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三魔学園の無能力者  作者: いきか
序章 最悪の邂逅
1/3

無能とバカと仲間達

春風が心地いい新学期

これから波乱万丈な新学期が始まる

序章

最悪の邂逅


2040年春 日本三魔帝国の朝9:32分

ドカンッと花火の音よりも大きい爆発音が後方から鳴り響いた

「おい !どうなってんだ!? なんなんだこの状況は!?」

ハァハァ息を切らしながらも後ろから迫る脅威から逃げるため走る

1人の少年が真面目な顔で必死に叫ぶ

「なんなんだって言われてもよ ! 見ての通りの状況だろ!」

もう1人の青年は楽しそうに走り、こういう状況には慣れっこと言った感じの笑いで返す。

「何でっ !俺達はこんな状況になってんだよ?!」

1人の巻き込まれた少年は状況についてこれず焦りを表す

「そりゃあ、少年、俺の部活動に巻き込まれたからに決まってんでしょ」

もう1人の青年がそんな事を言ってきた。

「あんたの部活?! こんなテロリストに追われる部活が世界にあってたまるか!」

少年はありえない!と言いながら青年の言ったことを否定する。

「いやさ、テロリストに追われる部活って訳じゃないんだけどね

うちの部活人手不足で廃部寸前でさ、実績上げるか人員確保しないと部活消されちゃうんだよねー!」青年は少年の話を無視しながら自分の部活動事情を話し始めた。

より激しく大きい爆破音と共に俺達はまだ朝で眠い身体を揺さぶりながら走る

「なんでこんなことになってんだよー!!!!!!」


時は数時間に遡る


ガチャッ…

「行ってきまーす」

少年、夙 ハヤテは自分の家のドアを開けまだ眠っている家族に朝の挨拶をして家を出る

「うわっ、眩しいな、、いくらちょっとした山だからって日差し強すぎるだろまぁ、今日は雨じゃなかっただけラッキーだな」

朝日の眩しさに今日は入学式という事を忘れかけ

天気予報が外れていた事に感謝をしながら家を出る

そんな俺の名前は夙 ハヤテ

今年から『日本国立魔三魔異能学園』という所に通うことになった

どこにでもいる()()の高校1年生。

日本国立三魔異能学園は日本三魔帝国が誇る世界で一番三つの()について学べる所で世界各国からの入学生が来るほどの名門校である。

「まだ桜舞ってんのにこの太陽さんの輝き具合、これは夏が思いやられそうだ」そんな事に興味はないがなんとなくボヤき険しい階段を降りる。

階段を降り切り、道路を抜けしばらく歩くと街中にでた

道には口を大きく開け眠そうなサラリーマンに元気いっぱいに挨拶をしている小学生の姿が見られた

「朝っぱらから元気だなぁ俺じゃあんな元気でないぞ」

今どきの若い子に含まれる自分であったがついそんなことを思い、口に出した。同じく少年のハヤテは朝の気だるい歩道を道なりに沿って歩き学校へ向かう。

「やっぱりこっちの方になってくると人が増えるもんだな」歩き続けると都心部に近付き

都心部付近付近になるにつれて人の数も車の量も増えてきて道を新入社員であろう社会人と俺と同じ三魔学の制服をきた期待と不安で胸をドキドキとさせている新入生と慣れた足つきで学校までの道を眠そうに歩く在校生であろう人達もチラホラと見つけた。

