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闇の令嬢、愛を思い出す  作者: 雨音祭
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破蕾 -ノイルside- 1

夜は深まり、薄ら冷える頃。

俺――ノイル・アーデストは図書室にいた。

別に司書の仕事が終わらなくて残っていたわけじゃない、明日に回したって問題のないものばかりだから。なら何故こんな夜更けに一人でいるのか。それは一人の魔法、もっと言えば属性に疑問を感じたからである。

弟子…と呼んで差し支えない、クレア・カレンティスの属性。クレアの得意とする属性は、ごく稀にしか発現しない闇。国によっては良くも悪くも捉えられる、しかし無くてはならない闇属性。そのことはアーデスト王宮内、高位貴族であれば誰だって知っている事実であるが、それに疑問を感じたのはいつだったか。『堅牢』を教えている最中か、その後に教えている魔法の最中か。

「ふぅー、やっぱり此処にあるものだけじゃ分からんな。…あっちを探すしかないか。」

疑問を解決すべく、夜更けの図書室で一人探していた。夜更け、しかも一人で探しているのは、予想していたもの通りだった場合、クレアやその周りに与える影響が多分にあると考えたからである。…まぁ、それを知ったところで他の奴らでは確証を得られないだろうが。

それくらい感じた疑問は微々たるもの、魔法にかなり精通していなければ、予想すら出来ようもしないこと。俺はクレアに教え、近くで見ていたから感じられた、些細な違い。

「あまりあっちを探したくはないんだがなぁ…。古いのばっかで、触ると破れそうで嫌なんだよなぁ。」

一人愚痴りながら、胸元から鎖に付いた鍵を取り出す。鍵自体には、何も変わった特徴などはない、いたって普通の鍵である。だがそれを持つことが許されているのは、王族のみ。兄で現王のヘイルスと妻のシリーネ、そして王弟である俺の三人のみ。ユリウスは時が来れば兄から受け継ぐだろう。それくらい厳重に扱われている場所、王族以外に場所も知らない。

無言で図書室の入り口と反対側、一番奥の突き当たりまで歩く。一応認識阻害の魔法をかけてはあるが、周りの気配にも気をつけながらたどり着けば、そこにはただ壁があるだけ。

周りをゆっくり見回し、誰もいないことを確認すると壁に手を当てる。ゆっくりと魔力を流し込んでいけば、壁だったはずの場所に、徐々に浮かび上がる扉。形造られるまで魔力を流し、完全に出来上がったのを見て手を下ろす。

鎖を外し、鍵を差し込み回すとカチャリと音が鳴り、扉が開かれた合図を出す。ドアノブを回し、静かに開けて中へ入る。

そこで広がる景色は、いつもと違う開かれた図書室ではなく、厳かに佇む、限られた人物しか入れないのを納得する図書室。

それが今立ち入った『禁書室』と呼ばれる部屋。

名の通り、一般には公開していない歴史的に重要な書物や魔法に関する書物、公開出来ない…血塗られた歴史を正確に記したものがある。童話や御伽噺のように、綺麗に語り継がれている物の中にも嘘はある。それは民には平穏を感じさせ、無益な争いを避けるためであったり、王族への信頼を植え付けるためであったりと、理由は様々である。

「…裏側の真実は、いくら汚かろうとな。」

余計な考えをして立ち止まっていた足を、目的の本が置いてある場所まで再び進める。

そして暫くして、足を止めた。

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