不穏は未だⅡ 3
「呪いの壺…?とは一体…。」
この場にいる誰しもが理解を出来ず、首を傾げている。それもそうだろう、王家が絵本、しかも庶民向けの物を知っているはずがない。私も本に興味がなければ知らなかったであろう物である。周りと壁を作っていた時に、父と母が少しでも安らげるならと買い与えてくれた中にあった一冊。内容としてはありきたりで、悪い魔法使いを正義の王子が討つという物だったが、その途中で出てきたのが先程言った『呪いの壺』。
「呪いの壺とは、とある絵本に出てくる道具なのです。生贄と魔力を捧げることで、対象を操り人形のように出来てしまう…、呪いをかけるものです。」
物語では王子の仲間が操られてしまい、苦戦を強いられていた。そこに聖女と呼ばれる、光の力を持つ者が現れ浄化をし、仲間を救い出したが、仲間はその時のことは記憶が無かった。王子は、そんな呪いの壺を破壊して、悪い魔法使いを倒した。
物語と現実は勿論異なることは承知している、だが現象が余りにも似ている。人を操ることが出来、更には操っている際の記憶は残らない。呪いの壺なるものが存在するしないは置いておいて、可能性としては有り得ないものではないと思う。
だがやはり陛下や妃殿下、ユリウスの顔色からして、所詮は御伽噺だと言いたいのが窺える。やはり突拍子も無さすぎたか…、と発言を取り消そうとした時。
「呪いの壺…は知らないが、近しい物なら知っているぞ。まぁ、実物を見たわけじゃないが。」
そう発言したのはノイルだった。陛下達は突然の発言に、ノイルを見て固まっている。それもそうだ、誰もが存在しないものだと思っていたことを、ノイルは知っていると言った。実物は見ていないが知っている、ノイルのことだから魔法関連の書物から見つけたのだろうか。閲覧可能であれば、是非とも見てみたいが、今はそれどころではない。
「ノイルよ、近しい物とは一体何のことだ。私には一切心当たりが無いのだが。」
「兄上は魔法関連の禁書は全て読んでないのか?…いや、読まなくても問題は無いんだけどさ、ある一冊には載っているんだよ。」
禁書…?名の通りであれば、一般には公開出来ないものが記載されている本で、そこに載っている?