「はぁ、学校って行くまでがなんだかんだめんどくさいんだよな」行ったあとは楽なのにいかまでのみちのりがだるい

よくあるパターンである。

ハヤテの後ろからダッダッダッと大きな足音をたて走る姿が迫ってきた。

「おいお前どけ!」

巨漢の男が謎の荷物を抱え全速力で走ってきた

「こらっ! 待ちなさい! 男なら逃げるな! 卑怯者!」

もう1人巨漢の男を追いかける女の姿が見えた。

女は険しい顔で男を追いかけていた。

「朝から痴話喧嘩ってやつなのか……」

日差しは気持ちいいのに朝から厄介事の匂いがして気が滅入りついそんな事を思ってたらいつの間にか近くまで来てた男が

「おいクソガキ! どきやがれ!」

男が叫ぶと同時に俺の足元からは小さな竜巻が発生し俺はその風に乗るように空に投げとばされる

「魔術っていつ見ても不思議だな」

そう呟いてる合間に俺は風で飛ばされた体の体制を整え邪魔にならないようにスマートに道の隅っこで着地した

「へへっ! ざまぁねぇな! 三魔院の坊ちゃん!」

巨漢の男は怒りと殺意の籠った目つきで

「第二次世界大戦の勝利国だからって調子に乗ってるからそうなるんだよ!」

と言って走り去ってしまった。

先ほど走っていた女が速度を落としゆっくりと俺に近づいてきた。

「あっ! 君大丈夫だった?さっきの男になにかされてない?」

男を追っていた相方(?)の女が心配そうな顔で俺に話しかけてきた

特になんの外相もなかった俺は

「特に何もないです、大丈夫……です(?)」

そう返すと女は、ぱぁ!と表情を明るくして

「良かったぁ! 一般人、しかもうちの学校の新入生に傷なんて付けたら条件関係なくお払い箱にされちゃってたよ!」

「て、なぜ疑問形」

その言葉は先に言って欲しかったと思ったが疑問形になってる事よりも身体に傷がないかどうかの方が勝ったんだろう

(男を追わず俺を心配するなんていい人だな)

「疑問形かはともかく、貴女が追っていたあの男は一体なんなんですか?」

俺はそんなことよりという顔で追っていた理由を聞いた

女はんーと声を上げながら手を顎にあてて言うかどうかを考えていた

しばらくすると女は「巻き込んじゃったし」と言いって

「あいつは『J3EU』のメンバーの一人よ」

「なんだその『じぇーすりーいーゆー』って?」

俺は問題事は避けたいためあえて知らないフリをすると

女は驚いたという顔で

「知らない日本人がいるなんて君国外から来たの?」

「普通に俺は国内出身だぞ」

「その『J3EU』っての国外でも有名なのか?」

「まぁね、なんて言ったって敗戦国の集まりだもの」

あんまり聞きなれないフレーズに首を傾げる

「敗戦国?」

「そ、敗戦国の集まり。この三魔帝国はイギリスとともに本来なら()()()()()()()()第二次世界大戦を勝利に導いたでしょ?」

この世界の第二次世界大戦は本当なら負けるはずだったらしい

だが、何故か勝利し、今や世界の全権を握る大国2まで日本はなっていたのである。

「そうだな、連合国のイギリスと一緒に勝ったな」

「その戦争の負けた国が『我々が負けるなんてー!』って言って今もプチ戦争を起こそうとしてるわけ」女は呆れた感じでものを言う

「正直な話負けたなら大人しくしていて欲しいものなんだけどな」

争いほど醜いものは無いことを学校で戦争の話を聞いて学んでいた俺はそんな言葉を吐く

「それは確かにそうなんだけども勝利した日本の圧政()()が酷かったから仕方ない気がするのよね」

勝った日本は国外の敗戦国に対してやりたい放題をやってのけたのだ

まず、戦争の首謀者の処刑、世界の統一言語を日本語標準にし、更には賠償金のまきあげetc.....を行ったのである。

「日本も勝ったなら勝ったで大人しくしてればいいのにな」

そんなことを言いつつも内心では仕方ないと思う自分もいる。なにせ、往来より負けたものは勝ったものに逆らうことは出来ない、それが弱肉強食。世界の成り立ちであり、世界の在り方だと歴史が示しているから。

「そうなのよねー」

そういった後に女は「はぁ……疲れるわぁ」と言いながら眉間に指を当てて目を瞑っていた

日本は戦争に勝利したのはいいが敗戦国の扱いも相当なものだったらしい

国を売るでは済まされない量の額を要求したとか

「そういえばアンタ名前なんなんだ?」

そう聞くと女はもう疲れた帰りたいという顔で

「私の名前?私は美樹 ミサ、美しいの美に樹木の樹で美樹

カタカナでミサよ気軽に『ミサ』って呼んで」

「貴方の名前はなんて言うの?」

「俺の名前は夙・ハヤテ」

「夙にの夙で(はや)下はカタカナでハヤテだ」

この女、ミサは薄いピンク色の髪が特徴的でその髪博多より少し下まで伸びていて、目はどこかこの人ならまかせられるといった雰囲気を持たせる感じの芯のある眼差しをしている女であった。

きっと委員長タイプだろう

どっちかっていうと可愛いよりも美人寄りの顔立ちに華奢な身体でありながら筋肉がしっかりついてる。

(こいつ、拳で戦うタイプだな)

(男を追ってる時も武器なかったしな)

