浅く広く、でも確かに1
あれから時間は流れ、いつの間にか空には月が高く昇っている。部屋から見える外の景色も、明かりはポツポツと見えるだけで、あとは暗闇と風が吹いて木が揺れる音だけ。
そんな中、私は備え付けられた机に向かい、手紙を書いている。手紙の送り先はもちろん家族に向けて。きっと無事に着いたか心配をしていると思う。だからせめて無事に着いた、とそれだけでもしたためて送ろうかと思っていたが。伝えたいことが別に出来たために、この時間に書いている。別に明日でもかまわないのだが、夜の昼間とは違う、少し澄んだ空気の中で考えながら書く方が何故か、上手に言葉が出てくる気がする。多分、日課になっている日記を書くのと同じような感覚なのだろう。
無事に着いた以外に知らせたかったことを、今日のお茶会でのことを思い出しながら、筆を進める。
お茶会は結果から言えば、和やかな空気で始まって終わった。妃殿下と共に入場した経緯も説明をしてもらい、集まっていた夫人や令嬢達はすぐ納得して進んだ。思っていた以上にアーデストの人は気さくな人が多いのか、闇属性への差別意識がないからか、普段は絶対にあり得ないほどに囲まれ、次から次へと話をしていた。内容はありきたりなもので、アルカートで流行っているものを聞かれたり、実際はどんな国なのかなど。たまに紛れて、王子が懇意にしている人がいるのかと聞かれたりはしたが、誰一人として私を厭う言葉や視線は無かった。
それだけで気持ちは軽くなり、話は弾んだがそれよりも嬉しいことがあった。
私に同性の友人が出来た。社交辞令でなければ、だが。
不安になってしまうのは、友人と呼べる人がユリウスしかいなかったのと、友人とはこうして出来るものなのか?という疑問があるから。でもやっぱり嬉しかったのは事実。
同年代ばかりの令嬢の中でも、誰よりも私のことを知りたい、と思ってくれる人が二人いた。一人はアーデストの公爵令嬢、もう一人は侯爵家の令嬢。二人の距離の詰め方…というか圧に近いものがあったが、それがあったからこそ仲良くなれた。




