。
電話するとね、...な人は1番を、...は2番をプッシュとかアナウンスされて、挙句は担当者につながらなかったことがあった。ショックで一晩寝込んでしまった。メアドを聞き出せた後はメールで連絡できて助かったことも。
郵便は、数ヶ月過ぎても応答がなくて結局は電話で問合せしたことも。あなたは白ヤギさん?
数少ない経験でのことですし、こちらが不慣れで適切なキーワードを告げることができず、それが悪かったのでしょう。
それでも(われながら)たどたどしい質問を途中で遮る事もせずに最後まで聞いてくれて、とても明瞭な説明を返してくれた方がいました。あなたは救世主ですかと思った。
あとで検索したら必要な情報に到着しました。つまり情報は公開されていて探し出せなかった自分が情けないのですけど(個人の愚痴です)。
区役所だとWEBで各課のメアドが公開されていて、問い合せたら質問には丁寧に答えてくれて、メールでの書類の提出にも応じてくれて、印象がよいのです。全部がそうだとは限らないのでしょうが。個人の印象ですから。
これと比べると国は、...忙しすぎるのが原因か。忙しいのは確かでしょうね。
eTaxやeGovの取り組みは知っています。まだまだ不十分ですね。紙での申請をMUSTにしたり、電話や郵便でしか認めない国の機関はもっとDXして欲しいです(個人の愚痴です。n=1ですから)。
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国だとメアドの公開は難しい、と感想欄で頂きました。そうかも知れません。それでも、eGovとかで窓口を設けてゴミはフィルタする等すれば、国の機関の窓口とすることは無茶とは思えないのです。
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間違いの指摘とか疑問とか、ご意見・ご感想とかありましたら、どうぞ感想欄に!
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2024.3.27 マビカ関係とその他に微小な推敲をしました。
2024.3.29 微推敲。フォーマットに関して加筆。内容にはあまり影響しません。
2024.4.12 少し加筆と推敲。少しだけです。
2024.4.27 少し推敲。
2024.5.22 微推敲。
2024.7.4 少し加筆。
2024.7.11 少し加筆。
2024.7.13 加筆と推敲。誰も読んでないなヨシ
2024.7.16 微推敲。
2024.7.18 推敲。
2024.7.20 加筆と推敲。
2024.7.21 少し加筆。
2024.7.28 分割しました!(旧61)が加筆により過大となったので分割しました。(旧61)の継続エピは本エピで、新規に(61)を投稿します。
2024.7.29 推敲。
2024.8.2 微推敲。
2024.8.4 推敲を少し。
2024.8.5 微推敲。
2024.8.6 推敲。
2024.11.17 推敲。