目覚め始める欠片13
馬車へ戻ったことをユリウスへエイリーが報告しに行ってすぐ。
「全員へ告げる!当初の予定を変更し、今から転移魔法でアーデストへ戻る!戻り次第、先程告げた手筈で動いてくれ!頼んだぞ!」
ユリウスが宣言し、すぐに魔法陣が構築される。辺り一面が眩い光で包まれていく。あっという間に視界全てが真っ白な光に包まれ、何も見えなくなる。あまりの眩しさに目を瞑っていると、瞼越しに感じていた光が消えたのを感じて、目を開けばそこには。
アルカートの王城とまた趣の違った城が目に入る。白を基調としながらも、どこか堅牢さも感じる城。
「これがアーデストの王城…。ここがアーデスト王国…。」
思わず呟いたのを聞いていたのか、エイリーが頷き馬車のドアを開ける。エイリーとユニが降り、私を降ろしてくれた。そして降りてすぐに人が立っているのが、視界に入る。
柔和な微笑みを浮かべながらも、漂う風格を感じてすぐさま、敬意の礼を取る。
「畏まらなくて良い。大変な旅路だっただろう、愚息が迷惑をかけたようで、申し訳ない。」
そう言って、顔を上げるよう告げる。変わらず笑みを浮かべ、歓迎をしてくれている。顔立ちはユリウスにやはり似ている。いやユリウスが似ている、が正しいか。髪色はユリウスよりも黒色が強く、瞳はユリウスと同じ黄金色。
「陛下?自己紹介がまだよ?貴方がしなくちゃ誰も出来ないわ。」
横で自己紹介を促してくれた。こちらは優しそうな顔立ちをしており、髪色と瞳はサファイアを連想する青色。
「そうだった、すまんな。気付いているからつい。」
軽く返しながら、笑って私の方を見つめる。
「私がアーデスト王国の現国王、ヘイルス・アーデストだ。そして…。」
「アーデスト王国の王妃、シリーネ・アーデストよ、よろしくね?」
国王と王妃の挨拶を戴いた。次は私の番である。カーテンシーをし、挨拶をする。
「お初にお目にかかります、ヘイルス陛下、シリーネ妃殿下。アルカート王国より参りました、クレア・カレンティスと申します。この度は留学を認めていただき、有難うございます。」
恭しく頭を下げ、挨拶を述べると陛下が声をかけてくれる。
「顔を上げてくれ、カレンティス嬢。堅苦しくならなくて良いんだ、私は堅苦しいのが苦手でな。楽に接してくれ。」
そんな畏れ多いことは…と言いかけると、妃殿下も同意する。
「そうよ、貴女が帰る時まで私達は親だと思って欲しいわ。…帰ってからも思ってくれると嬉しいけれど。」
お茶目な笑みを浮かべる妃殿下。二人から言われてしまったら、断る選択肢は潰えた。どうしたものか、と考えながらも、精一杯の微笑みで、有難うございますとだけ伝える。
「っと、予想外の事で疲れただろう。カレンティス嬢の部屋を用意してある。君付きにした侍女が知っているから、ゆっくり休みなさい。」
陛下はそう言って、夕食を楽しみにしているよ、と告げ城の中へ入っていく。
「カレンティス嬢、今日から貴女の家と思ってゆっくりしてね、困り事があったら遠慮なく教えてちょうだいね?」
妃殿下もそう言い残し、陛下へ続いていった。
突然の出来事に緊張で少し疲れたが、歓迎してもらえたのは嬉しかった。ただやっぱり予想外の戦いで疲れたのか、緊張の糸が切れたのか分からないが、急激に眠気が襲ってきた。それを察知したかのように、エイリー達が部屋に行って休みましょう?と言い、部屋へと案内してくれた。