とミサを見てたら

「ん? なあに? 私の顔に何か着いてる? ハヤテ?」

ニマニマしながらこっちを見てきた

「いえ特に何も着いてませんよ、ミサ先輩」

何となく触れたらいけない話題のような気がして目を逸らすと

「なあに? ま、いっか。先輩呼びしたのは偉いわよ、してなかったら今頃ボコボコよ?」ミサ先輩はニッコニコの笑顔でそう言った

「なんですかそれめちゃくちゃですね」

俺は若干ビビりひぇっとした顔で言う

するとミサは『だって』といって

「初対面で私の事を『筋肉ゴリラ』とか『筋肉マシーン』とか思ってそうで失礼だったからね」

朝に見た日差しの様に眩しい笑顔でそう言った。

「そんな事よりさっきの男を追わなくていいのか?」

俺は咄嗟に恐怖を感じとり話題をそらすためさっきの男を指摘する

そう言うとミサは、はっ! しまった! という顔で

「いっけない! そうだったわ、ありがとうハヤテくん!」

「どうもッス」

「ハヤテくん! 君とはなんかまた会う気がする!じゃあね!」

ミサは別れを言うと音が出そうな勢いで走り出して言った

「ははは……俺はもう会いたくないっす……」

俺はミサに聞こえないよう呟きに彼女の背中を見送った。


しばらく歩いていると道端で人だかりができた

「何かのイベントかな」

俺は興味本位でその人だかりに近づき近くにいたやつに何があったか聞いてみる

「なあ、何があるんだ?ここ」

「ん?あぁ、見ろよあれ」

指を指した方向を見るとその輪の中で

ピアスを空けた明らかにチンピラって見た目の奴が取り巻きと共に

深緑色の髪をした男の子から何かを巻き上げていた

「弦間サンよォ? お金あるんだろ? くれよ」

弦間と呼ばれた男の子は明らかにひ弱でよく虐められていそうな男の子だった。

「や、やめてください」

「お金なんて持ってないです……」

入学式の朝っぱらからカツアゲをしている同じ新入生のチンピラ男は弦間の男の子から金をまきあげたいらしい

「は? お前『弦間』だろ?! なんで金持ってねぇんだよ!」

「入学式お金は必要ないじゃないですか…」

弦間くんは正論で返した。

「んだとこの野郎?! 俺に口答えしやがって!」

その正論は正しく火に油を注ぐ行為を擬人化したかのようなもので、今にもチンピラがブチ切れそうであった。

「痛い目見とくかクソガキっ」

そう言うと三浦の手の平の上でボウッと何かが燃える音が聞こえた

その音が聞こえると観衆がざわつき始めた

「おいおい三浦マジでやるのかよ」

三浦と呼ばれたチンピラは自分の系統であろう『火』の魔術を使用して手のひらにバスケボールサイズの火の玉を生成した。

「ぼ、僕は何も見てない、よし学校行こっと」

「やっちゃえ!三浦〜そんな生まれだけのいい無能なんてさ!」

「三浦ー!分からしちまえそんな無能!」

「あんまり痛めつけてやるなよ三浦ー」

聞こえる言葉はそれぞれ

この状況を楽しんでいる者

いじめの現場を見無かったことにして現実逃避する者

生まれた環境が羨ましいのか知らないが無能に厳しい者

口答えした深緑の男の子を痛めつけて欲しい者

ほどほどにやってやれと思ってる者

ここにいるほとんどがこの状況を見世物として楽しんでいるようだった。

俺は分からなくてつい隣にいる女に聞いた

「おい、ここの奴らなんでこんなにアイツに厳しいんだ?」

「あの男の子なにかしたのか?」

そう聞くと隣の女は

「ん〜?あれ?あれはね生まれが『弦間』でしかも()()だからだよ」

イマイチ何がやばくてそんなに痛めつけて欲しいのか理解できなかった俺はさらに聞く。

「その『弦間』ってのはヤバいのか?」

そう聞くと女は、はぁ?と顔を歪めて

「いい? 『弦間』ってのはね今魔術世界なのにその魔術に()()を合わせたら()()()ってのを作ってるのよ?」

そんなにそれがやばい事なのかと思いまたつい聞いてしまう

「やばいのか?そんなにソレ」

すると女はまたはぁ?こいつバカ?みたいな顔をして

「やばいも何も()()()()()じゃない」嫌悪を示すような感じで言った。

「だって、魔科学ってのはあの無能弦間みたいな魔術を1人じゃ使えないやつのサポート道具なんだもの」サポートするのは別に悪いことじゃないと思うし気色の悪い行為でもない、むしろ、人は支えあってこその生物だ。自己完結型の方が少ない、と思った俺は

