破蕾 -ノイルside- 2
分類分けされて置かれているため、比較的すぐに見つけられた。探していたのは魔法の歴史について書かれた本。三百年の歴史を持つアーデストが出来るよりも前に書かれた、言わば魔法の原書とも呼べる物。…初代国王が記した、今は知られていない、または失われた魔法を書いた物だ。だがこの本に書かれているのはそれだけじゃない、もっと身近な事柄も書かれている。
そう…今では判別出来なくなってしまった属性について。
「昔サラッと読んで覚えてはいたが…、魔法に興味を持つ前だったからなぁ。どんなもんだったかな。」
目当ての本を手に取り、その場で読み始める。一応禁書室の本には全て、劣化防止や破損防止の魔法が掛けられてはいるが、万が一も考えゆっくりと捲る。始まりの方は現代の基本的な知識が丁寧に書かれていたり、魔法の発動の仕方があったり。この辺りは飛ばしても問題はないか、とページを飛ばしていく。続いて出てきたのは、『基礎』となる属性。つまりは今自分達が自然と使っている五大属性のことだ。火、水、土、光、闇の五つについて書かれ、魔法のランク分けも記載されている。…ということは、おそらくこの次にあるはずだ。
Ⅰ〜Ⅲレベルまでの魔法について書かれた部分を超えた辺りで、見つけた。
見出しに書かれているのは…。
『高位属性について』
アーデスト王族以外はおそらく知らないだろう、いや王族でも知らないかもしれない事。
そしてこれがクレアの属性への疑問、違和感に対して答えを出す記実。
逸る気持ちを落ち着かせるために、目を閉じ一拍を置いてから文を読み始める。
『この世界には基礎となる五大属性を極めた者、または生まれながらにして適正を持つ者のみが手にする力がある。私はそれを高位属性、と名付けることにした。高位属性は基礎属性よりもより威力が強く、扱いを誤れば辺りを簡単に破壊し尽くすことも容易なものである。その強さ故に魔力が高い者でなければ扱う適正を得られない、特異な属性だ。今のところ見分けの仕方は少なく、確実なのは魔法使用時に現れる属性特有の色である。基礎属性を例にすれば、火は橙、水は青、土は黄土、光は金、闇は紫。』
…やはり予想は大方当たっているだろうと、この部分を読んでいるだけで思える。属性特有の色で確信にかなり近づいた、問題は俺が見た色が紫ともう一色。そのもう一色がどれに当たるのかだが。
『高位属性も基礎属性同様に五つ確認されている。まずは火の高位にあたる「炎」、色は赤。特徴としては火力の違いが顕著であり、全てを燃やし尽くす程の熱量を持つ。ついで水の高位である「氷」、色は水色。有機物、無機物問わずに凍らせてしまう冷気を操る。土の高位は「樹」、色は黄緑。樹木を生み出し、要塞や牢としての扱い方がある。光の高位は「聖」、色は白。浄化の能力を持ち、治癒力も格段に高い。そして――。』
今のところは違う。俺が見た色は…。
『闇の高位は「無」、色は黒。』




