不穏は未だⅡ 5
「続いて俺からだな。これは兄上や義姉上には前もって伝えてはあるんだが、ユリウスもいるから改めて念を押しておく。これから話すことは他言無用だ、絶対に守ってくれ。」
陛下と妃殿下はお茶を飲みながらコクリと頷き、ユリウスは重要なことなのだと真剣な表情で返事をする。私も他言無用な用件に居ていいものなのかと悩みながらも、退出を促されないということはそういうことなのだろう、と居住まいを正し頷いた。ノイルは全員の顔を見渡したあと、軽く頷き私を見つめる。
「俺からはクレア、お前に関することだ。…と、その前に聞いておきたいんだが。」
私に関する話、と身構えていたらノイルは本題に入る前に聞きたいことがあるという。話自体に心当たりがないために、質問さえも何がくるのか、全く分からない。まぁ、分かろうと分かるまいと隠すようなことはない、とりあえず答えられる範囲で素直に答えよう、と決める。
「クレア、お前が使う『None』は…一体どこで覚えた?誰に教えてもらった?」
その質問をするノイルの瞳は、どこか射抜くような鋭さを僅かに含んでいる。非難めいたものではないが、この半年で見たことのない、真実を突き止めようとするような瞳。
その視線に緊張がまた少しだけ増して、答えに詰まってしまう。サラッと分からない、と答えれば済むことなのに、深く考えてしまう。Noneは気付けば使えるようになっていた、いや正確には教わったおかげで、か。これは魔法書などには、一切記載のなかったもの。そんなものをどこで覚えたのか、それは私も最近抱いた疑問。靄がかかったように思い出せない。けれど確実に『誰か』に教えてもらった、それだけは覚えている。ではそれを教えてもらったのはいつ?どこで?
「…悪い、そんなに悩ませるつもりじゃなかった。それが分かりゃ解決するな〜、って思っただけだ。」
自然と俯いて考えていた私にノイルは謝り、お茶を飲んでリラックスしな、と優しく言ってくれた。言葉に甘えて一口飲み、過度な緊張を解す。
「さて、じゃあまず結論からな。クレア、お前には闇属性の更に上、高位属性…無属性に適性がある。クレアが使う『None』は闇属性のもんじゃない、無属性の魔法だ。」
分かりやすいように結論から伝えてくれたのだろうが、如何せん理解が追いつかない。まず高位属性とはなんなのか。属性は五つだけではなかったのか。そして無属性は、五大属性に適性のない人を指す言葉ではないか、闇属性が使えるのに無属性とは。
「困惑するよなぁ、俺もしたよ。…まず高位属性ってのは、五大属性を極めると使えるようになる、いわば五大の強化版みたいなもんだ。火なら炎、水は氷、土は木、光は聖、闇は無、ってな感じでな。」




