目覚め始める欠片7
「エイリー、ユニ!先程の命を変える。クレアに助力を求めたい、何があっても私が守り抜く。馬車から出してくれ。」
話しかけてきたのはユリウス。先程、エイリー達に命を出した張本人、声からも切羽詰まった様子が窺える。だがエイリー達も突然のことで戸惑ってしまっていた。だがユリウスが、早くしてくれ、と声を荒げることで、急いでドアを開ける。
そこには傷は無いものの、かなり疲弊した様子のユリウスがいた。
「すまない、思った以上に手強い。少しだけでも力を貸してくれ。」
そう言うユリウスに私は強く頷き、馬車に頑丈な防御壁と視認阻害を掛けドアを閉める。中からエイリーとユニが無事を祈る声が聞こえてきた。
(分かったわ、何があっても無事に戻ってくるから…あとで一杯叱ってね)
そう思うのと同時に魔法を解除する。横を見れば、先程までいたユリウスが消えている。そう、解除したのは馬車に張った防御壁じゃなく…。
「騙すような真似をしてごめんなさい。でも、これしか出来なかった。…絶対に守ってみせるから。」
解除したのは闇属性の魔法で作った幻覚。ユリウスを模して声をかけさせた。そうでもしないと、頑として二人は外に出そうとはしないだろうから。防御壁だけでなく、視認阻害を掛けたのは幻覚をバレないようにするため。全ては自作自演の出来事。だからこそ、自分勝手な行いをするのだから、何があっても無事に戻らなければいけないし、守らなきゃいけない。
覚悟を揺らがせないよう、母から貰ったネックレスをギュッと握り、辺りを見渡す。あちらこちらでならず者と騎士がぶつかり合っている。状況を見れば、こちら側が優勢に思えるが、馬車の中で聞いた爆発音がもし、想像していた通りならば劣勢に変わる可能性がある。
(いるとするなら前面には出てこないはず…)
そう考え、奥を見れば。やはり想像通りにいた。魔法に長けたならず者が。だが何か忙しなく動き回っているように見える。土埃の中で目を凝らしよく見れば、動き回っているのではなく、魔法を放ちながらも避けている。誰が戦っているのだろうか、騎士も魔法は使えるが魔力は然程多くない人達ばかりだったから、あのならず者と戦うには分が悪すぎる。
「早く行かなくちゃ…。―――幻影。」
自分を認識出来ないよう、カメレオンのように周りの風景に見せる魔法。所謂、透明人間のようなものだが、見破れる人間などほぼいない。なんせ魔力の強さが違いすぎるのだから。




