見落としがちな日を4
朝食や王宮の案内も終わり、今はお茶会に向けてドレスを着替えている最中。といってもほとんど終わっているのだが。
着替えたドレスは、定番のAラインで気候に合わせた五分程の袖が付いたもの。色は薄いピンクで首元はシアーの素材で、可愛らしさと綺麗さが上手く調和している。これは母と留学に向けて購入した一着で、昨日エイリー達が悩みに悩んで選んでくれた一着。胸元には母から貰ったネックレスを付けている。このドレスに似合わないのは重々承知だが、どうしても付けていたかった。それをエイリーに伝えれば、微笑んで許可を出してくれた。
不慣れな地でのお茶会は不安で憂鬱だが、母やエイリー、ユニが選んでくれた物を着ると、少しだけ勇気が湧いてくるから不思議だ。
「クレア様、大変お似合いですよ。これなら他の御令嬢に負けることなどありません。」
「とってもお似合いです!華やかさも加わって、向かうところ敵なし、ですね!」
ユニが何と戦うつもりなのかは分からないが、二人が手放しで褒めてくれたのが嬉しい。
「ありがとう。緊張するけれど、二人が褒めてくれたから乗り切れる気がするわ。」
微笑んだあと、朝からずっと気になっていたことを投げかけてみる。
「…ユリウス殿下はお茶会に参加されるのかしら?」
朝食の場に姿を見せず、王宮内の案内中にも一度も見かけることは無かった。もっと言えば、昨日の夕食の最中に席を離れてから見ていない。転移魔法で膨大な魔力を使った故に、体調が優れないのだろうと考えてはいたが、朝になっても姿を見せなかったのは意外だった。陛下や妃殿下が何も言わなかった為に聞けなかったが、それ程までに魔力を消耗してしまい、回復までに時間がかかっているのだろうか。
「殿下はご出席されません。本日のお茶会は夫人や令嬢だけの、クレア様のお言葉を借りますと女子会、に当たりますでしょうか。故に殿下は招待されておりません。」
そうなの…、と相槌を打つ。もし叶うのならば話を少し出来たら、と考えていたがそれは叶わない。それなら仕方ない、と心に言い聞かせていると、エイリーが続けた。
「それに魔力の回復の為、安静にするようにとのことで、部屋から暫くはお出になられないかと。」
そうか、どちらにせよユリウスに会うことは出来ない。だがおそらく、安静の期間もそれ程長くはないだろうから、話せる機会がある時にしよう、と思い直す。
「時間も近くなっているし、そろそろ行きましょうか。」
気は進まないものの、参加は決まっている。いざとなればあまり目立たない席に移ればいいと考え、部屋をあとにした。




