表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇の令嬢、愛を思い出す  作者: 雨音祭
63/165

目覚め始める欠片11

それからすぐにユリウスが状況を飲み込めたのか、私に駆け寄ってきた。

「殿下!お怪我は大丈夫で…。」

「何故、ここにいる!俺は馬車にいるよう言ったはずだ!エイリーとユニは何をしているんだ!」

急に怒鳴られて、肩を竦めてしまう。恐る恐る表情を確認すれば、今まで一度も見たことのない、噂で聞いていた『氷の王太子』の表情をしていた。無表情は見たことがあれど、ここまでの冷たさを感じたことはない。ユリウスの気迫で何も言えずにいると。

「…ならず者どもを捕縛した後に、話を聞く。今すぐにエイリー達の元へ戻れ。」

そう言い残すと、気を失っているならず者を魔法で抵抗できぬよう拘束して、他の加勢へ向かっていった。一人取り残され、呆然としてしまう。怒られるだろうことは理解していた。理解した上での行動だった。ユリウスは何度も守り抜くと言ってくれて、エイリーとユニも恐怖に震えながらも守ろうとしてくれたのは分かっている。でもあの状況ではこれが最善だったと思ったのに…。

何が本当に正しかったのだろうか。ただ馬車の中で、怯え震えながら待っている方が良かったのか。誰かが犠牲になっていくのを、見ないふりしなければいけなかったのか。

答えが見つからない問いをしていると、大きな歓声が聞こえる。歓声をした方を見れば、騎士達が剣を掲げ、勝利を宣言している。多少なりとも怪我をしてはいるようだが、犠牲になった者はいなさそうで、ホッとする。

(…いけない…馬車に戻らなくては…)

皆の無事を確認したのだから、流石に戻らなければまたユリウスに怒られてしまう。今までと違う、あの冷たさと鋭さを持った瞳で…。その光景を思い浮かべると、蹲ってしまった。しばらく見なかったのに、思い出さなかったのに。

『夢』で私を殺したヨハネスがしていた…あの目を。怖くてたまらない、『夢』と違うことは理解しているのに、殺されてしまうのではと思ってしまうほどに。あの時は誰もが手を差し伸べはしない、と勝手に諦めていたからまだ耐えられた。でも今は違う、守ってくれる存在がいる。離れていようとそれは、それだけは分かる。だからこそ…耐え難い。

震えが止まらず、自分で抱きしめるように手を回す。それでも恐怖は消えることなく、瞳から零れ落ちてゆく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