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闇の令嬢、愛を思い出す  作者: 雨音祭
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揺るがない意志と手折られた花

目覚めれば、ここは暗い部屋。頑丈な石で囲まれ、鉄格子で閉じ込められる、まるで牢屋のような場所。身体の自由は奪われ、手足には枷が嵌められている。

同じく鉄格子付きの窓から、僅かに日が差し込んでいることで朝なのだと気付く。

「どうだ、よく眠れたか?」

どこからともなく現れ、鉄格子越しに悪意を隠すこともせず、笑う一人の男。

「…こんなことをして、この国に未来は無いわ。」

男の問いには答えず、私の思いを伝える。こんなことを言っても、届かないのは分かっているけれど。

男は鉄格子の鍵を開け、中へ入ってくる。差し込んだ光で現れたのは…ヨハネス。

「有難いお言葉だが…いらんな。俺が聞きたいのはそんなものじゃないのは分かってるだろうに。」

そう言って私を冷たく見下ろす、そこには一つの感情以外読み取れはしない。何故こんなことになってしまったのか、何が彼を歪ませてしまったのか。いくら問うたところで出てくる答えは変わらないだろう。

「喜べ、今日はお前に提案をしにきたんだ。お前だって、いつまでもこんなとこには居たくないだろう?」

当然だ、誰だってこんな所に居たくはない。ましてや自由を奪われた状態でなんて。

「俺の意向を認めろ、そして妃になれ。そうすればお前と同じ闇属性は迫害されずに済むぞ。お前もここから出してやれる。」

意向を認める気も妃になるつもりもない。だが、無関係な人まで巻き込みたくもない。でも受け入れてしまえば、漸く作り上げた平穏が悉く崩れ去るのは明白である。それに受け入れたとしても、この男は約束など守りはしないだろう。この状況になってしまったからこそ気付いた、男の本性を思えば。

受け入れて誰かが犠牲になるのを見て見ぬふりをするのか、断って自分が消えていくのか。…彼ならどちらを選ぶだろうか。

どうしようもなく愚直で、馬鹿正直な彼。でもいつだって思いの根本には、誰かを思う優しさがあって。

(…愛おしくてたまらない、最愛の人)

この想いだけで、どんな事でも乗り越えられてきた。今だってそう、彼の勇姿が私に力をくれている。そんな彼ならきっと、出す答えなんて決まっている。

「お断りするわ、私は私の意志に従うだけよ。」

心も体力も消耗し続ける中でも、自分の中のありったけの力を込めて言い放つ。揺るがない意志を宿した瞳でヨハネスを睨めば、答えが分かっていたようにあっさりと離れた。

「その強がりも近いうちに終わるさ。あぁ、言い忘れていたなぁ。」

振り返り、こちらを見た時の顔は忘れない。


「お前の処刑が決まったんだ。」

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