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闇の令嬢、愛を思い出す  作者: 雨音祭
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変わっていく日常を4

「あの頃の私はそれが不快に思えたわ、私よりも勉強を優先するなんて、って。本来はアリアスの行動は、学生にとって当然のものなのにね。」

学園は勉強をしに行く場所、でも大体の貴族は卒業した後のコネを作るために行くのだと聞いたことがある。誰に付いたら自分は得なのか、そんなことを考える者達が多くいた中で、勉強だけをひたすらにする母を見れば、シリーネの気持ちも分からなくはない。

「だから私は同じく勉強で、アリアスより圧倒的に差を作って打ちのめそうとしたわ。…悉く失敗に終わったけれど。アリアスは学園にいる誰よりも優秀だった、それこそ私よりも遥かに。でもそれに驕ることなく、ひたすらに学び続けていた。」

それすらも私にはライバル視する理由になったけれど、と少し恥ずかしそうに付け加わえる。

「テストがあれば彼女は一位を当たり前にとって、私はいつも二番だった。それが悔しくて勝手にライバル視して…恥ずかしい話、煽ったりもしたの。『貴女には勉強しかないのね、可哀想に』って。」

言われた母はシリーネに、勉強をしなくちゃ生きていけないかもしれないなんて、貴女には分からないでしょうね、と平静に返したらしい。母の強さが垣間見えるが、当時のシリーネには挑発に挑発で返された、と思ったのだそう。

「だから学園から帰れば、私も必死に勉強したわ。絶対に負けるものか、って。でも私がアリアスに敵うはずが無かった。だって彼女は本当に知識を必要としていたから。」

思いの差が結果として表れていたのだ、ただ上に立とうとする者と必要だから必死に学ぶ者の差。

「それから一年経って、私達は二年生になった。また勝負が始まる、そう思っていたのに。…そんな日は来なかった。」

当たり前に来ると思っていたことが訪れなかった。

「アリアスの家はね、没落寸前だったの。不作が続き、同じ特産品を持つ他家の横槍もあって、彼女の家は後退の一途を辿っていた。それでも娘にはちゃんと学んでもらいたい、ってアリアスのお父様がなんとか学費を捻出していたそうよ。」

母から貧乏だった、とは聞いていたがそんなことがあったとは。不運が続き、その連鎖を止めるために母は必死に学んでいたのか。生きていけないかもしれない、それは母やお祖父様のことだけでなく、領民のことも思っての言葉だったのかもしれない。領主の娘である自分が知識を持たないと、現状を打破するようなことは生まれない。持ったところで活かせなければ意味がない、そう思っていたからこその行動だったのかもしれない。

「アリアスは自主退学をしたわ、いえ正確には自主退学に追い込まれた、が正しいかしら。学費が滞り始めれば、教師がアリアスに嫌味を何度も言って、それを聞いた生徒にも広がって。遅れながらも支払いは出来ていたのに、それを周りは許さなかった。」

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