「いいじゃないのか?それで使えるようになるんだったら」

俺は明らかにイライラしてる女につい言ってしまった。

女は呆れたように

「アイツはいい年こいて補助輪で自転車乗ってるようなものなのよ?それくらい魔術と魔力ってのは扱えて当然だしあって当たり前のものなの」

「それが出来ないなんて最高に無様で気持ち悪いじゃない!」

アッハッハッ! と女は男の子に卑下する目を向けながら笑った

「アンタ、新入生でしょ?こういう事よくうちの学校あるから今のうちにアイツバカにして笑っときなさいよ」

「あ、はい分かりました」

そう答えてとりあえず場の雰囲気に合わせて笑っておく

(俺にヘイトが向いたら面倒だしな)

三浦は観衆の声を聞いていい気分になったのかでかい声で

「ほら弦間サンよぉ、立って俺と魔術勝負しようぜ?」

ニマニマと煽りながら弦間くんを煽る。

「弦間サンの凄い魔術見てみたいなあー」

取り巻きの1人がそれに便乗する。

「あっでも、三浦さん、コイツ『弦間』だけど無能な方ですよ!」

取り巻きが弦間くんをバカにするように三浦に言った

「おい、木村『弦間』は両方無能だろ?」

木村と呼ばれた取り巻きは分かっていたであろうリアクションで嘲笑う。

「そうでしたね三浦さん! あっはっは!」

チンピラの三浦と木村が深緑の色をした弦間少年をバカにするように笑っている

すると深緑色の髪をした男の子が

「兄さんは無能じゃ……ない」

そう弦間少年が怯えた目つきで三浦を睨みつけながら言うと

「うるせぇ! 無能弦間!」

切れた三浦はそう言って手の平の上にあった火の玉を弦間少年の右太ももに投げた。

弦間くんの太ももに直撃したバスケボールサイズの火の玉は新品の制服を燃やし、皮膚に火傷跡をつけた。

弦間少年は「痛いっ熱いよやめてっ」と弱々しく抵抗の声を上げるがそれが逆に楽しかったのか三浦は火の玉を作り次は左ももその次は右手その次は左手とどんどん火の玉を当てていく。

それを見てる観衆はどっと笑い声をあげる

「ほらほら! 守ってみろよ! 弦間クン!」

煽る。嬲る。貶す。

「三浦さん、こいつには無理ですって無能な方なんですよ?」ゲラゲラと笑う

木村もやられてる姿を見て笑いを堪えながら言う

「おい木村、だから弦間は両方無能なんだって!」

三浦は口角を上げ嘲笑う声色でそう言う。

「そりゃそうでしたね!」と言い高らかに笑い始める

すると投げられる火の玉を浴びながら弦間くんは

声はひ弱で震えているが確実に芯のある面構えをして言う。

「兄さんは、僕より優秀で無能なんかじゃない」

「お前たちみたいな弱者をいたぶって楽しんでる奴らが兄さんをバカにするな」

今にも倒れそうなほどの痣と火傷があるのに

その声色は力強く、その目は鋭く三浦を捉えていた

「へへっ三浦くんの火の玉それほど痛くもないし痒くもないですね、まだ、兄さんと喧嘩した時の傷の方が何億倍も響いたし痛かったですよっ!」弦間くんは三浦に負けじと一生懸命に体に受けた傷、痛みを誤魔化すように口角を上げ、白い歯を魅せる。

「んだと!? このクソ無能野郎が次の一撃で殺してやる!」

顔を真っ赤にしてブチギレてる三浦をみて観衆は

「あっ終わったな」

「弦間クンどまーおつー」

「殺しはやめとけよ〜」

とどこまでも弦間くんに対しては冷めていたが三浦には期待を向け色々盛り上がっていた

俺は焦って

「おい、あの弦間くんってまずいんじゃないか?」

と聞くと

「アイツの自業自得でしょ三浦をブチギレさせたんだから仕方ないことよ」

と冷たく冷めた態度をとって弦間くんを見殺しにしようとしていた

(くそっここにいるヤツら全員助けようとしないじゃねぇか)

三浦はさっきまでのバスケボールサイズの火の玉とは違ってバスケボールよりもふた周りは大きい火の玉を手のひらに作り出した。

「クソ無能カス野郎が! これでぶち殺してやる!」

三浦が殺意マシマシの声で弦間くんを殺そうと火の玉を投げる。

「そんなんじゃ僕は殺れないですよ三浦先輩」

おそらく当たれば死ぬであろう、火の玉を三浦に負けじと気合いをみせ真っ向から受けようとする。

「死ね! 弦間の無能! 」

そんな声とともに仕留めるために顔に迫り来る火の玉を動ける体じゃない弦間くんは真っ向から受けようとする。

彼自身も分かっていたのだろう。あの火の玉を喰らえば自分は焼き焦げてしまうと、だが、避けれない。先程食らった火の玉のダメージが残っているから。弦間くんは誰にも気づかれないような小さく、か細い声で

「死にたくない……よ」

弦間少年の涙混じりの一言呟く。

聞こえてしまった俺は気づけば観衆をかき分け弦間少年の目の前に守るように立っていた

「… ?君誰?死んじゃうよ?」

弦間少年は今にもこときれそうな声で俺に言う。

観衆も突然の乱入者、しかも魔科学を扱う弦間を庇う異端児にざわつき始めた。

さっきまで隣にいた女が

「ちょっ?! 君っ?! 何してるの?!」と言い焦っている

突然の俺の登場に切れている三浦は

「なんだあのガキ?! 死にたいのか!一緒に焼き殺してやる!」俺諸共焼き殺す気満々。

迫る火の玉

「君、あっちいって、 僕が悪いんだから! 魔術も使えず化学兵器も扱えない! 僕が悪いんだ、無能な僕が悪いんだ!だからっ」

少なくともこの状況において悪いのは君じゃない。それだけは()()()()()()()

「逃げて……!」

(そんなに()()()()()()()()()をして逃げろって言われてもね)

「弦間くん」

俺は聞く

「は、はい何ですか?」

弦間くんは涙混じりで痛みを堪えた声で応える

「この世界の()()は1種類だけじゃない事を知っているか?」

「うん、たしか僕みたいに才能がないやつと()()()()()()()()()()()の二種類だけど、、」

「だろ?今から見せてやるよ()()が起こす『努力の力』って奴を」

柄でもなく、カッコつけてしまった俺は

迫り来る火の玉に背中からそっと抜いた()()()()を構える

それを見ている観衆は皆???と混乱状態になり

近くで見てる弦間くんも?となってたがあるものが無い事に気づいた

「君、もしかして無能なのか?それも生まれつき魔力を持ってない無能(スキルなし)!」

それを聞いた観衆は驚きざわつきを拡大させた。

「無茶だ…! 君じゃその刀なんかで彼の炎は切れない!」

そう叫ぶ弦間少年に

「いいから黙って見てろ」そう言い放つ

「これが無能(スキルなし)の力で努力の力だ」

そう言うと同時に構えてた刀を火の玉に向かって元々切れ込みがあり、そこをなぞるかのように縦に振り下ろす

磨刃(まじん)

そう呟いて仕込み刀に斬撃を纏わせて迫り来る火の玉を

スパッと斬り下ろした

すると斬った火の玉は半分になり消えていった

「………………………………………………………」

しばらくの沈黙

静寂を破る様に観衆が驚きを隠せずに話し始めた

「お、おいあの新入生今」

「あ、あぁ斬った?よな?見間違えか?」

「うそだろ、あの新入生から魔力を一切感じなかったぞ?」

「それなのに斬った?三浦の火の玉を斬ったのか???」

観衆が信じられないと言わんばかりにボソボソと言い始める

さっきの女も「え、嘘」と言って膝を地面について口を両手で覆っている

火の玉を投げた本人とその隣にいた木村も目を見開いて絶句していた信じられないものを見たかのように

「弦間くん見たか?これが無能(スキルなし)なりの努力の力だぜ」

俺は弦間くんに振り向き笑顔で言う

「君、いったい何者?」

驚きと生きている喜びが混ざりあった声で聞いてきた

「俺は夙 ハヤテ今年から三魔学園に通うことになる()()の新入生だ」俺は出しっぱなしにしていた仕込み刀を鞘に戻し背中にしまう

やっと状況を呑み込めた三浦が

「お、俺の最大魔術をたかが刀だけで斬りやがった…」

「三浦さんの最高火力技がいとも容易く斬られた…」

三浦と木村が呆気にとられてい放心していた

おいお前ら弦間くんに謝罪しろと言いかけたその時

ドカッーン!!!!

と近くで爆発音がしてその場にいた全員がはっ!となって今度は慌て出す

慌てとり乱れてるなか聞いたことある声が聴こえた

「皆!今近くに『J3EU』が来てるわ!早く学校に向かって!」声の主は薄いピンク色の髪を肩で切っている女であるミサがここにきて生徒たちに避難勧告を出す

「ミサ?!J3EUが来てるって!」

慌てて思わず先輩呼びを忘れてしまった。

「あっ!ハヤテくん!ここにいたんだ!ってその後ろの子傷だらけじゃない?!大丈夫?」

俺の呼び捨てを無視して後ろにいる瀕死の鶴間くんに声をかける。

「ぼ、僕は大丈夫…です」バタッと倒れる音がした

「弦間くん?!」俺が叫ぶとミサが

「大丈夫よ気絶してるだけ安心して」

「そうかそれなら良かった」

と安心していると

ボワッ!

俺とみさの前に炎のカーテンがでてきた

「?!ミサ!大丈夫か!」

「私は大丈夫よ!弦間くんもね!」

俺はほっと胸を撫で下ろす

近くで

ドッカーン!!

また爆発音が聞こえた

「この音こっちに来てるのか…?」

「ハヤテ!そっちは危険よ!逃げなさい!」

「ミサ!幸いにもそっちに生徒が多い!お前はそこに残った生徒の避難を頼む!」

「ハヤテ貴方はどうするのよ?!」ミサの焦った声が聞こえる

「俺は爆発音の方に行って様子を見てくる」

「そんな事新入生の貴方に頼れないわ」真剣な声でミサは言う

「いまは俺一人より生徒大勢だ、合理的に考えてくれ」

でも、と言いかけるミサを納得させるために俺は

「自分で言うのもなんだが俺は強いんだぜ?テロリストくらいどうって事ねぇよ大丈夫だ信じて欲しい」

できるだけ力を込め自信があるような声で言った

(ミサ信じてくれ俺は()()()()()()()()()負けやしない)…

ミサは俺の気持ちを感じ取ってくれたのか

はぁ…とため息をついた後に

「分かったわ、ちゃんと生きて帰ってくるのよ」

「ハヤテくんにはなんで弦間くんがこんなに瀕死なのか聞かなきゃだしね」ミサは会ったばかりの俺の言葉を信じて生徒の避難誘導を始める

「帰ってこなかったらボコボコにするんだから!」

こんな事を言って学園のある方に去っていった

「あはは、ボコボコは勘弁だな」

冷や汗をかきながら爆発音のした方に振り向き走っていく。


爆発音のした所に行くと巨大な魔術兵器に追いかけられてる生徒がいた

「おい! お前危ねぇぞ! ここは危険だから逃げろ!」

生徒は俺の声に気づいたのかこっちに向かって

「おっ! 助かる! 」

と言ってこっちに近づいてくる……巨大な魔術兵器を連れて

「いやぁ! 1人じゃこいつ止められなくってさ! 今ずっと鬼ごっこしてたんだよな良かったら一緒にお前もやろうぜ!」

「…………は?」

俺は当然呆れるこの危機的状況でなんであいつは楽しそうな声なんだと

「お前状況が分かってんのか?! 」

そう怒鳴ってしまうほどだった

そう怒鳴るとと追われてる男は?と顔に浮かべながら

「ミサの呼んできた増援じゃないのか?まぁ増援って言っても()()()しかこないだろうけどな!」

と言ってまた笑い始めた

追われながら男は「はっ!まさか……?!」そんな顔をして俺に聞いてきた

「お前! 新入部員だな! よろしく! 」

またアホみたいな事を聞いてきた

「新入部員? そんなん知らないけどとりあえずニコニコしながらこっちに来るな!! 」

追われてる男のペースに乗せられ気づいた頃には俺も一緒に魔術兵器と鬼ごっこをしていた。

「俺は助けに来たつもりだったのに俺に助けが必要な状況になるなんて!」そう叫ぶ

するとおわれてた男が

「まあ、いいじゃないか少年」とキリッとした顔で答えてきた。なんでそんな顔ができるコイツ

「何で俺まで追われる羽目になってんだよ!?」

そう叫ぶと

「なんでも何も少年から来てくれたんじゃないか1人で追われてるとどうしても暇で助かったよ!」

この男はそう言うと

「ありがとう! 2人でなら楽しく鬼ごっこが出来るな!」

そう言って笑顔でグッジョブをしてきた

「この状況でそんな顔するな! 楽しそうにするな! 真面目にこの状況を打破する方法を考えろ!」

このバカッ!と言わんばかりに叫び散らかす

すると男は「んー」と唸った後に

「考えるのは()()()の仕事で俺は腕っぷし担当なんだよな」こんな時にほんとに何言ってんだ! 自分で考えろよと言いかけたがここちょっとのやりとりでそれは無駄だと察しその言葉を呑み込んだ。

「なんでこんなことになってんだよー!!!!!!」

ドカッーン!!!!と俺達を狙う魔力砲が放たれ爆発する音が聞こる

「あははっ! 少年の反応なかなかに面白いな! 」

「うるせえ!! お前らみたいなテロリストに追われる仕事を請け負う部活なんてとっとと廃部しちまえよ!」

そう言い放つと男は神妙な顔つきになり

「それは絶対にダメだ、なんでも解決部(この場所)は俺達にとって大切なんだ」真剣な声でそう言われ呆気に取られてる俺を男はたはは、と笑いながら話を変えてきた

「そういや少年! 君の名前は何なんだ? ん? 俺か? 俺の名前は、ハヤ・カケル! なんでも解決部の部長だ!よろしくな! 」その後に「ちなみにミサは俺の部下な?」嫌な笑みをうかべた

こんな追われてる状況下じゃなかったらマシな挨拶だったんだけどなと思い俺も仕方なしと腹を括って自己紹介する

「俺の名前は夙 ハヤテ、今年から3魔学園に入学することになった()()の高校1年生だ」

そう言うとカケルは1年なのか!という顔で

「ミサのやつ、1年生を頼るなんて! やはり悪女だ! ゴリ女だ! 」とカケルは笑いながらミサをバカにしていた

この状況でよくもまあ言えるもんだと思ったがこいつといるとなんか考えるのが馬鹿らしくなり俺も追求するのをやめた「それでカケル、ここからどうする?ずっと追われてるって訳にもいかないだろ」さすがにずっと走るのは疲れると思いカケルにどうするかを聞いた

「たしかにな!そろそろ俺も飽きてきた頃だしいっちょ仕返してみるか!」そう言うとカケルは走るのをやめて立ち止まり魔術兵器が来る方向に身体を向けて右肩を回し始めた

「なにやってんだおまえ」奇抜な行動に思わず聞いてしまった

「なにってあの兵器をぶん殴るだけだぞ?」

こいつも脳筋かよっ!おそらくミサは魔力を使用した身体強化の魔術を使用する、その為動作の一つ一つに魔力を感じるのだがカケルの動作にはその魔力を一切()()()()のだ

(どうなってんだコイツ、魔力なしで魔術兵器を破壊しようとしているのか??)

危ないと思いながらもカケルからは自信しか感じない

「カケル、()()を壊せるんだな?」

そう聞くとカケルは自信のある声で

「あぁ、あれをぶっ壊す!」そう言うと

カケルが右足を後方に下げ、迫り来る魔術兵器に左手を広げそして右手を握り拳を作る。

「あっ! ハヤテ! 俺構えてて無防備だから守ってくれよな!」

どうせそう言うだろうと思ってたから事前に抜いていた仕込み刀を俺も構える

その姿を見たカケルはお!!!と嬉しそうに

「ハヤテお前、守る気満々じゃねえか」

「どうせそう言うと思ったから事前に準備していたんだよ」

カケルとはさっきあったばっかりなのに()()()()()()気がしない

「ま、気のせいか」

一人つぶやくとカケルは気になったのか

「何が気のせいなんだよ~ハヤテ~」と興味ありげに聞いてきた

「何にもだよ、それよりあれ、もうそろそろ来るぞ」

今は俺の独り言より目前の兵器を優先するように促した

カケルもわかってくれたのか「ちぇー」といい意識を目前の兵器に集中させていた。

ドゴゴゴゴゴと地面をえぐりながら近づいてくる魔術兵器

その中心、砲台部分が赤く光り始めた

「カケルっくるぞ...ん? カケル?」

返事がなくカケルがいたところを見るとそこにあるのはカケルがえぐった地面の後だけだった。

「カケル?!」

驚いてカケルの名前を呼ぶ

すると魔術兵器の方向から

「応!!! ハヤテ!!!」カケルのやる気に満ちた声が帰ってきた

俺は驚いていた

カケルがその場にいないことじゃなく

()()()()()()()()()()()()()()()()驚いていた(なんて速さだ!?!?!?!? 俺が気づけなかった?!?!)

(何者だアイツ...)

考えようと手を顎に当てようとしたら

ドッカンーーーーーーーーーンッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

聞こえてきてた爆発音よりでかい爆発音が聞こえた

思考しようとしていた意識を戻して兵器を見る

そこには破壊され燃え盛る魔術兵器とその上に佇むカケルの姿が見えた

「カケル!!!」

俺は走ってカケルのいる場所に向かう

カケルは俺に"待て"と手を向ける

なんでと言いかけてその言葉を呑み込んだ

カケルの表情が部活は大切な場所と言った時に近しい真剣な顔で止めて来たからだ

(いや、真剣と言うよりアレは…キレてる顔か?)

カケルと出会って関わった時間が短いためカケルの表情が何を意味してるか分からなかった

しばらくしてカケルは

こっちこいと手招きをしてきた

その手招きに従い俺はそこに向かう

「カケル? どうしたんだ?」

カケルは表情を崩さずに

「これ見ろ、ハヤテ」そう言ってある物を示す

俺はカケルに示された場所を見る

するとそこには

朝ぶつかった巨漢の男がいた。

大量のケーブルが身体のあちこちに繋がれ

脳はむき出しになりその表情を苦痛と絶望に染めて死んでいたのだ

「なんなんだよ……これ」

俺は意識せずその言葉を吐いていた

カケルは落ち着いたままで言った

「この兵器はどうやら生命エネルギーを魔力に変換させて膨大なエネルギーを熾して動く魔術兵器だったらしい」

カケルは至って冷静だったが俺はそのカケルをみて

落ち着いていられず冷静さを欠いた声で聞いた

「は!? どうゆう事だよ!? なんで!?人を使ってるんだ! それは()()として使用を許されてないはずだ!? 」

「それなのになんで、なんでだよ!?」

俺は怒鳴っていた

カケルも表情は落ち着いていたが

握った拳からは血が垂れていた

「なんで、()()()()()()()だぞ」

カケルは怒気が籠った声で呟いた

その姿をみて俺は何とか落ち着いて聞いた

「カケル、この男はもう死んでるのか」

俺の落ち着きをみてカケルもすぅーと息を吸って深呼吸をして答えた

「死んでる」

「これはなんで脳をむき出しにしてるんだ?」

この空気に耐えられず気になったことを聞いた

カケルもキツかったのか答えた

「そうすることによって魔術置換が上手く扱いやすくなるからだ」

「脳を媒体として機械でも魔力を扱えるようにしたんだろ」

すまんと切り出して

「あんましパッと来ないんだが」

そう返すと

カケルは緊張の糸が切れたようにふっと笑って

「例えるとするなら普通の機械で本来なら電力を使用する部分を魔力に置き換えるって感じだ」そんな事も分からなかったのかと言いたげな顔で

「ハヤテ、お前意外とバカなのか?」とニヤニヤしながら言ってきた

本調子に戻ったカケルをみて

「バカはお前だろ、絶対に」

「そんな事ねーし!! 俺テストで下から1番だぞ!」

「いや、それ自信アリげに言える事じゃないからな?!」

自信満々にそんなことを言ってきたカケルに声を荒らげて突っ込んだ。

カケルと俺はしばらくガミガミ言い合ってると

おーい!と学園の方向から聞いた事がある声が聞こえた

「ん?」俺は声の聞こえた方向に振り向くと

カケルも振り向いてその声の主の名前を呼んだ

「ミサー! おせぇぞ! もうこっちは終わった」

色々あって忘れていたがコイツらは知り合いだったな

ミサもカケルに対して

「バカケル!ちゃんと仕事したんでしょうね?!」

そう厳しく言い放っていた

カケルは兵器からジャンプしてミサのいる所に飛ぶ

(跳躍力も化物かよコイツ!?)

そう思ったが冷静に考えてみれば

カケルはあの巨大な兵器、だいたい全長25mくらいはある兵器をジャンプして殴ってたくらいだしな。

はぁ、とため息ひとつ漏らして俺もカケルとミサのいる方向に向かう

「ハヤテー!」とカケルが笑顔で手を振った後にグッジョブをして

「ようこそ! 日本国立3魔異能学園なんでも解決部に!」

そうしてここから俺の()()()()()()()がスタートしたのだった。

どうもこんにちは、こんばんは、おはようございます

いきかです。

まずはこの作品を読んで頂きありがとうございます

下手な文章だったのに読んでもらえて嬉しいです。

この作品は

主人公のハヤテとカケルの成長を書いて行けたらなと思っています

初めて小説を書くので「ここをこうしたらいいよ」とか「ここをこう書くと伝わりやすいかも」とかあったら是非教えていただけると嬉しいです。

この作品は兄と昔遊んだ記憶を元に僕なりに文字起こしした作品です

僕が昔遊んで楽しかったから是非みんなにも知ってもらいたいと思い書こうと思いました。

これからも個性豊かなキャラクターが登場するので是非とも読み進めてください。

では、次の章

「異能学園と無能となんでも解決部」でお会いしましょう

(読んで感想をもらえると嬉しいです)

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